音楽生成AI「Udio」がv1.5に大規模アップデート！その実力は音楽制作経験者からみていかに？

2024.10.10

生成できる楽曲のクオリティの高さで注目を集めたAI作曲サービス「Udio（ユーディオ）」の最新バージョンv1.5が予想以上の進化を遂げている。

以前からある音楽作成AI「Suno（スノ）」の対抗馬として、バックトラックやボーカルの自然な仕上がりには定評があったUdio。最新バージョンでは、さらにAI作曲サービスの可能性を大きく広げる、革新的な機能が多数追加された。

音質向上で広がる表現の幅

最初に注目したいのは音質の向上だ。Udio v1.5では、48kHzのステレオトラックの生成が可能になり、より高音質な音楽制作ができるようになった。このアップデートで、各楽器の音がクリアに聞き分けられるようになり、明瞭度が大幅に向上した。さらに楽器間のセパレーションも改善され、個々の楽器の音がより際立つようになった。実際にテクノのトラックを作成してみたところ、以前のバージョンではダンスミュージックに不可欠な低音の鳴りに不満を覚えたが、かなり改善された印象だ。

また今回のアップデートでは、楽曲のトランジェント（音波の先頭の立ち上がり）も改善された。音の立ち上がりがよりシャープになり、リズム感が向上したことで、作成したトラックのグルーヴ感が以前よりも増したと感じる。Udio v1.5では、こうした楽曲のディティールに関する部分が改善されたことにより、筆者のような音楽制作経験者もより納得がいく音楽制作ツールへと進化している。

筆者がUdio v1.5で作成したテクノ曲

via www.youtube.com

キーコントロールから多言語対応まで、新機能追加により使いやすさが向上

このような音質の向上に加え、Udio v1.5では、ほかにもいくつかの新機能が追加されている。例えばキーコントロール機能により、ユーザーは特定のキーで音楽を作成できるようになった。この機能では、プロンプトに「Dマイナー」や「A♭メジャー」などのキーを指定することで、ユーザーが意図した調性で楽曲を作成できる。これにより音楽理論の知識がある人は、特定の雰囲気の演出が容易になった。ただし、実際には必ずしもプロンプトで指定したキーそのままの音楽が作成されるわけではない。この部分は今後の改善が大いに期待される部分だ。

今回のアップデートでは、Udioのグローバル言語サポートも拡大された。Udioでは、以前から英語や日本語での楽曲作成が可能だったが、Udio v1.5では中国語楽曲が可能になるなど、楽曲作成時に使用できる言語の幅が広がった。これにより、日本のユーザーが日本語圏だけでなく、アジア圏など他の言語圏を視野に入れた音楽を制作しやすくなった。実際にどれだけのユーザーが自分の第一言語以外の楽曲を作るかは定かではないが、例えばポルトガル語の歌詞を用意してボサノヴァを作ってみるのも面白い。

さらにUdio v1.5では、作成された曲に合わせて歌詞を視覚化した動画、つまり「リリックビデオ」も簡単に作成できる。リリックビデオは、近年プロの有名ミュージシャンも楽曲のプロモーションとして活用している。こういった動画は音楽の視覚的な魅力を高め、より広いリスナーにリーチさせることに役立つ。この機能で作成したリリックビデオは、各種SNSで手軽に共有可能だ。

Udio v1.5で作成したボサノヴァ曲とリリックビデオ

via www.youtube.com

またUdioはUI部分についてもアップデートが行われている。Udio v1.5では、ユーザーの楽曲制作プロセスをより円滑にするべく、制作ページを刷新。これまでの制作機能と楽曲ライブラリをひとつの画面に統合することで、楽曲制作のアイデアの流れを中断することなく、直感的に作業を進められるようになった。以前のUdioでは、作成した楽曲ライブラリを視覚的に把握しづらい部分もあったが、このアップデートにより、作成した曲の延長作業や楽曲の公開作業、プレイリスト収録など、音楽制作後のさまざまな作業がシームレスに行える。これは革新的な機能アップデートではないが、ユーザーからするとかゆい所に手が届くアップデートだ。