近年、本体を曲げられる“折りたたみスマートフォン”が、新しい形状の代表例として存在感を増している。一方で、従来のストレート形状のスマホに新たな機能を盛り込み、「より快適に使える」方向を模索する製品も続々登場している。
その1つが、本体を裏返すとそちら側にも画面が用意されている「両面スマホ」だ。しかも最新モデルは分厚いボディにタフネス仕様をまとった、かなり個性的な端末である。両面スマホは、今後トレンドとして定着するのだろうか。
その1つが、本体を裏返すとそちら側にも画面が用意されている「両面スマホ」だ。しかも最新モデルは分厚いボディにタフネス仕様をまとった、かなり個性的な端末である。両面スマホは、今後トレンドとして定着するのだろうか。
表も裏も画面があるUlefone「Armor 30 Pro」
ネット通販でスマホを物色していると、ときどき見慣れないデザインの製品が目に飛び込んでくる。厚みのある本体にゴムや硬質プラスチックを組み合わせた、いわゆるタフネススマホだ。聞き慣れないメーカーが多数のモデルを展開しているジャンルだが、その中の1つ、中国のUlefone(ウレフォン)の「Armor 30 Pro」は、単なるタフネス機にとどまらない“変態仕様”を備えているのだ。
ただのタフネススマホではないUlefoneのArmor 30 Pro
主なスペックは、本体厚21.2mm、1万2800mAhの超大容量バッテリー、IP68/IP69KとMIL‑STD‑810H(アメリカ国防総省が定める軍用規格の最新版)準拠のタフネスボディ、そして6.95インチの大型ディスプレイ。アウトドアはもちろん、現場作業など過酷な環境でも安心して使える構成だ。そして本体を裏返すと、そこにも3.4インチのディスプレイが埋め込まれている。裏面もタッチ操作にも対応しており、この小型ディスプレイだけでもスマホ的な操作が可能なのだ。
裏側にもディスプレイがある
Armor 30 Proの背面ディスプレイは、分厚い手袋をはめて本体を持っても画面の表示が隠れにくい位置にある。アウトドアや現場作業でスマホを使うと、手袋や軍手がメイン画面にかぶさってしまい、誤操作や表示の一部が見えないといったストレスがつきものだ。背面の中央に独立したディスプレイがあれば、どんな姿勢でも情報を確認しやすく、操作もしやすい。両面スマホは「ネタ端末」と見られがちだが、使い方次第では意外と実用的な存在にもなり得る。
どんなシチュエーションでもスマホとして使える
ここまでの機能を聞いただけでも「もう十分」と思えるArmor 30 Proだが、さらにアウトドア向けの機能として爆音を鳴り響かせることのできるスピーカーを内蔵しているのだ。スピーカー性能は最大118dB、4Wでサイズは直径28mm。数値だけではわかりにくいが、一般的なスマートフォンでは不可能な、屋外でのちょっとしたライブ演奏にも使えるほどの性能だ。もはや「スピーカーにスマホが内蔵された」ともいえるほどである。
Armor 30 Proは、ライティング効果もある巨大スピーカーを内蔵
この大型スピーカーの機能をさらに高める効果として、スピーカー部分のRGBライトを自在に光らせることもできる。通話や通知はもちろん、充電中、そして音楽のリズムに合わせて光るライトからは、視覚的な楽しさも得られるのだ。
10年以上続いた「両面スマホ」の試行錯誤
一見すると便利そうな両面スマホだが、なぜ一般的なスマホメーカーは積極的に採用してこなかったのだろうか。
実は両面スマホの歴史は10年以上前まで遡る。最初のモデルは2013年に登場した「YotaPhone」だ。片面に4.3インチのカラー液晶、もう片面に4.3インチのモノクロ電子ペーパーを搭載。カラー側で通常のスマホ操作を行い、電子書籍やコミックなどを裏面の電子ペーパーで読むことで、バッテリーを長持ちさせる狙いがあった。
実は両面スマホの歴史は10年以上前まで遡る。最初のモデルは2013年に登場した「YotaPhone」だ。片面に4.3インチのカラー液晶、もう片面に4.3インチのモノクロ電子ペーパーを搭載。カラー側で通常のスマホ操作を行い、電子書籍やコミックなどを裏面の電子ペーパーで読むことで、バッテリーを長持ちさせる狙いがあった。
世界初の両面スマホ、YotaPhone
この世界初の両面スマホを生み出したのはロシアのYota Devices。ロシア発の「謎端末」という響きも含めて話題になったが、その後「YotaPhone 2」など後継機が登場したものの、やがて市場から姿を消していった。理由はシンプルで、多くのユーザーが「裏面の電子ペーパーがなくても困らない」からだ。表側のカラー画面だけで用途のほとんどが足りてしまい、表裏を切り替える価値を感じる人が少なかったのである。
YotaPhoneの後を追うように中国の家電メーカーHisenseが2017年2月に発表したのが「Hisense A2」シリーズだ。こちらも片面がカラー液晶、もう片面が電子ペーパーという構成だったが、売れ行きは伸びず、最終的にはカラー画面を廃した「電子ペーパー専用スマホ」に舵を切る。末期にはカラー電子ペーパー搭載の「Hisense A5c」を2020年に発売するなど電子ペーパーに活路を求めたものの、両面スマホとしては、やはり主流にはなれなかった。
YotaPhoneの後を追うように中国の家電メーカーHisenseが2017年2月に発表したのが「Hisense A2」シリーズだ。こちらも片面がカラー液晶、もう片面が電子ペーパーという構成だったが、売れ行きは伸びず、最終的にはカラー画面を廃した「電子ペーパー専用スマホ」に舵を切る。末期にはカラー電子ペーパー搭載の「Hisense A5c」を2020年に発売するなど電子ペーパーに活路を求めたものの、両面スマホとしては、やはり主流にはなれなかった。
Hisenseは両面をあきらめ、片面にカラー電子ペーパーを搭載したスマホHisense A5cを出した
電子ペーパーを裏面に搭載しても、用途が電子書籍やカレンダーの表示程度では、多くのユーザーに刺さらない。そこで発想を変え、「両面ともカラー画面にしてしまおう」と出てきたのが、2018年のvivo「NEX Dual Display」とZTE傘下のNubia「Nubia X」だ。裏面側にはメインカメラを収める都合上、表裏で画面サイズは異なるものの、どちらの面でもカラー表示が可能なため、「本体を裏返す」という意識をほぼなくすことができた。ポケットから取り出した向きのまま、その側をすぐに使えるスマホというわけだ。
vivoのNEX Dual Display
しかし賢い読者なら、もうお気付きだろう。画面が2枚あるということは、その分コストもかさむ。「見た目は面白いが価格が高いだけ」という評価に陥りやすく、両面カラーのスマホも数年で消えてしまった。

山根 康宏
香港在住携帯研究家
スマホとSIMを求めて世界各国を取材中。海外、特に中国の通信事情に精通している。大手メディアへの執筆も多数。海外スマホ・ケータイを1800台所有するコレクターでもある。












