防災ボトルにスニーカーなど「持ち歩く防災」が基本、オフィスワーカーのための総合防災ガイド

中野 亜希

Specialライフスタイル
2011年3月11日午後2時46分。私は都心のオフィスで仕事をしていました。 突然、経験したことのない大きな揺れが襲い、オフィス中がパニックになったのを今でも覚えています。

高層ビルは回転するかのように揺れ、電車は全て止まり、携帯電話もつながらない。会社から自宅までの8キロの道のりを私は歩いて帰宅することにしました。幸い、途中でコンビニで水と菓子パンを買えたこと、スマホで安全なルートを調べておいたことで、なんとか無事に愛犬の待つ自宅にたどり着くことができました。

防災の日を前に改めて思うのは、「備えあれば憂いなし」とも言うべき事前の備えです。

防災ボトルで始める「0次の備え」

最近話題の「防災ボトル」は、500〜600mlほどのウォーターボトルの中に非常時に備えたアイテムを詰めて携帯しておくものです。東日本大震災の際、これが手元にあれば、1人で長距離を歩いて帰るのも心強かったに違いありません。地震が起きた瞬間を乗り切ってすぐ、どこにいても必要となる「0次の備え」としてはまさに理想的だと感じています。

防災ボトルに必須の8点セットとは?

必須アイテム

「防災ボトル」にはどんなものを入れるべきでしょうか?

まずは必須アイテムをそろえ、その後、まだ空いているスペースに自分に合ったアイテムをプラスする形でカスタムしていくのがおすすめです。

ウォーターボトル(500ml程度)
アイテムをまとめ、水を汲むこともできる重要アイテム。軽くて口の広いものが防災ボトル向きです。

ホイッスル
大声で叫ぶよりも少ない息でよく通る音を出すことができるホイッスルは、身動きがとれなくなって助けを呼ぶ時の必需品。軽量で音が大きいものを選びます。

ミニライト
震災直後は停電の可能性も。被災するのは明るい時間とは限りません。停電時や夜間の移動に備えて、周囲を照らす小型のライトがあると安心です。

圧縮タオル
小さく圧縮されており、手でほぐすか水をかけると広がる「圧縮タオル」は衛生管理、止血、防寒にと万能です。通常のタオルよりかさばらないのがうれしいところ。

エチケット袋・ビニール袋
災害時はビニール袋の万能ぶりに驚きました。多用途に使えるので、大きさ違いで数枚あると安心です。

アルコールティッシュ
被災直後は思わぬケガの可能性も高まります。感染症対策と傷の手当てに、アルコールティッシュや消毒綿を入れておきましょう。

マスク
マスクの役割は感染症予防だけではありません。建物が倒壊した場合に飛び散る粉塵からも守ってくれます。また、東日本大震災のときは暗い道を1人で歩いていると、わざわざ近寄ってきて顔を覗き込んできたり、関係ないことを話しかけてくる人が多いのがとても気になりました。女性の場合は人の目を遮る目的としても、あると安心なアイテムです。

ばんそうこう
災害時は、普段歩かないような距離を歩かなくてはいけない場合も。東日本大震災のときも靴擦れを起こして道端に座り込んでいる人を見かけました。ボトル内の隙間に入れておくと安心。

こんなカスタマイズもおすすめ

より安全に備える追加アイテム

基本セットに加え、「自分が安全に帰宅するために必要だと思うもの」を一緒に詰めておくと、さらに安心です。ボトルの容量には限りがありますが、「ライトやホイッスルといったすぐに使いたいアイテムはカラビナにつないでボトルの外に出しておく」などの工夫で、かなり追加アイテムを入れられます。

私の場合は避難時の視界確保のためのヘアゴムや、ハサミ、ナイフ、ピンセットなどがカード上に収まったツールキットを追加しました。「明日被災する」と考えると、今の時期なら日差しの強い日中の避難に備えたミニ日焼け止め、ミニティッシュも必要。美容目的というよりは、日光に当たることや汗を拭けずに蒸し暑い状態でいることで体力を消耗するのを防ぐためです。さらに、前回の避難ではうっかり割ってしまった爪を服に引っかけ、さらに深く割れて痛い思いをしたことを思い出し、爪ヤスリも隙間に忍ばせました。

この他、予備の乾電池や、包帯のような応急処置具も、入れておくと安心感を高めてくれます。

女性の場合は単独行動時の安全確保に防犯ブザーや、生理用品なども入れておくとよいでしょう。

コンビニにも「非常食」になりえるものが売っている

ちょっとした食べ物も入れておくと安心です。避難時ではないですが、お腹ペコペコの状態で長時間自転車をこいでいて力が出なくなり、ロードサイクルに乗っているのにママチャリに抜かれた経験があります。そのときは路肩でチョコレートをひとつ食べただけで力がみなぎり、また早く走れるようになりました。

個包装の梅干しや塩タブレット、ようかん、クッキーなどを入れておくのがおすすめです。定期的に賞味期限を確認して入れ替えましょう。

いざ収納する際は、マスクやビニール袋など、曲がってもいいものをボトルの中に沿わせるように入れ、お菓子などは隙間にねじ込むように入れると、ボトルひとつにかなりの品数の避難グッズが入ります。
「家まで一晩かけて歩いて帰るなら?」「駅構内で一時避難することになったら?」など、想像力を働かせながらボトルをカスタマイズしてみてください。
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中野 亜希

ライター・コラムニスト
大学卒業後、ブログをきっかけにライターに。会社員として勤務する傍らブックレビューや美容コラム、各種ガジェットに関する記事執筆は2000本以上。趣味は読書、料理、美容、写真撮影など。
X:@752019

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