どの位まで聞こえるの？徹底性能比較！100円ショップの「防犯ブザー」＆「ホイッスル」4選

2022.3.7

シンプルな「金属タイプロング呼子笛」なら、電池切れなどの心配もない

ここまでの2種類を試しただけでも、100円ショップの防犯ブザーでも十分以上に大きな音が出て、操作もとても簡単なことがわかりました。しかし気になるのは「いざという時に、電池が切れていたらどうしよう」という点です。前述の防犯ブザー2種類はともにLR44ボタン電池が3個付属していますが、どちらも付属の電池はテスト用。実際に使用する前に新品と交換することが推奨されていました。また、「防犯ブザー」のパッケージには、連続警鳴は約40分と記載されており、災害時に自分自身を発見してもらうといったシーンでは、シンプルなホイッスル（笛）の方が向いていそうです。

ほとんど装飾性のないシンプルなデザインの「金属タイプロング呼び子笛」。ダイソーにて税込110円で購入

そう考えて100円ショップで探したところ、見つけたのがこの「金属タイプロング呼び子笛」。アルミ製の本体は非常に軽くてコンパクト、当たり前ですが電池切れで音が出ないといった心配もありません。使用方法も非常にシンプルでただ吹くだけです。こちらもその音がどこまで聞こえるのか、実際にテストも行いました。

防犯や防災目的だけでなく、運動競技の審判などの用途にも活躍する、錆びにくいアルミボディ製の「金属タイプロング呼び子笛」

思い切り笛を吹くなんて、小学生以来かもしれません。ホイッスルは種類や吹く人の肺活量などにも影響を受けるものの、120dB程度の音を出せるものが多いとのこと。スポーツシーンはもちろん、防犯や防災の目的で使用されることも多いそうです。

この「金属タイプロング呼び子笛」で音が出るのか「デシベル X」で計測したところ、結果は約105dB。簡単に防犯ブザー並みの音量を記録しました。音の印象は「ピィー、ピィー」といったもので、時代劇で盗賊などが逃げているときに、捕物の役人が吹く呼び子そのものです。

実際に「金属タイプロング呼び子笛」を吹いてもらい、その音が聞こえる距離をロードメジャーで計測しました

どの程度の距離まで音が伝わるかもロードメジャーで計測しました。こちらも約500mと予想以上。500m地点で、ホイッスルの音が聞こえなくなった原因は、測定を行った道沿いのセメント工場に近づいてしまった結果、騒音が大きくなった影響もあったかもしれません。とにかく遠くまでよく聞こえます。ブザーの音が機械の駆動音にかき消されがちなのに対して、ホイッスルの音はより遠くから識別することができ、予想以上の結果に驚きました。

防犯だけでなく、防災時にも役に立つ「軍手・ロープ・笛3点セット」は高コスパで秀逸

防犯ブザーはもちろん、防犯や防災目的で購入する「笛」も、できることなら一生使わないで済む方が望ましいアイテムと言えるでしょう。とはいえ、いざという時に用意しておかなかったことを後悔するアイテムでもあります。そんなときに便利なのが100円ショップのアイテムです。そんな防犯・防災目的でそろえたいアイテムの中でも、特にコストパフォーマンスに優れているのがこの「軍手・ロープ・笛3点セット」です。今回の主な目的である笛以外にも、軍手と3mのロープが付いて、なんと税込110円。

ダイソーで購入した「軍手・ロープ・笛3点セット」。軍手とロープ、さらに写真の笛まで付いて税込110円。非常にコストパフォーマンスが高いアイテムです

普段、自動車のトラブル処理や力仕事はまったくしないという方にはわかりづらいかもしれませんが、いざという時に軍手があるとないとでは大違い。また、ロープもさまざまな応用がきき、使い道が多いので1本あるととても便利です。このテスト後、筆者はもうひとつ購入して一人暮らしの母の自動車のダッシュボードにも入れておきました。それぐらいの高コスパアイテムです。

「軍手・ロープ・笛3点セット」は、写真のようにとてもコンパクトにまとめられています。自動車のダッシュボードに入れておくと、いざという時に安心ではないでしょうか

今回の主役であるホイッスル（笛）は、3点セットの中でも「おまけ」感があり、プラスチックでできたオレンジ色のホイッスル本体もやや簡易的ですが、非常用としては十分といった印象。こちらも実際にどこまで音が届くのかなどを計測しました。

「軍手・ロープ・笛3点セット」の笛は、今回紹介した製品の中では唯一、単品ではなく“セットの一部”であるアイテム。しかし実際にこの笛を吹いてみると、思った以上に大きな音が出ます。こちらもどのくらいの音が出ているのかを「デシベル X」で計測しました。結果は約120dBと今回テストしたアイテムのなかでもっとも大きな音が出る意外な結果に。価格と音の大きさは関係ないようです。音の印象としては「ピィールールールー」といった感じで、学生時代に体育や部活などで監督やコーチが使っていた球入りの笛そのものです。

「軍手・ロープ・笛3点セット」に入っていた笛の音がどこまで届くかも、ロードメーターを使って実際に計測しました

こちらの笛もどこまで音が届くのか、実際にロードメーターを使いながら計測。音の届いた距離は約500mでした。この結果も最終的にはセメント工場に近づきすぎて、そこから出る音で最終的にホイッスルの音がかき消された部分はありそうです。正直、計測前は笛の音が500mも離れた地点で聞こえるとはまったく予測していなかったので、非常に驚きました。笛や前述のホイッスルの音は、予想以上に遠くまで届くと言えるでしょう。また、コストパフォーマンスという点で言えば、「軍手・ロープ・笛3点セット」の笛は、今回使ったアイテムのなかでナンバーワンといえます。

使用シーンを想定して複数個用意したい「防犯ブザー」と「ホイッスル」

残念なことに、現代社会においては理不尽な暴力や犯罪、自然災害などによって、その身が危険にさらされる可能性は誰にでもあります。そんな時、周りの人へ身の危険にさらされている自分の存在を“音”で伝えてくれるのが「防犯ブザー」や「ホイッスル」です。実験の結果から100円ショップで購入したアイテムでも、音の届く距離は十分以上。また、「防犯ブザー」や「ホイッスル」は、ひとつあれば十分と思っていたのですが、実際に使ってみると想定シーンや使用者に合わせて複数個用意しておくのが現実的だと感じました。

周囲の人などに音で自分の身の危険を知らせる「防犯ブザー」や「ホイッスル」。想定シーンに合わせて、いくつか用意しておくのがおすすめです

例えば、電池切れの心配のないホイッスルや笛の方が便利に感じますが、実際に犯罪に巻き込まれそうな状況で子どもがホイッスルや笛を吹くのは難しいですし、相手の妨害にあいそうです。そう考えると、ピンを引っ張るだけで大きな音が出る防犯ブザーの方が実用性が高く感じます。

逆に筆者のような成人男性であれば、犯罪による身の危険よりも、災害による被害に重点を置いてもいいのかもしれません。そうすると、電池切れの心配のある防犯ブザーよりも、ホイッスルをキーホルダーに付けておくといった準備の方が現実的に感じます。自動車に装備しておくことを考えるなら「軍手・ロープ・笛3点セット」のようなアイテムは活躍の幅が広いでしょう。

そんな風に考えると、どんなシーンで、誰が使うのかを想定し、家族それぞれにいくつかの「防犯ブザー」や「ホイッスル」を用意するのがおすすめです。100円ショップのアイテムなら、手頃な価格でいろいろなアイテムを用意できるのも大きなメリット。皆さんもいくつかのアイテムを入手して、万が一に備えてみてはいかがでしょうか。筆者も今回テストしたアイテムの数々を家族で使い分け、少し安心が増しました。自分自身はホイッスルをキーチェーンに装着済み。夢で声が出なかった時は、防犯ブザーをひっぱるのを忘れないようにしようと思います。

撮影＆実測協力：新千歳モーターランド　https://ncml.jp/