10年ぶりに編集長をやって驚いた、テキストメディアで“勝つ”ための方法:鵜の目「鷹木」の目

鷹木 創

AISpecial
この記事が公開される頃には、サッカー・ワールドカップ(以下、W杯)のグループステージの結果が判明しているでしょう。毎回ワールドカップのたびに、予想サイトなどで日本代表の順位予想を楽しんでいるんですが、今回のW杯はAIによる予想がとても増えました。予想によっては、AIで1万回のシミュレーションをしたというところもありましたが、それでも日本対オランダが2対2のドローになる確率は数%だったとのこと。AIも現実にはなかなか勝てないですね。

さて、実はこの3月からテクノエッジの編集長に就任しました。テキストメディアの編集長は約10年ぶりなんですが、10年で環境が様変わりして、びっくりしています。1つ目は、流入元が変わったこと。2つ目は、テキストだけでは厳しい時代になったこと。そして3つ目は、AI活用が勝機を分ける、ということです。

流入元の主役交代—Yahoo!ニュースからDiscoverへ

テクノエッジは、コアな読者を集めて課金することで、ページビュー(閲覧数)に依存しない形でビジネスをしようとしてきました。でも課金ユーザーは100人ぐらいで頭打ち。いろいろなことを試してはいるんですけど、なかなか増えません。

ページビューを追うと、流入元の読者の目を引くことにしゃかりきになってしまい、結果として記事の方向性もそちらに寄っていきます。それでは本来自分たちが目指していたメディアとは違う形になってしまう懸念があります。その一方で、広告で商売する限りは、一定のページビューがないと厳しい。そこで今テクノエッジは、流入を増やそうとしています。

ニュースサイトへの流入が期待できるメディアは、かつては「Yahoo!ニュース」一択といわれていました。でも今は、GoogleのDiscoverが強い。Google Chromeのトップページに、ユーザーの興味に応じた記事としてレコメンド(おすすめ表示)されるからです。

つまりWeb編集者が注力しているのは「Discoverにいかに愛されるか」。ただ、具体的にどうすればいいのかは、よくわかっていません。感覚的に、速報性のあるものや現地取材を伴うもの、レビューのように個人の見解が出ている記事は読まれそうですが。

「動画とテキストを回す」必要性

10年前はテキストだけでメディアが成り立っていましたが、今の時代、動画も mをやらないとメディアは存在感を出しにくいと感じています。YouTubeで動画が拡散していくインパクトは相当大きい。テクノエッジでも動画に力を入れています。

SEO業界では「テキストで記事を上げ、そのテキストをYouTube動画にし、YouTubeの書き起こしをテキストにする。これを繰り返すとよい」といわれています。Googleも、「テキストの記事に高品質な動画や画像を埋め込め」といっているので、YouTubeとテキストを相互に回していかないといけない。

YouTubeアカウントはGoogleアカウントとほぼイコールですから、PCでGoogleを使って検索して、自宅のテレビでYouTubeを見ると、PCの検索結果を反映した動画がわーっと出る。10年前と比べてつながりがすごく密接になっていると感じます。

トップページ、どう変える?

メディアのトップページの作り方も変えていくべきかもしれません。ニュースサイトは新着順にたくさんの記事を見せたいので、縦に見出しを並べるデザインになりがちですが、ニュース以外のコンテンツサイトはもっと自由に設計できそうです。

例えば、トップページで「これを知りたい」と入力すると、「この記事をこの順で読むといいよ」とレコメンドしてくれる仕組みはどうでしょうか。ハウツーコンテンツや小説投稿サイトなどに向きそうです。

私が手伝っているあるオウンドメディアでは、オーナーの著書や考えていることなど、100万文字ぐらいのデータを全て入れたBotを作りました。LINEで「これはどう思います?」と聞くと、オーナーに成り代わって回答してくれます。こういったアプローチは、コンテンツサイトにも採り入れられると思います。
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鷹木 創

編集主幹
2002年以来、編集記者や編集長などとしてメディアビジネスに携わる。インプレス、アイティメディアと転職し、2013年にEngadget日本版の編集長に就任。 その後スマートニュースに転職。国内トップクラスの機械学習を活用したアプリ開発会社においてビジネス開発として活躍。2021年からはフリーランスとして独立、IBM、Google などのオウンドメディアをサポートしている。

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