「とにかくやります!」の価値は暴落した
職場で仕事をむちゃぶりされたとき、昔は、気合と根性で「なんでもやります!」と手を動かす人が評価されたものです。どこでもそうかもしれませんが、私の職場でもいまだに「できない」と口にするのは許されません。
しかし「大AI時代」となった令和において、それだけではもう通用しなくなりました。「とにかくやります!」の価値は、ここへ来て大暴落しています。「やること」自体はAIを使えば誰でも一瞬でできてしまうからです。
いったん整理すると、「やる」には2つの種類があります。
1. DO(やるだけ):とにかく手を動かす。「品質」より「手を動かした」ことを評価される。
② CAN(できる):求められる品質を、自分の責任で担保して提供する。
手を動かしただけの仕事を「できました!」と持っていくのは、「DO」しているだけ。今求められているのは、手を動かしたプロセスではなく、「プロの品質を出せる(CAN)」状態なのです。
「仕事をむちゃぶりされる」状態は一見、大変そうですが「アイツならできる」と信用されて仕事が集まってきている状態でもあるはず。そのむちゃぶりに対して、いつでも「ハイ」と即応するには、作業(DO)をAIに任せて自分は「自分の判断」に集中することが大事になってきます。
しかし「大AI時代」となった令和において、それだけではもう通用しなくなりました。「とにかくやります!」の価値は、ここへ来て大暴落しています。「やること」自体はAIを使えば誰でも一瞬でできてしまうからです。
いったん整理すると、「やる」には2つの種類があります。
1. DO(やるだけ):とにかく手を動かす。「品質」より「手を動かした」ことを評価される。
② CAN(できる):求められる品質を、自分の責任で担保して提供する。
手を動かしただけの仕事を「できました!」と持っていくのは、「DO」しているだけ。今求められているのは、手を動かしたプロセスではなく、「プロの品質を出せる(CAN)」状態なのです。
「仕事をむちゃぶりされる」状態は一見、大変そうですが「アイツならできる」と信用されて仕事が集まってきている状態でもあるはず。そのむちゃぶりに対して、いつでも「ハイ」と即応するには、作業(DO)をAIに任せて自分は「自分の判断」に集中することが大事になってきます。
資料作成、「とりあえず作る」はDO、「叩き台で方向性を縛る」のがCANへの第一歩
「来期のプロジェクト概要、役員向けにスライドにしておいて」と頼まれたとき……。
DO(作業)の視点
DOしがちな人にとって、資料は「レポート」。「社内の標準テンプレート(全10ページ)」といったものを埋める方法を真っ先に考えます。
「背景」から「今後の展望」まで文字がびっしり詰まったスライドを、そうやって何時間もかけて作成したところで、役員が見たい「費用対効果」も、エンジニアが見たい「技術構成」も、全てが中途半端に薄く書かれた見栄えだけいい「誰の心にも刺さらない60点(に見える0点)の資料」が完成します。
上司に「で、これは誰に見せるつもりなの?」と冷たくツッコまれることも……。
「背景」から「今後の展望」まで文字がびっしり詰まったスライドを、そうやって何時間もかけて作成したところで、役員が見たい「費用対効果」も、エンジニアが見たい「技術構成」も、全てが中途半端に薄く書かれた見栄えだけいい「誰の心にも刺さらない60点(に見える0点)の資料」が完成します。
上司に「で、これは誰に見せるつもりなの?」と冷たくツッコまれることも……。
CAN(品質)の視点
CANの視点を持つ人にとって、資料は「相手を動かすための手紙」。「概要」は便利な言葉だけど、見る相手によって知りたいことは変わってくるはず……と考えます。
で、どう考えても相手が知りたいことを思い付けない場合は、まずAIに相談すればいいのです。
「役員向けの概要って何に気をつければいい?」
すると、「ゴールは予算承認ですか? 情報共有ですか?」と、AIが質問してくれます。AIを使いこなす人たちが「壁打ち」と呼ぶ、このやり取りを経て自分の頭も整理されるので、資料作成の初期段階でAIと相談しておくのは時短テクニックのひとつです。
ここで、役員・承認用なら技術の話は全カット。「投資額」と「回収計画」だけを大きく書いた「ペライチ」を作る。現場・共有用ならお金の話はカット。「スケジュール」と「自分のタスク」が分かる工程表を作る。……といった具合に、大まかな方向性がまとまるはずです。
「役員向け、堅実、論理重視」など、資料のトーンをAIに指定して、要点に沿ったテキストの叩き台を作ったら、「デザイン」はこれまたAI(Gammaなど)で一発生成すればいいのです。
ポイントは「量」でも「丁寧さ」でもなく、要点を押さえた土台を初手で素早く作ることです。これが「速く」「要求に沿った成果物」を打ち返すポイント。
そして、2、3回目のやり取りを想定した「たたき台」として1回目を提出するといいでしょう。
ゼロから考えるのは誰にとっても難しいけれど、出されたものに意見を言うのは簡単です。相手から、「ここをこうしたい」を引き出し、2回目を提出し、正しいゴールへの最短ルートを敷く。これで「方向性バッチリの資料を作れる(CAN)」準備が整います。
で、どう考えても相手が知りたいことを思い付けない場合は、まずAIに相談すればいいのです。
「役員向けの概要って何に気をつければいい?」
すると、「ゴールは予算承認ですか? 情報共有ですか?」と、AIが質問してくれます。AIを使いこなす人たちが「壁打ち」と呼ぶ、このやり取りを経て自分の頭も整理されるので、資料作成の初期段階でAIと相談しておくのは時短テクニックのひとつです。
ここで、役員・承認用なら技術の話は全カット。「投資額」と「回収計画」だけを大きく書いた「ペライチ」を作る。現場・共有用ならお金の話はカット。「スケジュール」と「自分のタスク」が分かる工程表を作る。……といった具合に、大まかな方向性がまとまるはずです。
「役員向け、堅実、論理重視」など、資料のトーンをAIに指定して、要点に沿ったテキストの叩き台を作ったら、「デザイン」はこれまたAI(Gammaなど)で一発生成すればいいのです。
ポイントは「量」でも「丁寧さ」でもなく、要点を押さえた土台を初手で素早く作ることです。これが「速く」「要求に沿った成果物」を打ち返すポイント。
そして、2、3回目のやり取りを想定した「たたき台」として1回目を提出するといいでしょう。
ゼロから考えるのは誰にとっても難しいけれど、出されたものに意見を言うのは簡単です。相手から、「ここをこうしたい」を引き出し、2回目を提出し、正しいゴールへの最短ルートを敷く。これで「方向性バッチリの資料を作れる(CAN)」準備が整います。
“幹事業”などの雑務、「手配する」はDO、「最適解を出す」のがCAN
部長の送別会(主賓60代・参加者10名)の幹事を頼まれた時……。
DO(作業)の視点
「10人参加するなら個室かな。あとはみんなが便利なアクセスで、会計のことを考えると飲み放題コース……駅近の居酒屋だな」
食べログで「新宿 居酒屋 個室」で検索。星3.5以上で、一番上に出てきたチェーン店はきっと人気店。チェーンなら、めちゃめちゃおいしいとはいわないまでも、味も問題ないはず!
しかし、当日お店に行ってみると、「完全個室」のはずが、そこはペラペラのすだれで仕切られただけの「半個室」。飲み放題のビールはピッチャーで提供され、しかもぬるい。隣の大学生が発する大音量の「ウェーイ!」のせいで、主賓の「最後の挨拶」が全く聞こえない。部長は苦笑い、課長は「もう少し気を使えるようになれるといいね」。え、これって私が悪いの……?
食べログで「新宿 居酒屋 個室」で検索。星3.5以上で、一番上に出てきたチェーン店はきっと人気店。チェーンなら、めちゃめちゃおいしいとはいわないまでも、味も問題ないはず!
しかし、当日お店に行ってみると、「完全個室」のはずが、そこはペラペラのすだれで仕切られただけの「半個室」。飲み放題のビールはピッチャーで提供され、しかもぬるい。隣の大学生が発する大音量の「ウェーイ!」のせいで、主賓の「最後の挨拶」が全く聞こえない。部長は苦笑い、課長は「もう少し気を使えるようになれるといいね」。え、これって私が悪いの……?
CAN(品質)の視点
「会社の最寄りの新宿駅近くで、線路の反対側まで横断せずに行けるエリアで探そう。10人いたら声が大きくなるから完全個室がマストだな。主賓である部長は60代だから食事の品数は多くなくていいけど、部長の好きなお酒があるところを探そう」
と、ここまで「主賓ファースト」の気持ちを持ち合わせていなくても、予約の前にAI(PerplexityやGemini)で情報収集すれば、おのずと主賓が喜ぶお店選びに。
「新宿駅西口から徒歩5分以内。60代男性が主賓の送別会。『静かな完全個室(壁と扉あり)』が絶対条件。Googleマップのクチコミで『うるさい』『提供が遅い』というネガティブワードが含まれる店を除外して、候補を3つ出して」
こんな感じで、いったんAIに希望条件(参加者の年齢・役職・好みの傾向)をすべてぶつけます。このとき、「この予算じゃ無理か」など考えず、とにかく希望を正直に書くのがポイントです。
予算内で希望がかなわない場合も、妥協する必要はありません。条件(パラメーター)の方を調整すれば理想をかなえることができます。
たとえば「店」に限らない解決策を教えて、とAIに指示してみると、「社内でケータリングを楽しむ」選択肢が浮上します。
そうすれば上司には「今の予算で外の店を探すと、料理か個室のどちらかが『安かろう悪かろう』になります」と事実を述べた上で「いっそ社内の会議室で、高級デリバリー(ケータリング)を頼みませんか?」と提案できます。「会議室」という完全な個室で、予算のすべてを飲食に全振りするアプローチです。デパ地下のオードブルや寿司、高級ビールを用意すれば、5000円の居酒屋コースより満足度が高いはず。
または、AIのリサーチ結果をもとに「予算内だと『学生が多く騒がしい店』しかありません。主賓の声が聞こえないリスクがあります。あと1000円追加して6000円出せば、『大人の隠れ家』的な完全個室が確約できます。今回の主賓の顔を立てるための『必要経費(保険料)』として、1000円のアップグレードを検討できませんか?」という提案も可能になります。
上司にとっては意外な提案になるかもしれませんが、「地道に店を探す」というDO(作業)を捨て、「参加者を満足させる」というCAN(目的)の達成にシフトしたことを確かなロジックで説明すれば、「それもありだな」と納得感が上がるはずです。
人間が、避けたいシチュエーションや望ましいプラスポイントを指定しているところがポイント。AIに「いい店ない?」「おすすめの店のリストを作って」と聞くだけの人間は、いずれ、そこにいる必要もなくなってしまうでしょう。
と、ここまで「主賓ファースト」の気持ちを持ち合わせていなくても、予約の前にAI(PerplexityやGemini)で情報収集すれば、おのずと主賓が喜ぶお店選びに。
「新宿駅西口から徒歩5分以内。60代男性が主賓の送別会。『静かな完全個室(壁と扉あり)』が絶対条件。Googleマップのクチコミで『うるさい』『提供が遅い』というネガティブワードが含まれる店を除外して、候補を3つ出して」
こんな感じで、いったんAIに希望条件(参加者の年齢・役職・好みの傾向)をすべてぶつけます。このとき、「この予算じゃ無理か」など考えず、とにかく希望を正直に書くのがポイントです。
予算内で希望がかなわない場合も、妥協する必要はありません。条件(パラメーター)の方を調整すれば理想をかなえることができます。
たとえば「店」に限らない解決策を教えて、とAIに指示してみると、「社内でケータリングを楽しむ」選択肢が浮上します。
そうすれば上司には「今の予算で外の店を探すと、料理か個室のどちらかが『安かろう悪かろう』になります」と事実を述べた上で「いっそ社内の会議室で、高級デリバリー(ケータリング)を頼みませんか?」と提案できます。「会議室」という完全な個室で、予算のすべてを飲食に全振りするアプローチです。デパ地下のオードブルや寿司、高級ビールを用意すれば、5000円の居酒屋コースより満足度が高いはず。
または、AIのリサーチ結果をもとに「予算内だと『学生が多く騒がしい店』しかありません。主賓の声が聞こえないリスクがあります。あと1000円追加して6000円出せば、『大人の隠れ家』的な完全個室が確約できます。今回の主賓の顔を立てるための『必要経費(保険料)』として、1000円のアップグレードを検討できませんか?」という提案も可能になります。
上司にとっては意外な提案になるかもしれませんが、「地道に店を探す」というDO(作業)を捨て、「参加者を満足させる」というCAN(目的)の達成にシフトしたことを確かなロジックで説明すれば、「それもありだな」と納得感が上がるはずです。
人間が、避けたいシチュエーションや望ましいプラスポイントを指定しているところがポイント。AIに「いい店ない?」「おすすめの店のリストを作って」と聞くだけの人間は、いずれ、そこにいる必要もなくなってしまうでしょう。

中野 亜希
ライター・コラムニスト
大学卒業後、ブログをきっかけにライターに。会社員として勤務する傍らブックレビューや美容コラム、各種ガジェットに関する記事執筆は2000本以上。趣味は読書、料理、美容、写真撮影など。
X:@752019















