ロボティクス市場も支える台湾エコシステムの強さ
会場ではほかにもAIを活用したさまざまな技術や製品が見られましたが、中でも新設された「AIロボットエリア」が注目を集めていました。意外だったのは、人間のように動く二足歩行ロボット(ヒューマノイド)よりも、工場ラインや店舗のバックヤード作業をこなしたりコーヒーを入れて来場者にふるまったりする産業向けロボットアームや上半身だけのヒューマノイド、来場者と対話するコミュニケーション型ロボットが多かったことでした。現時点では、転倒リスクがある二足歩行より、モーターによる移動で十分というクライアント側のニーズが背景にあるのかもしれません。
台湾のロボティクス企業は、独自開発よりも、顧客のニーズに応じてカスタマイズし、即戦力として現場で活躍するロボットの製造を得意としており、フィジカルAIの登場で開発競争が加速するロボティクス分野でも、サーバーやパソコンと同様に台湾が製造面で世界をリードしているのがわかります。今後はロボット開発に力を入れる欧米や日本との連携が進み、新しいロボットが登場する可能性もありそうです。
台湾のロボティクス企業は、独自開発よりも、顧客のニーズに応じてカスタマイズし、即戦力として現場で活躍するロボットの製造を得意としており、フィジカルAIの登場で開発競争が加速するロボティクス分野でも、サーバーやパソコンと同様に台湾が製造面で世界をリードしているのがわかります。今後はロボット開発に力を入れる欧米や日本との連携が進み、新しいロボットが登場する可能性もありそうです。
「AIロボットエリア」では実用的なロボットの展示が多い印象だった
また、NVIDIAはAIスタートアップを支援する無料プログラム「NVIDIA Inception」を提供しており、COMPUTEX会場内でスタートアップが集まるInnoVEX(イノベックス)エリアでは専用ブースが設けられ、30社以上が出展していました。その1つ、台湾のRed Pill Labはリアルタイムアニメーションやデジタルツイン(現実空間をデジタル上に再現する技術)の制作に活用できる、マーカーを使わず人の動きなどをキャプチャできるモーションキャプチャシステムを開発しています。こうした映像データをもとにロボットへ動作を学習させるツールは大手メーカーも開発しており、今後のロボティクス業界で不可欠なものになりつつあります。
NVIDIA Inceptionのブースには30社以上のAIスタートアップが参加
これまでのCOMPUTEXは全体的に若い男性の参加者が多かったのですが、今年は老若男女を問わず参加者層が広がり、アジア以外からの来場者も増えていました。また、個人的には、どのエリアでも女性の姿が目立ち、プレスの女性比率も上がっていたのも印象的でした。
COMPUTEXで併催されていた、AI関連メーカーが情報提供する有料プログラムのフォーラムも満席になるセッションが多く、いかに多くの人たちがAIに関心を持ち、イベントを通じて情報を手に入れ、勉強しようとしているのかが伝わってきました。
COMPUTEXで併催されていた、AI関連メーカーが情報提供する有料プログラムのフォーラムも満席になるセッションが多く、いかに多くの人たちがAIに関心を持ち、イベントを通じて情報を手に入れ、勉強しようとしているのかが伝わってきました。
28名の専門家が登壇したフォーラムにはのべ1万3200人が参加した
台湾では今後もAI業界に参入する企業やスタートアップ、人材が増えると見込まれています。その理由の1つが、NVIDIAの新たな台湾本社「Constellation」の建設です。CEOのフアン氏の生まれ故郷であり、重要なエコシステムを構築する台湾に、米国本社と同じく宇宙船のようなデザインを採用したこの拠点は、2030年の入居を予定しており、新たに従業員採用も進められる見込みです。COMPUTEX開催前の5月27日には着工式が行われ、あわせて現地では初となる従業員大会も開催されました。
全世界時価総額ランキングでAppleを上回りトップに君臨するNVIDIAと台湾との連携は、AIを通じて今後もますます強まることが見込まれ、来年のCOMPUTEXもさらに大きな盛り上がりを見せそうです。
全世界時価総額ランキングでAppleを上回りトップに君臨するNVIDIAと台湾との連携は、AIを通じて今後もますます強まることが見込まれ、来年のCOMPUTEXもさらに大きな盛り上がりを見せそうです。

野々下 裕子(NOISIA)
テックジャーナリスト
神戸を拠点に国内外のテック系イベントやカンファレンスの取材、インタビュー、リサーチなどを幅広く行う。オンラインメディアを中心に執筆多数。













