「実際に受講してみて、僕にはちょっとやさしいかな、と感じました。AI For Everyoneで学べるのはAIのごく基礎的な知識ですが、これを機に興味を持って、さらに深堀りしたい人が出ればいいですね。

僕はいま50歳ですが、パソコンが世の中に登場したときに、パソコンがある会社とない会社、事務所に1台しかない会社、1人に1台の会社とでは確実に生産性の違いが出ました。次にインターネットの時代になり、インターネットをいち早く活用した会社と導入しなかった会社と大きな差が出ています。

パソコン、インターネットの次の大きな流れとして、僕はAIだと考えています。どう使いこなせるか、どう理解しているかによって、これから競争力の差が出るはずです」（森氏）

今回の募集では非エンジニアの70％が申し込んだそう。受講期間は各自設定でき、それぞれ空き時間を利用して自分のペースで進めているそうだ。実際に受講した従業員に話を聞いてみた。

エンジニアの男性は「技術的な話というより、AIの概念を学び、その技術をどう会社の仕事に活かすかというのが主な話なので、体系的にAIを学習するにはちょうど良かった。週末ゆっくり時間が取れる時にのんびり受講しています」という。

また管理部門の女性は「概要や具体的な事例を出しながら説明していただけるので、非エンジニアでも理解ができています。特に、導入段階で話がある、DXにAIとディープラーニングがどのように関わっているのかという点はよく理解ができました」と受講者にも好評だ。

コロナ禍でリモートワークの推進され、往復の通勤時間が減り、夜の飲み会も控えるようになったことで、個人の可処分時間が増え、スキルアップに時間を割きやすくなった。加えて、Zoomなどのウェブ会議ツールやコンテンツの充実により、オンライン学習は一気に浸透してきている。

「いまは終身雇用の時代ではないから、会社にぶら下がっていても安心して働き続けることは難しく、その中では個人も食べていけるように自立していかなければなりません。転職のために勧めているわけじゃないけれど（笑）、新しいものに触れていく癖は必要。

さらに、自分が持っているものを会社に提供するアウトプットだけをしていても、吐き出したら終わり。将来活用できる新しいものをインプットしていかなきゃいけない。僕の家にはスマートスピーカーは、Echo Dot、Google Home、HomePodの3台がありますし、電動キックボードもあります。新しいものをかじって、食い散らかしていくことはすごく大事だと思います」（森氏）

自分の美味しいと思うものをみんなにも勧めるのが好き、という森さん。とにかく、自分が良いものをみんなに勧めて成長してほしいという思いから、今回「AI For Everyone」を社内研修に導入するに至ったそうだ。過去にはランチェスター戦略も研修で取り入れたことがあるという同社は、今後、コーチング研修の導入も検討しているとのこと。

コロナ禍で新しい学びを始めた人は多いが、自分の興味の対象外のことに手を出すのはハードルが高い。しかし、GMOメディアには会社で認められた資格を取得したパートナーに対して報奨金を支払う認定資格取得支援制度、各種研修／セミナーへの参加補助、社内の勉強会も定期的に開催されており、パートナーも新しい知識のインプットには意欲的だ。

リモートワークで社内の付き合いが希薄になりがちな今だからこそ、社内の士気を高めていくためには、会社側から率先して良質な学習環境を提供し、個人の成長を後押していき「成長できる職場」を実現することがますます大切になってきそうだ。