1月26日、東京・渋谷で開催されたテック交流イベント「GMO 渋谷FUTURE 2024」。第1部では「DaiGo のFUTUREゴング~スーパーAIで人類は滅亡!? 禁断のテーマにAI界の識者が挑む~」と題し、AIの今後の進化について生成AIのエキスパートたちが語るパネルディスカッションが行われた。
登壇者の1人、渡辺圭祐氏は、サンフランシスコのAIスタートアップ・Glaspの共同創業者。黒いパーカーのカジュアルな装いで壇上に控えめに座る彼だったが、国内外のAIスタートアップ事情やこれからのAI関連産業について問われると、驚くほど冗舌に答えていたのが印象的だった。
渡辺氏、そしてもう1人の共同創業者でGlasp代表の中屋敷量貴氏の2人は、知識共有プラットフォーム「Glasp」を開発・提供している。
登壇者の1人、渡辺圭祐氏は、サンフランシスコのAIスタートアップ・Glaspの共同創業者。黒いパーカーのカジュアルな装いで壇上に控えめに座る彼だったが、国内外のAIスタートアップ事情やこれからのAI関連産業について問われると、驚くほど冗舌に答えていたのが印象的だった。
渡辺氏、そしてもう1人の共同創業者でGlasp代表の中屋敷量貴氏の2人は、知識共有プラットフォーム「Glasp」を開発・提供している。
Glasp代表の中屋敷量貴氏
Glaspは、ウェブ上にあるテキストにマーカーのようにハイライトを付けて、それをコメントやタグとともに共有できるサービスだ。タグを使って、同じようなトピックに興味のあるユーザーの学びに触れることも可能にしている。
Glaspの紹介動画
via www.youtube.com
イベント後日、渡辺氏に取材したところ、Glaspが目指す最終形は「デジタルクローン」だという。起業家としてシリコンバレーに飛び込んだ理由や、Glaspの提供によって何を目指しているのかを渡辺氏に聞いた。
文系学生、シリコンバレーでスタートアップの人々と出会う
渡辺氏は日本の大学を卒業してすぐ、米国に移住した。
大学生活を始めた渡辺氏は、弁護士や司法書士などの士業でいずれは独立するつもりだったが、大学2年生の時、タイへの2週間の短期留学をきっかけに海外に目が向くようになり、大学3年生の夏には、インドネシア・ジャカルタで日本人起業家が立ち上げたサービスアパートメントでインターンとして6週間勤務。その後、米国・シアトルのワシントン大学へ1年間の予定で留学し、ビジネスを学ぶことになった。
留学中に旅行で訪れたサンフランシスコでの体験が、渡辺氏の大きな転機となる。現地で働く起業家やエンジニア、デザイナーといった人々との出会いに強く印象を受け、スタートアップの人々の働き方に魅力を感じたのだ。1年で帰国し、日本で就職する予定だった渡辺氏だが、そのままサンフランシスコへ移住することを決めてしまった。
ワシントン大学のコース修了後、オプショナル・プラクティカル・トレーニングビザ(OPT、学生ビザで就学後に企業研修のできるビザ)を取得した渡辺氏。最初はリサーチアソシエイトとして、日本の上場企業の株主提案や有価証券報告書を分析し、機関投資家向けのレポートを作成していた。
「シリコンバレーってテックの街なので、テクノロジーのバックグラウンドがなければ仕事を見つけるのが難しいんです。自分は法学とビジネスしか専攻していなかったので、最初は日本語が生かせるリサーチから仕事を始めました」(渡辺氏)
その後、シリコンバレーの大手企業で日本市場の広告分析・作成を担当。広告分析などのプロジェクトに携わった。渡辺氏が共同創業者の中屋敷氏に出会ったのは、この頃だ。大手企業後は、日本人起業家が創業した別のスタートアップにプロダクトマネージャーとして参加するも、2年後に解散してしまった。
大学生活を始めた渡辺氏は、弁護士や司法書士などの士業でいずれは独立するつもりだったが、大学2年生の時、タイへの2週間の短期留学をきっかけに海外に目が向くようになり、大学3年生の夏には、インドネシア・ジャカルタで日本人起業家が立ち上げたサービスアパートメントでインターンとして6週間勤務。その後、米国・シアトルのワシントン大学へ1年間の予定で留学し、ビジネスを学ぶことになった。
留学中に旅行で訪れたサンフランシスコでの体験が、渡辺氏の大きな転機となる。現地で働く起業家やエンジニア、デザイナーといった人々との出会いに強く印象を受け、スタートアップの人々の働き方に魅力を感じたのだ。1年で帰国し、日本で就職する予定だった渡辺氏だが、そのままサンフランシスコへ移住することを決めてしまった。
ワシントン大学のコース修了後、オプショナル・プラクティカル・トレーニングビザ(OPT、学生ビザで就学後に企業研修のできるビザ)を取得した渡辺氏。最初はリサーチアソシエイトとして、日本の上場企業の株主提案や有価証券報告書を分析し、機関投資家向けのレポートを作成していた。
「シリコンバレーってテックの街なので、テクノロジーのバックグラウンドがなければ仕事を見つけるのが難しいんです。自分は法学とビジネスしか専攻していなかったので、最初は日本語が生かせるリサーチから仕事を始めました」(渡辺氏)
その後、シリコンバレーの大手企業で日本市場の広告分析・作成を担当。広告分析などのプロジェクトに携わった。渡辺氏が共同創業者の中屋敷氏に出会ったのは、この頃だ。大手企業後は、日本人起業家が創業した別のスタートアップにプロダクトマネージャーとして参加するも、2年後に解散してしまった。
先人の知識や経験にオンラインでいつでもアクセスしたい
中屋敷氏は渡米前の20歳の頃、硬膜下血腫で生死をさまよった経験があり、「何も社会に貢献せずにこのまま死んでいくのは嫌だ」という強い思いを持つようになったそうだ。渡辺氏と同じ頃にシリコンバレーの大手企業に勤めていた中屋敷氏は、退職後、アメリカ人と共同でスタートアップを立ち上げ、デザインシステムのレビューを効率化するプロジェクトに取り組んでいた。
「ですが、自分で立ち上げた会社を追い出されて、人生にすごく迷っていたんです」(渡辺氏)
当時、中屋敷氏は仲がいい日本人起業家たちと「輪読会」を始め、過去の偉人が人生に迷ったときに何をしてきたかを読書を通じて考え、ディスカッションするようになっていた。渡辺氏も参加するその輪読会の中から、Glaspのアイデアが生まれた。
「なぜ人は他の人から効率的に学ぶことができないのか。先人が違うかたちで経験してきたはずの課題なのに、なぜ我々はその知識に事前にアクセスできないんだろう、と彼は思ったんです。このインターネットの時代、オンラインにある知識や経験がアクセスしやすいかたちで提供されていれば、あらかじめ知ることができるはずだと」(渡辺氏)
この発想をもとに中屋敷氏は、GlaspのプロトタイプにあたるMVP(Minimum Viable Product:最初の最小限のプロダクト)を作ってきた。
「僕がそのMVPをテストユーザーとして使ってみたところ、プロダクトの目指すところと“相性”がよかったんです。それでGlaspを一緒にやってみないかということになりました」(渡辺氏)
渡辺氏は、以前から読んだ本を記録する「読書メーター」には10年で4000冊の記録を残してきたほか、外食の記録や映画の感想など、小まめにライフログをとる習慣があった。ログを取って公開するという「生きていたらそのまま勝手にやりそうなこと」をGlaspでやっていて、「プロダクトフィットがよかった」のだと渡辺氏はいう。
また、中屋敷氏とはシリコンバレーの企業で一緒に働いていたほかにも、別のプロジェクトをともに手がけたことがあり、互いに仲がよかった。
「それで、彼の夢に自分が乗るかたちで、Glaspを始めることになりました」(渡辺氏)
Glaspが立ち上がったのは、2021年6月のことだ。
「ですが、自分で立ち上げた会社を追い出されて、人生にすごく迷っていたんです」(渡辺氏)
当時、中屋敷氏は仲がいい日本人起業家たちと「輪読会」を始め、過去の偉人が人生に迷ったときに何をしてきたかを読書を通じて考え、ディスカッションするようになっていた。渡辺氏も参加するその輪読会の中から、Glaspのアイデアが生まれた。
「なぜ人は他の人から効率的に学ぶことができないのか。先人が違うかたちで経験してきたはずの課題なのに、なぜ我々はその知識に事前にアクセスできないんだろう、と彼は思ったんです。このインターネットの時代、オンラインにある知識や経験がアクセスしやすいかたちで提供されていれば、あらかじめ知ることができるはずだと」(渡辺氏)
この発想をもとに中屋敷氏は、GlaspのプロトタイプにあたるMVP(Minimum Viable Product:最初の最小限のプロダクト)を作ってきた。
「僕がそのMVPをテストユーザーとして使ってみたところ、プロダクトの目指すところと“相性”がよかったんです。それでGlaspを一緒にやってみないかということになりました」(渡辺氏)
渡辺氏は、以前から読んだ本を記録する「読書メーター」には10年で4000冊の記録を残してきたほか、外食の記録や映画の感想など、小まめにライフログをとる習慣があった。ログを取って公開するという「生きていたらそのまま勝手にやりそうなこと」をGlaspでやっていて、「プロダクトフィットがよかった」のだと渡辺氏はいう。
また、中屋敷氏とはシリコンバレーの企業で一緒に働いていたほかにも、別のプロジェクトをともに手がけたことがあり、互いに仲がよかった。
「それで、彼の夢に自分が乗るかたちで、Glaspを始めることになりました」(渡辺氏)
Glaspが立ち上がったのは、2021年6月のことだ。
ムコハタワカコ
編集・ライター
書店員からIT系出版社、ウェブ制作会社取締役、米系インターネットメディアを経て独立。現在は編集・執筆業。IT関連のプロダクト紹介や経営者インタビューを中心に執筆活動を行う。企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)、組織づくりや採用活動などにも注目している。