ウッカリ対馬へ行ってしまいそうになる
福岡でありったけのごちそうを食べて満ち足りた後、やっと高速船で壱岐島へ向かいます。
ちなみに、壱岐島は北九州の各地と結ばれています。今回私が選んだ博多港からの高速船、そして長崎空港からプロペラ機で壱岐空港へアクセスする方法、さらに佐賀県の唐津東港から入るルートもあります。
博多港から高速船で1時間ほど波に揺られて壱岐島の芦辺港へ到着。が、ここで小さなハプニングが。
船が接岸した後も下船せずに悠然と座るお客さんが大勢いたのです。で、船酔い対策のイヤホンをしたまま「みんな何を待ってるのかな〜」なんて一緒になって待っていたら、実は彼らの目的地は対馬であり、壱岐島は通過港だったことが発覚。慌てて降りました。
ちなみに、壱岐島は北九州の各地と結ばれています。今回私が選んだ博多港からの高速船、そして長崎空港からプロペラ機で壱岐空港へアクセスする方法、さらに佐賀県の唐津東港から入るルートもあります。
博多港から高速船で1時間ほど波に揺られて壱岐島の芦辺港へ到着。が、ここで小さなハプニングが。
船が接岸した後も下船せずに悠然と座るお客さんが大勢いたのです。で、船酔い対策のイヤホンをしたまま「みんな何を待ってるのかな〜」なんて一緒になって待っていたら、実は彼らの目的地は対馬であり、壱岐島は通過港だったことが発覚。慌てて降りました。
降りるのがあと3分遅かったら、さらに1時間かけて対馬まで行ってしまっていた
壱岐島でお世話になった宿は壱岐リトリート 海里村上です。ここに泊まってみたくて壱岐島を選びました。なぜかというと、眺望が素晴らしい。
エントランスも、客室も、温泉も、レストランも、みーんな海に面してる
ホテル目当てで来た私に、港まで迎えに来てくれたホテルのスタッフの方が、壱岐島のことをたくさん教えてくれました。壱岐は平坦な土地に恵まれているので農業が盛んなこと。焼酎の蔵元が7つもあること。そして神社は150社以上あり、古墳も280基(長崎県の古墳の60%!)あること。
たしかにホテルまでの道すがら、立派なしめ縄が飾られた鳥居をたくさん見ました。さらに鎌倉時代は蒙古軍の襲来によって戦場となり、その史跡も多く遺されてます(島のある人は「島にとっては悲しい思い出」と仰っていました)。
なんだかものすごい島じゃないか……とドキドキしていたら、部屋からの眺望がこれまたものすごかった。
たしかにホテルまでの道すがら、立派なしめ縄が飾られた鳥居をたくさん見ました。さらに鎌倉時代は蒙古軍の襲来によって戦場となり、その史跡も多く遺されてます(島のある人は「島にとっては悲しい思い出」と仰っていました)。
なんだかものすごい島じゃないか……とドキドキしていたら、部屋からの眺望がこれまたものすごかった。
客室のテラス。露天風呂に浸かりながら海を眺める贅沢。こちらのホテルは必ずサンセット前にチェックインして!
歴史も成分も濃密な温泉と美食
そして眺望だけでなく温泉もスペシャルなのです。
壱岐島の湯本温泉は神功皇后(一説では卑弥呼の正体であるとされる御仁です)が発見したという歴史ある温泉。しかも歴史が濃いだけじゃなく成分もとても濃い。赤褐色のにごり湯で、68度と高温。鉄分と塩分をたくさん含んでいます。顔にパシャっとかけただけで塩気を感じるんです。地元では「ケガをしたら湯本温泉に行く」のが習わしだったとか。私もちょうどこのとき手首を捻挫していたのですが、この温泉につかると不思議とラクになったので感動。
客室にも源泉掛け流しの温泉が引かれています。熱い温泉で体を癒やしながら海をボーッと眺める贅沢……ああ、思い出しただけでもまた入りたい。
そしてお料理も忘れられないくらいおいしかった!「さぞやおいしいだろう」と予想していた玄界灘のアワビ、サザエ、クエは想像以上でしたし、県外にはほとんど出回らないという希少な壱岐牛も甘くて素晴らしかった(いい島でおいしい草を食べてるんだもんなあ……)。
壱岐島の湯本温泉は神功皇后(一説では卑弥呼の正体であるとされる御仁です)が発見したという歴史ある温泉。しかも歴史が濃いだけじゃなく成分もとても濃い。赤褐色のにごり湯で、68度と高温。鉄分と塩分をたくさん含んでいます。顔にパシャっとかけただけで塩気を感じるんです。地元では「ケガをしたら湯本温泉に行く」のが習わしだったとか。私もちょうどこのとき手首を捻挫していたのですが、この温泉につかると不思議とラクになったので感動。
客室にも源泉掛け流しの温泉が引かれています。熱い温泉で体を癒やしながら海をボーッと眺める贅沢……ああ、思い出しただけでもまた入りたい。
そしてお料理も忘れられないくらいおいしかった!「さぞやおいしいだろう」と予想していた玄界灘のアワビ、サザエ、クエは想像以上でしたし、県外にはほとんど出回らないという希少な壱岐牛も甘くて素晴らしかった(いい島でおいしい草を食べてるんだもんなあ……)。
海流の激しい玄界灘で育ったサザエはツノが長いのだそう。確かに我がふるさと瀬戸内のサザエよりツンツンしてる
せっかく麦焼酎発祥の地・壱岐に来たのだから、壱岐の焼酎をいただくことに。焼酎初心者だったので、ホテルの方に相談して選んでもらったのがこちら。
猿川円円(まろまろ)。初心者にも「麦焼酎って香ばしくておいしいんだよ」と教えてくれるような柔らかい口当たりの焼酎。私の焼酎元年はここからスタート
朝ごはんも、ひと目見るなり「うわぁ!」と歓声をあげたくなるような素敵なごちそうが待っていました。
海を眺めながら、揚げたての天ぷらをいただきました
叶うなら春も夏も冬も行ってみたい。じっくり自分を癒やす1人旅でも、家族や恋人とゆっくり楽しむのにもぴったりなリトリートでした(ジムの設備もとてもよかったです。ウェアやシューズまで無料で貸してくれるホテルは珍しいと思います)。
神社や古墳を巡ろう
チェックアウトから帰りのフェリーの時間まで2時間ほどあったので、ホテルで電動のレンタサイクルを手配してもらい島内を少し散策することに。
まずはどうしてもお参りしたかった月讀(つきよみ)神社へ。そう、京都や伊勢神宮の内宮にもある月讀神社の総本社です。
まずはどうしてもお参りしたかった月讀(つきよみ)神社へ。そう、京都や伊勢神宮の内宮にもある月讀神社の総本社です。
キリッと澄み渡るような神社
そしてホテルから月讀神社までの坂道(ほんと坂道!電動アシスト付き自転車じゃないと絶対無理!)には、いくつも神社や古墳があります。壱岐島が大陸との交易が盛んな国際交流都市だったことがうかがえます。
6世紀後半から7世紀に築造された「鬼の塚古墳」。壱岐の首長のお墓です
鬼の塚古墳の入口をボーッと眺めていると、地元のおじさんが「そこに明かりのスイッチがあるよ!」「中に入れるよ!」と教えてくれました。めちゃくちゃ恐れ多いなあと思いながらよっこいしょと岩を乗り越え中にお邪魔して、しっかり拝むことに。まさか自分の死後1400年ほど経って、眺望目当てに島に遊びに来た人間が、自分のお墓によっこいしょとお参りに来るだなんて、首長も想像していなかったかもしれません。
いろんな角度から見るべし!猿岩
フェリーの出航まであと少し時間があったので「“猿岩”とやらも見に行くか」となりました。「猿岩」とは、その名の通り実に猿っぽい形状の岩なのだそうで、その直球なネーミングセンスといい、こんなに観光資源豊かな壱岐島において観光スポットになるほど猿の再現度が高そうなあたりが、私の気を引いたのです。
猿岩目指して、美しい海を眺めながら、ひたすら自転車を走らせます。
猿岩目指して、美しい海を眺めながら、ひたすら自転車を走らせます。
ランニングコースにもぴったり。壱岐島はウルトラマラソンも毎年開催されているそう
馬に遭遇。「馬だ!」と私が声を上げると、馬もまた「人間だ」と言わんばかりに接近
「猿岩はこちら」という案内板に従ってひたすら自転車を走らせることおよそ30分。海風にあおられながら見上げた先にいたのは……!
めっちゃくちゃ猿!
まるで毛深くて肉付きのいいニホンザルが温泉に浸かってるよう。自転車から降りて呼吸を整えながら猿岩を眺めていると、大型観光バスからスーツ姿のおじさんたちが大勢現れ、口々に「さるだなあ」と言いながら記念撮影をして、再びバスに乗り込み去って行きました。
私もおじさんたちと同じように猿岩を写真に収めて帰ろうとしたところで、ふと、ある疑問が湧きました。
見れば見るほど猿の横顔な猿岩だけど、このミラクル猿っぷりは、正面から見るとどうなるのか。で、回り込んで見てみると……!
私もおじさんたちと同じように猿岩を写真に収めて帰ろうとしたところで、ふと、ある疑問が湧きました。
見れば見るほど猿の横顔な猿岩だけど、このミラクル猿っぷりは、正面から見るとどうなるのか。で、回り込んで見てみると……!
ちっとも猿じゃなーい!
猿岩に行く場合は、ぜひ、猿じゃない猿岩も見てほしいです。ついさっきまで自分が「猿だ、猿だ」と騒いでいたアレはなんだったのかとビックリするので。
ちなみにPlayStation4/5のアクションゲーム「ゴースト・オブ・ツシマ」の追加コンテンツの舞台が壱岐なのだそうで、島内の史跡と共に、この猿岩も登場しているのだとか。そりゃ出すよね、だってインパクトがあって面白いもの。
ちなみにPlayStation4/5のアクションゲーム「ゴースト・オブ・ツシマ」の追加コンテンツの舞台が壱岐なのだそうで、島内の史跡と共に、この猿岩も登場しているのだとか。そりゃ出すよね、だってインパクトがあって面白いもの。
壱岐は大きい
たった1日ではとてもじゃないが回りきれない壱岐島に圧倒されたまま、帰りのフェリーに乗り込み、博多港へ戻りました(博多港が終点なので帰りは乗り過ごす心配ナシ)。次は2泊したい。
とはいえ、小旅行で何度も訪れて少しずつ楽しむのにもピッタリな島です。いろんな方法で気軽にアクセスできて、どの季節に行っても、おいしいものと美しい景色と豊かな歴史が待っています。しかも、自分がものすごく遠くへ来てしまった感覚も味わえる不思議な島です。次の旅行の候補地の1つに、ぜひ入れてくださいね。私は湯本温泉とホテル恋しさに、次の予定を立てています。
とはいえ、小旅行で何度も訪れて少しずつ楽しむのにもピッタリな島です。いろんな方法で気軽にアクセスできて、どの季節に行っても、おいしいものと美しい景色と豊かな歴史が待っています。しかも、自分がものすごく遠くへ来てしまった感覚も味わえる不思議な島です。次の旅行の候補地の1つに、ぜひ入れてくださいね。私は湯本温泉とホテル恋しさに、次の予定を立てています。
花森 リド
ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori