小学校の教室には“ボンドロ鑑定士”がいる
ボンボンドロップシールは文具メーカー・クーリアの登録商標です。そしてボンボンドロップシールの他にも、他のメーカーから出ている立体シールも、もちろん存在します。クラックスの「うるちゅるポップシール」なども人気です。
そして、残念ながら「ボンボンドロップシールや、うるちゅるポップシールをかたった模造品」があるわけです。メーカーはもちろん、子どもたちも、その真贋を気にしているようです。
例えば、親友の5歳の息子さんが自分のイタリアンブレインロットのシールを、女の子のお友だちに披露したところ、その女の子はシールを触るなり「これはニセモノ!」と即判定したのだとか。
「指で触ってプックリしたところがへこんだらニセモノ!」「本物はちゅるんとしている!」「台紙の商標がアヤシイ!」など、真贋を見極めるポイントがいくつかあるのだそう。クーリアからも模造品への注意喚起が出ています。
で、友人が見せてくれたシールのうち「ちいかわ」の「ハチワレ」だけは、ボンボンドロップシールの本物でした。“本物のボンドロ”は、テリテリとツヤがあってボリュームたっぷり、しかもハチワレのかわいらしさも感じられて、透明感もある。“ボンドロ鑑定士”のつもりになって指でつついてもへこまない。なるほど本物の風格がある。
ところで、「シールなんてどれでも一緒じゃん?」と思ってしまう人もいるはずです。私も最初は「シールにニセモノ!?」とちょっとだけ思いましたもん。
でも、私のカルティエのブレスレットを誰かが指さして「18金のチェーンブレスレットなら、他ブランドの20分の1の値段のものでもよくない? いっそ、スーパーコピーでも他人にはわからないでしょ?」と言ったなら、「(平気な人もいるのかもしれませんが)私は無理ですね」と即答するはずです。つまりそういうことです。
ボンボンドロップシールをはじめとする立体シールは、現在シール交換で人気のため、その真贋が交渉の重要なポイントになることは想像がつきます。それに、そもそも「ちゃんとプックリとした、テリテリの高品質なシール」がかわいらしいことは事実なんですよね。カルティエだってムッチムチの地金なのにスッキリ見えるデザインが魅力ですし。
とはいえ「本物じゃないと意味がない」と切り捨てるのも少しナンセンスな話で、例えば「子どもが作った手作りシールに価値はない」なんて私は言えません。売り物ではなく、クローズドな環境で取り扱われて、その人にとって大切なものであれば、宝物となり得るはずです。
「本物の立体シール」は現在品薄な状態が続いており、まず手に入らない。行きすぎたシール争奪戦からは距離を置きたい。でも子どもが好きなキャラクターだし、そもそも生成AIで作られたイタリアンブレインロットだし……ちいかわと比べるとちょっぴり薄いバレリーナ・カプチーナのシールをなでてみると、優しい親心を感じます。
そして、残念ながら「ボンボンドロップシールや、うるちゅるポップシールをかたった模造品」があるわけです。メーカーはもちろん、子どもたちも、その真贋を気にしているようです。
例えば、親友の5歳の息子さんが自分のイタリアンブレインロットのシールを、女の子のお友だちに披露したところ、その女の子はシールを触るなり「これはニセモノ!」と即判定したのだとか。
「指で触ってプックリしたところがへこんだらニセモノ!」「本物はちゅるんとしている!」「台紙の商標がアヤシイ!」など、真贋を見極めるポイントがいくつかあるのだそう。クーリアからも模造品への注意喚起が出ています。
で、友人が見せてくれたシールのうち「ちいかわ」の「ハチワレ」だけは、ボンボンドロップシールの本物でした。“本物のボンドロ”は、テリテリとツヤがあってボリュームたっぷり、しかもハチワレのかわいらしさも感じられて、透明感もある。“ボンドロ鑑定士”のつもりになって指でつついてもへこまない。なるほど本物の風格がある。
ところで、「シールなんてどれでも一緒じゃん?」と思ってしまう人もいるはずです。私も最初は「シールにニセモノ!?」とちょっとだけ思いましたもん。
でも、私のカルティエのブレスレットを誰かが指さして「18金のチェーンブレスレットなら、他ブランドの20分の1の値段のものでもよくない? いっそ、スーパーコピーでも他人にはわからないでしょ?」と言ったなら、「(平気な人もいるのかもしれませんが)私は無理ですね」と即答するはずです。つまりそういうことです。
ボンボンドロップシールをはじめとする立体シールは、現在シール交換で人気のため、その真贋が交渉の重要なポイントになることは想像がつきます。それに、そもそも「ちゃんとプックリとした、テリテリの高品質なシール」がかわいらしいことは事実なんですよね。カルティエだってムッチムチの地金なのにスッキリ見えるデザインが魅力ですし。
とはいえ「本物じゃないと意味がない」と切り捨てるのも少しナンセンスな話で、例えば「子どもが作った手作りシールに価値はない」なんて私は言えません。売り物ではなく、クローズドな環境で取り扱われて、その人にとって大切なものであれば、宝物となり得るはずです。
「本物の立体シール」は現在品薄な状態が続いており、まず手に入らない。行きすぎたシール争奪戦からは距離を置きたい。でも子どもが好きなキャラクターだし、そもそも生成AIで作られたイタリアンブレインロットだし……ちいかわと比べるとちょっぴり薄いバレリーナ・カプチーナのシールをなでてみると、優しい親心を感じます。
平成レトロと“ウチら”のシール交換
さて、平成の前半に10代を過ごし、今はいいオトナな友人とおしゃべりをするときに必ず盛り上がる鉄板ネタがあります。1990〜2000年代のコスメとプリクラです。
資生堂のコスメブランド「ピエヌ(PN)」のリキッドチークに伊東美咲出演のCM、プリクラを貼りまくったLOVE BOATのミラーや、コッペパンみたいな色に日焼けしたロコガール風のハローキティ……なんというか、懐古(レトロ)趣味で片付けるにはあまりにガチャガチャと元気なんですよ。“ウチら”というワードがとてもよく似合う。
ウチらは無敵で、世の中のど真ん中にいて、とりあえず若くて元気だし毎日楽しくてしょうがない。大きな災害や陰惨な事件もあったのに、それはそれと言わんばかりの切実な陽気さがありました。
そんな時代に愛されていたものたちが、令和の今になって「平成レトロ」と呼ばれています。当時のピエヌのギラギラなCMはYouTubeやTikTokを探せばすぐに見つかりますし、LOVE BOATのミラーは今でも買えます。もちろんハローキティは令和の今もピチピチにかわいい。
キレイなシールがビッシリ敷き詰められたシール帳も、平成レトロが醸し出すガチャガチャした無敵感をまとっています。集めたシールを見せ合って、プリクラを交換するようにシールを交換するのも、いかにもウチらがやりそう(“レート”まで決めてガツガツやっていたかはわからないですが)。なのでシル活は20〜40代の女性とも相性がいいようです。
ところで、20年前に少年少女だった人間が今になって「平成レトロ」に触れると、大正や昭和の人も味わってきたであろう「懐かしさ」の核心が、やっと自分たちにも生々しく迫ってきたのだと感じます。とても奇妙な感覚です。
自らを「ウチら」と呼んでいた時代を仮に「青春」とするなら、その青春は明らかに終わっています。なのに、自分たちの青春が平成レトロの名を借りて薄皮1枚のところに広がっているのです。戻れるとは思っておらず、そもそも戻りたいのかすらも不明だが、戻る手だてがないことだけはわかっているものが、膜1枚を隔てて目と鼻の先で揺らされていたら、しかもそれがツヤツヤと光っているなら、狂ったように飛びついてしまうのは無理のないことかもしれません。
資生堂のコスメブランド「ピエヌ(PN)」のリキッドチークに伊東美咲出演のCM、プリクラを貼りまくったLOVE BOATのミラーや、コッペパンみたいな色に日焼けしたロコガール風のハローキティ……なんというか、懐古(レトロ)趣味で片付けるにはあまりにガチャガチャと元気なんですよ。“ウチら”というワードがとてもよく似合う。
ウチらは無敵で、世の中のど真ん中にいて、とりあえず若くて元気だし毎日楽しくてしょうがない。大きな災害や陰惨な事件もあったのに、それはそれと言わんばかりの切実な陽気さがありました。
そんな時代に愛されていたものたちが、令和の今になって「平成レトロ」と呼ばれています。当時のピエヌのギラギラなCMはYouTubeやTikTokを探せばすぐに見つかりますし、LOVE BOATのミラーは今でも買えます。もちろんハローキティは令和の今もピチピチにかわいい。
キレイなシールがビッシリ敷き詰められたシール帳も、平成レトロが醸し出すガチャガチャした無敵感をまとっています。集めたシールを見せ合って、プリクラを交換するようにシールを交換するのも、いかにもウチらがやりそう(“レート”まで決めてガツガツやっていたかはわからないですが)。なのでシル活は20〜40代の女性とも相性がいいようです。
ところで、20年前に少年少女だった人間が今になって「平成レトロ」に触れると、大正や昭和の人も味わってきたであろう「懐かしさ」の核心が、やっと自分たちにも生々しく迫ってきたのだと感じます。とても奇妙な感覚です。
自らを「ウチら」と呼んでいた時代を仮に「青春」とするなら、その青春は明らかに終わっています。なのに、自分たちの青春が平成レトロの名を借りて薄皮1枚のところに広がっているのです。戻れるとは思っておらず、そもそも戻りたいのかすらも不明だが、戻る手だてがないことだけはわかっているものが、膜1枚を隔てて目と鼻の先で揺らされていたら、しかもそれがツヤツヤと光っているなら、狂ったように飛びついてしまうのは無理のないことかもしれません。

花森 リド
ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori















