整備が進むナノサテライト・ネットワーク
IoTを使用したシステムやサービスは、モノがインターネットに接続することによって実現される。したがって、当然といえば当然だが、その性能はモノが接続するネットワークの性能に大きく依存する。せっかくモノをネットワークに接続できるようにしても、ネットワークに接続できる機器が限られていたり、通信可能なエリアが小さいといった弱点があったりすれば、その能力を最大限まで引き出すことはできない。
これらの弱点のうち、前者すなわち機器の接続数という制約条件を緩和してくれるのが、お馴染みの5Gネットワークだ。いまサービスの普及が進んでいる5Gの通信網では、1平方キロメートルのエリア内で100万台が接続可能になることを目指しており、これは4Gのおよそ100倍に当たる。いまの100倍のモノがネットに参加し、私たちのためにさまざまな情報をやり取りしてくれるようになる可能性があるわけだ。
しかし基地局をベースとしたモバイル通信のネットワークでは、どうしても接続可能なエリアに限界が生じる。いまや世界中で携帯電話向けのネットワーク整備が進められているとはいえ、現時点では地球の半分以下の面積しかカバーしていないと言われている。そこで注目されているのが、ナノサテライトである。
ナノサテライトとは文字通り、超小型の人工衛星を意味する言葉である。定義は国や機関によって異なるため、明確な基準を設けることはできないが、一般的には重量が10キログラム以下という極めて小さな(従来の人工衛星と比較して)ものを指す。もちろんこの超小型衛星でできることは限られているが、それを大量に宇宙へと運び、地球から数百キロメートルの軌道を周回させてネットワークを形成し、宇宙空間から広大なエリアをカバーする通信網を実現できる。
例えば超小型衛星の規格のひとつCubeSat(キューブサット)は、10×10×10センチメートル(高さ×奥行×幅)の立方体を1つのユニットとする人工衛星である。1998年に最初の打ち上げが行われ、現在では約2000基のCubeSatが軌道上を周回している。
CubeSatはさまざまな目的のために活用されているが、宇宙から通信網を構築するのもその1つであり、有名なサービスとしてSpaceX(スペースX)のStarlink(スターリンク)が挙げられる。最近この名前を耳にした読者も多いのではないだろうか。そう、ロシアによって侵攻されたウクライナに対し、通信網を維持するためSpaceXが5000台のStarlink端末を供与したのである。この端末を通じて、軍の組織から一般人に至るまでウクライナ関係者がネットに接続できるようになり、ウクライナが侵攻に抵抗するのに大きく貢献しているという。
これらの弱点のうち、前者すなわち機器の接続数という制約条件を緩和してくれるのが、お馴染みの5Gネットワークだ。いまサービスの普及が進んでいる5Gの通信網では、1平方キロメートルのエリア内で100万台が接続可能になることを目指しており、これは4Gのおよそ100倍に当たる。いまの100倍のモノがネットに参加し、私たちのためにさまざまな情報をやり取りしてくれるようになる可能性があるわけだ。
しかし基地局をベースとしたモバイル通信のネットワークでは、どうしても接続可能なエリアに限界が生じる。いまや世界中で携帯電話向けのネットワーク整備が進められているとはいえ、現時点では地球の半分以下の面積しかカバーしていないと言われている。そこで注目されているのが、ナノサテライトである。
ナノサテライトとは文字通り、超小型の人工衛星を意味する言葉である。定義は国や機関によって異なるため、明確な基準を設けることはできないが、一般的には重量が10キログラム以下という極めて小さな(従来の人工衛星と比較して)ものを指す。もちろんこの超小型衛星でできることは限られているが、それを大量に宇宙へと運び、地球から数百キロメートルの軌道を周回させてネットワークを形成し、宇宙空間から広大なエリアをカバーする通信網を実現できる。
例えば超小型衛星の規格のひとつCubeSat(キューブサット)は、10×10×10センチメートル(高さ×奥行×幅)の立方体を1つのユニットとする人工衛星である。1998年に最初の打ち上げが行われ、現在では約2000基のCubeSatが軌道上を周回している。
CubeSatはさまざまな目的のために活用されているが、宇宙から通信網を構築するのもその1つであり、有名なサービスとしてSpaceX(スペースX)のStarlink(スターリンク)が挙げられる。最近この名前を耳にした読者も多いのではないだろうか。そう、ロシアによって侵攻されたウクライナに対し、通信網を維持するためSpaceXが5000台のStarlink端末を供与したのである。この端末を通じて、軍の組織から一般人に至るまでウクライナ関係者がネットに接続できるようになり、ウクライナが侵攻に抵抗するのに大きく貢献しているという。
Crazy Engineering: CubeSats
NASAによるCubeSat解説動画
via www.youtube.com
ほかにもアマゾンなど大手企業が超小型衛星を使った通信網の構築に向けて動いているが、新興企業の動きも活発だ。Astrocast(アストロキャスト)やSwarm(スウォーム)などといったスタートアップが登場しており、現在では数十社がこの市場に参入していると言われる。またEUが資金提供するGIoTプロジェクトのように、公的機関が主導するナノサテライトIoTネットワークの構築も進められている。
小林 啓倫
経営コンサルタント
1973年東京都生まれ、獨協大学外国語学部卒、筑波大学大学院修士課程修了。システムエンジニアとしてキャリアを積んだ後、米バブソン大学にてMBAを取得。その後外資系コンサルティングファーム、国内ベンチャー企業などで活動。著書に『FinTechが変える!金融×テクノロジーが生み出す新たなビジネス』(朝日新聞出版)、『IoTビジネスモデル革命』(朝日新聞出版)、訳書に『ソーシャル物理学』(アレックス・ペントランド著、草思社)、『シンギュラリティ大学が教える 飛躍する方法』(サリム・イスマイル著、日経BP)など多数。