普通のスマートフォンを横に開くと正方形型の小型タブレットになる二つ折り型の折りたたみスマートフォンが複数のメーカーから販売されている。実はそれをさらに進化させた三つ折り型のスマートフォンも市販されているのだ。
今回は、2025年6月時点で唯一販売されているHUAWEI(ファーウェイ)の三つ折りスマートフォンの使い勝手を検証し、その魅力をお伝えしよう。
今回は、2025年6月時点で唯一販売されているHUAWEI(ファーウェイ)の三つ折りスマートフォンの使い勝手を検証し、その魅力をお伝えしよう。
閉じた状態は普通のスマホ
ファーウェイの三つ折りスマートフォン「Mate XT ULTIMATE DESIGN」はヨーロッパや東南アジア、中国などで現在販売中だ。三つ折りモデルは現時点でファーウェイだけが製品化しており、折りたたみスマートフォンでライバルとなるSamsung(サムスン電子)もまだ製品化していない。
Mate XT ULTIMATE DESIGNはファーウェイの技術力の高さを誇示する製品でもあり、定価約40万円(中国価格1万9999元)と高価ながらも、このモデルをあえて購入するユーザーも増えているという。
Mate XT ULTIMATE DESIGNはファーウェイの技術力の高さを誇示する製品でもあり、定価約40万円(中国価格1万9999元)と高価ながらも、このモデルをあえて購入するユーザーも増えているという。

2025年6月時点で世界で唯一販売中の三つ折りスマホだ
折りたたみスマートフォンの一番のメリットは、本体をたたむと普通のスマートフォンサイズになることだ。Mate XT ULTIMATE DESIGNも閉じた状態を正面から見ると誰もが一般的なスマートフォンと思うだろう。
ディスプレイサイズは6.4インチ、縦横比は20:9であり、閉じた状態でも違和感なく使える。移動中や電車の中などでもスマートフォンとしての使い勝手は良い。
ディスプレイサイズは6.4インチ、縦横比は20:9であり、閉じた状態でも違和感なく使える。移動中や電車の中などでもスマートフォンとしての使い勝手は良い。

たたむと普通のスマホに見える
背面はヴィーガンレザーで覆われた高級感あふれる仕上げになっている。またカメラは5000万画素の広角、1200万画素の5.5倍望遠、1200万画素の超広角と3つを搭載。広角カメラは物理的な絞り羽根のある可変絞りも採用しており、ボケを自在にコントロールした写真撮影も可能だ。
高級感のある仕上げと高性能なカメラを搭載したハイスペックなモデルということから、中国では企業のエグゼクティブ層にもユーザーが多いらしい。実際に筆者も海外展示会で中国企業のトップにインタビューをする際に、相手の方がMate XT ULTIMATE DESIGNを持っていた、というケースが何度もあった。
高級感のある仕上げと高性能なカメラを搭載したハイスペックなモデルということから、中国では企業のエグゼクティブ層にもユーザーが多いらしい。実際に筆者も海外展示会で中国企業のトップにインタビューをする際に、相手の方がMate XT ULTIMATE DESIGNを持っていた、というケースが何度もあった。

エグゼクティブ層にも受ける高級感あるボディー
ただしディスプレイを「Z字」型に折りたたむことから、本体をたたんだときはある程度厚くなってしまうのがネガティブポイントだ。閉じたときの本体サイズは156.7✕73.5✕ 12.8mmであり、一般的なスマートフォンより厚みがある。また重量も298gと重い。とはいえ開けば大型タブレットになる利便性を考えると十分許容できるサイズ感だ。

たたんだ時はやや厚くなる
開くと正方形に、そして大画面タブレットにも変形
それではMate XT ULTIMATE DESIGNの本体を開いてみよう。まずは1枚のディスプレイを開いてみる。上から見るとわかりやすいが、3枚のディスプレイがZ字型に折り曲がっており、1枚ずつ開いて使うことができるのだ。

まずは1枚だけを開く
1枚だけを開くとほぼ正方形サイズの状態となる。スマートフォンメーカー各社で市販されている二つ折りのスマートフォンと同じ形状だ。この状態のディスプレイサイズは7.9インチ、2048✕2232ピクセルとなる。ディスプレイの左側は裏側にもう1枚分のディスプレイが折り曲がった状態になっているが、縁の部分は全体が黒縁で覆われており、正方形サイズのディスプレイとして使える。

ディスプレイを1枚開くと二つ折りスマホと同じ使い勝手
そしてこの状態からもう1枚のディスプレイを開くことができるわけだ。このように三つ折りスマートフォンは「普通のスマートフォン」「二つ折りスマートフォンの正方形サイズ」「大型画面タブレット」と、3つのスタイルを使い分けられるのである。

ディスプレイをさらに開く
三つ折りスマートフォンを完全に開くと見た目もサイズも一般的なタブレットと同じになる。ディスプレイサイズは10.2インチ、解像度は3184✕2232ピクセルだ。二つ折りスマートフォンは開いてもディスプレイの大きさはここまで広くなく、またほぼ正方形であることから動画視聴時などフル画面を有効利用できない。それに対して三つ折りスマートフォンはタブレットやノートPCなどと同等の作業環境、視聴体験を得られるのだ。

三つ折りスマートフォンを完全に開けば一般的なタブレットと同じ形状になる
開いたときのサイズは156.7✕219✕3.6mmであり、本体の厚みは非常に薄い。なおこの厚さのスマートフォンを作ったとしたら、薄すぎることで本体が簡単に折れ曲がってしまうだろう。Mate XT ULTIMATE DESIGNは開くと大きな画面になるため、ここまで薄くとも本体全体で曲げやゆがみに対抗できるのである。

3.6mmと薄い本体
ではこの大きな画面でコンテンツを表示してみよう。例えば地図アプリもここまで大きな画面で表示できる。スマートフォンの狭い画面と比べ、約3倍の表示面積があるので地図も見やすい。カフェで休憩中に大画面で地図を検索し、店を出るときは本体を折りたたみ、普通のスマートフォンとして持ち運ぶ、そんな使い方もできるのである。

地図アプリも大画面で表示できる
また2つのアプリを表示してみよう。このように地図アプリで目的地を表示しながら、別のアプリを表示しても余裕がある。2つのアプリを不自由なく扱えるのだ。

2つのアプリを表示しても不自由なく扱える
同じ操作を二つ折りスマートフォンで行ってみた。スマートフォンサイズの画面表示が2列並ぶため、使いにくくはないものの、三つ折りスマートフォンの方が表示体験は快適なことがわかるだろう。

二つ折りスマホで2つのアプリを開いた状態
つまり、三つ折りスマートフォンのディスプレイの表示サイズは、二つ折りスマートフォンと一般的なスマートフォンを合わせた大きさになるのである。三つのデバイスを並べてみたが、三つ折りスマートフォンはこの三つのサイズ全てを使い分けることができるのだ。

三つ折りスマホは3つのサイズを使い分けられる

山根 康宏
香港在住携帯研究家
スマホとSIMを求めて世界各国を取材中。海外、特に中国の通信事情に精通している。大手メディアへの執筆も多数。海外スマホ・ケータイを1800台所有するコレクターでもある。