電子契約サービス「電子印鑑GMOサイン」を提供するGMOグローバルサイン・ホールディングスと、宅建協会会員業務支援サイト「ハトサポ」を運営する全国宅地建物取引業協会連合会は、2025年9月に不動産取引における電子契約の実態に関する共同調査を、不動産事業者へ対象に実施しました。
「ハトサポ」は全宅連が運営する宅建協会会員業務支援サイトで、クラウド上で不動産関連書式を作成できる「ハトサポWeb書式作成システム」、会員間の不動産情報流通システム「ハトサポBB」、電子契約「ハトサポサイン」がシームレスに連携することで会員の業務DX化をサポートしています。いつでも無料閲覧できる「Web研修」、顧問弁護士による無料法律相談、業務に役立つ80種類以上のサービスや商品なども提供しています。
2022年5月に施行された改正宅地建物取引業法(以下、改正宅建業法)により、不動産取引における電子契約の利用が可能となってから3年以上が経過しました。共同調査は2023年6月にも実施しており、今回で2回目となります。
本調査を通じて、不動産取引における電子契約の利用状況や課題についての実態が判明しました。電子契約が解禁されてから約1年後の前回調査と、3年以上が経過した今回の調査ではどのような差が出たのかも含めて紹介していきましょう。
「ハトサポ」は全宅連が運営する宅建協会会員業務支援サイトで、クラウド上で不動産関連書式を作成できる「ハトサポWeb書式作成システム」、会員間の不動産情報流通システム「ハトサポBB」、電子契約「ハトサポサイン」がシームレスに連携することで会員の業務DX化をサポートしています。いつでも無料閲覧できる「Web研修」、顧問弁護士による無料法律相談、業務に役立つ80種類以上のサービスや商品なども提供しています。
2022年5月に施行された改正宅地建物取引業法(以下、改正宅建業法)により、不動産取引における電子契約の利用が可能となってから3年以上が経過しました。共同調査は2023年6月にも実施しており、今回で2回目となります。
本調査を通じて、不動産取引における電子契約の利用状況や課題についての実態が判明しました。電子契約が解禁されてから約1年後の前回調査と、3年以上が経過した今回の調査ではどのような差が出たのかも含めて紹介していきましょう。
利用者の顧客満足度は82.9%で、前回調査の71.2%から11.7ポイント向上
回答者の約82.9%が、電子契約は顧客から「おおむね好評だった」と回答し、満足度は2023年に実施した前回調査の71.2%より11.7ポイント向上しました。背景には、改正宅建業法により電子契約が解禁されてから3年が経過し、不動産業界全体や社内での活用が拡大したことが考えられます。電子契約をスムーズに運用できる企業や顧客が増えていることも、その一因です。
「電子契約システムを導入した結果、顧客の反応はいかがでしたか」の調査結果
前回調査時は導入企業から「社内での活用が浸透するためにどのようなマニュアルや研修を整備すればよいか」など、基本的な質問がGMOグローバルサインHDや全宅連に多く寄せられていましたが、現在は「複数の仲介会社やオーナー、保証会社が関わる契約フローをどう設計するべきか」「入居者や保証人の本人確認を電子契約上でどのように担保すべきか」など、課題解決に向けたより深い内容の質問へと変化したことからも、顧客満足度の向上が見て取れます。
初期段階では導入の入り口の運用であった電子契約も、長期的な利用を経て、実効性のある運用体制へと進化していることが分かります。
初期段階では導入の入り口の運用であった電子契約も、長期的な利用を経て、実効性のある運用体制へと進化していることが分かります。
過半数の企業が、コスト削減や顧客との日程調整のしやすさなどを実感
導入効果のトップは、「印紙税コスト削減」でした(前回3位/約50%→今回1位/約68%)。第2位は「顧客との日程調整が容易になる」(前回2位/約53.9%→今回2位/約59%)、第3位は「契約書などの書類送付の省力化および業務効率化が実現」(前回1位/約56.6%→今回3位/約57.8%)となっています。いずれも、前回調査より多くの企業が導入効果を実感していると回答し、ポイントが上昇しました。
「電子契約システムを導入・利用している方は、実際にどのような導入効果がありましたか」の調査結果
最も重要な効果として今回、「印紙税コスト削減」が挙げられた背景には、電子契約による「印紙税コスト削減」が継続的に積み重ねられることで、企業が想定していた以上の投資対効果が得られたことが考えられます。また今回は第3位だったものの、前回調査でトップだった「業務効率化」は今回も約6割の企業が効果を認識していることから、引き続き重要な導入効果として位置付けられています。
電子契約の導入検討中企業が抱える課題は、導入により解決したものと一致
電子契約を未導入で「導入を検討中」と回答した企業が抱える課題は、導入済み企業が電子契約の利用によって解決できた課題と一致しました。これにより電子契約は、企業の課題解決に寄与していることが示されました。
検討理由の第1位は「顧客が来店しなくても契約可能にしたい」(約75.8%)、第2位は「保管・管理の効率化、ペーパーレス化」(約61.1%)、第3位は「コスト削減」(約59.8%)です。
検討理由の第1位は「顧客が来店しなくても契約可能にしたい」(約75.8%)、第2位は「保管・管理の効率化、ペーパーレス化」(約61.1%)、第3位は「コスト削減」(約59.8%)です。
「電子契約システムの導入を検討している方は、検討理由を教えてください」の調査結果
企業が電子契約の導入を検討する際は、何らかの課題解決を期待しています。本設問で回答された検討理由、およびそれに対応する解決したい課題の上位は、設問2で上位の「導入効果」として挙げられた「コスト削減」「顧客との日程調整のしやすさ」「保管・管理のしやすさ」「ペーパーレス化」と一致しており、導入済み企業が電子契約を通じて解決できた課題と内容が重なっています。この結果が示すとおり、現時点の課題は電子契約の導入によって解決できると考えられるかもしれません。
7割以上の企業が「重要事項説明書」や「売買契約書」を利用
電子契約で取引されている不動産契約書類を見ると、7割以上の企業が「重要事項説明書」や「売買契約書」を利用しています。「媒介契約書」「賃貸借契約書」にも多くの利用事例が見られるなど、広く活用されていると分かりました。
「実際に電子契約で取引している不動産関連の契約書類を教えてください」の調査結果
改正宅建業法から3年が経過し、不動産業界では幅広く電子契約が利用されています。特に重要事項説明は、電子化された「IT重説」でオンラインにより実施でき、電子契約との親和性も高いです。「その他」の利用例では「賃貸物件解約申出書」「工事請負契約書」「個人情報同意書」がありました。
中でも「工事請負契約書」は、2025年9月30日に改正された「電磁的措置による建設工事の請負契約の締結に係るガイドライン」により電子契約の署名方式が整理され、電子契約として一般的な立会人型電子署名も要件を満たせば利用可能と明示されました。今後は「工事請負契約書」でも利用機会が増えていくことが見込まれます。
中でも「工事請負契約書」は、2025年9月30日に改正された「電磁的措置による建設工事の請負契約の締結に係るガイドライン」により電子契約の署名方式が整理され、電子契約として一般的な立会人型電子署名も要件を満たせば利用可能と明示されました。今後は「工事請負契約書」でも利用機会が増えていくことが見込まれます。
一方、電子契約が一般化しない状況も続く
電子契約を未導入で「今後も導入予定なし」と回答した企業の6割超が、未導入理由を「紙による契約締結で十分」「顧客から求められていない」と述べました。この傾向は前回調査から変わっておらず、顧客も含めて電子契約が一般化していない現状が続いています。
「今後も電子契約システムの導入予定がない方は、導入しない理由を教えてください」の調査結果
導入および検討しない理由の第1位は「紙の契約で十分」(約63.1%)、第2位は「顧客から求められることがない」(約60.8%)で、上位の理由は前回調査と同じ傾向にあります。未導入・未検討企業において、自社や顧客にとって電子契約が一般的でない状況が続いていることが明らかになりました。一方で、前回調査で第3位(約37.4%)だった「電子契約を使いこなせる担当者の不在」は、今回は26.8%まで回答割合が減少しており、以前と比較すると社内のIT人材が確保されつつある様子がうかがえます。
電子契約が課題解決や顧客満足度向上につながることを確認
GMOグローバルサインHDと全宅連による本調査を、前回調査(2023年実施)と比較したことにより、電子契約の長期利用が業務全般の課題解決や顧客満足度向上につながっていると確認できました。一方で、業界全体では依然として紙契約に根強い意識が残っている現状も明らかになりました。
今後は導入済企業を中心に、顧客の電子契約体験をさらに拡大し、普及を促進するための施策や啓蒙活動が必要と考えられます。この取り組みによって、不動産業界全体で電子契約の浸透が加速し、より効率的かつ便利な取引環境が整うことが期待されます。
本調査で浮き彫りになった不動産事業者や顧客の状況やニーズを生かして、GMOグローバルサインHDと全宅連は引き続き、電子契約普及に向けて協業し全国の不動産DXを推進していくとのことです。
調査概要
調査対象:「電子印鑑GMOサイン」利用者および検討者/全国宅地建物取引業協会連合会(中小規模の宅建業者を中心とした全国組織)の会員
調査機関:自社調査(インターネット調査)
調査期間:2025年9月1日~8日
有効回答:1350件
今後は導入済企業を中心に、顧客の電子契約体験をさらに拡大し、普及を促進するための施策や啓蒙活動が必要と考えられます。この取り組みによって、不動産業界全体で電子契約の浸透が加速し、より効率的かつ便利な取引環境が整うことが期待されます。
本調査で浮き彫りになった不動産事業者や顧客の状況やニーズを生かして、GMOグローバルサインHDと全宅連は引き続き、電子契約普及に向けて協業し全国の不動産DXを推進していくとのことです。
調査概要
調査対象:「電子印鑑GMOサイン」利用者および検討者/全国宅地建物取引業協会連合会(中小規模の宅建業者を中心とした全国組織)の会員
調査機関:自社調査(インターネット調査)
調査期間:2025年9月1日~8日
有効回答:1350件
契約の締結から管理までをワンストップで行える「電子印鑑GMOサイン」
「電子印鑑GMOサイン」は、契約の締結から管理までをワンストップで行えるクラウド型の電子契約サービスです。日本の電子署名市場の黎明期である2015年のサービス提供開始以来、お客様の契約締結にかかる手間や時間を削減し、印紙税や印刷・郵送費、保管料等のコストを大幅に削減、業務効率化をサポートし続けています。
「電子印鑑GMOサイン」のサービス概要
電子帳簿保存法や建設業法などの各種法令に加え、国内外の第三者機関によるセキュリティ認証の取得により、高い安全性を評価されているほか、SMSによる本人確認機能や他の業務サービス・基幹システムとの連携、導入時の支援サービスや電話サポート窓口の設置等、誰もがご利用いただけるサポート体制も充実しています。
10周年を迎える2025年現在、高機能でコストパフォーマンスに優れた信頼性の高いサービスとして、上場企業の約75%が「電子印鑑GMOサイン」を利用しています。
本調査から、不動産業界における電子契約の利用が着実に浸透・深化していることが明らかになりました。改正宅建業法施行から3年以上が経過し、顧客満足度は8割を超え、印紙税削減や業務効率化といった導入効果の実感も大幅に向上。導入後の課題も、より実務的な内容へと変化しています。重要事項説明書や売買契約書など、利用範囲も広がり、電子契約が業務改善に有効な手段として定着しつつあります。
一方で、「紙の契約で十分」「顧客から求められない」といった理由で未導入の企業も依然あり、業界全体での一般化にはまだ課題が残ります。電子契約のメリットをさらに訴求し、顧客を含めた普及促進のための啓蒙活動が、今後の鍵となるでしょう。
10周年を迎える2025年現在、高機能でコストパフォーマンスに優れた信頼性の高いサービスとして、上場企業の約75%が「電子印鑑GMOサイン」を利用しています。
本調査から、不動産業界における電子契約の利用が着実に浸透・深化していることが明らかになりました。改正宅建業法施行から3年以上が経過し、顧客満足度は8割を超え、印紙税削減や業務効率化といった導入効果の実感も大幅に向上。導入後の課題も、より実務的な内容へと変化しています。重要事項説明書や売買契約書など、利用範囲も広がり、電子契約が業務改善に有効な手段として定着しつつあります。
一方で、「紙の契約で十分」「顧客から求められない」といった理由で未導入の企業も依然あり、業界全体での一般化にはまだ課題が残ります。電子契約のメリットをさらに訴求し、顧客を含めた普及促進のための啓蒙活動が、今後の鍵となるでしょう。

安蔵 靖志
Techジャーナリスト/家電エバンジェリスト
家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)、スマートマスター。AllAbout デジタル・家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ~ンの家電ソムリエ」にレギュラー出演するほか、ラジオ番組の家電製品紹介コーナーの商品リサーチ・構成にも携わっている。













