GMOインターネットグループのGMO AI&ロボティクス商事(以下、GMO AIR)は7月9日、東京・駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場で、同グループ陸上部所属の吉田祐也選手と黒田朝日選手の走行データをモーションキャプチャーで収録した。
取得したデータは、8月に中国・北京で開催される人型ロボット運動会「World Humanoid Robot Games」に出場予定のチーム「GMOインターネットグループ陸上部 - GMOロボッツ」(以下、GMOロボッツ)が、ヒューマノイドロボットの走行動作を強化するために活用する。
取得したデータは、8月に中国・北京で開催される人型ロボット運動会「World Humanoid Robot Games」に出場予定のチーム「GMOインターネットグループ陸上部 - GMOロボッツ」(以下、GMOロボッツ)が、ヒューマノイドロボットの走行動作を強化するために活用する。
モーションキャプチャーは3回目、駅伝優勝チームの走りを収録
GMO AIRによるモーションキャプチャー撮影は、今回で3回目となる。これまでにも、同グループ陸上部の走行データ取得や、2025国際ロボット展で披露したヒューマノイドロボットのダンス動作の生成に、同じ手法が用いられてきた。
今回の被写体は、2026年のニューイヤー駅伝で大会新記録を樹立して優勝した、GMOインターネットグループ陸上部のメンバーである吉田選手と黒田選手。両選手は普段の練習で使用するシューズを履き、多数のセンサーを備えた専用スーツを装着してトラックを走った。
今回の被写体は、2026年のニューイヤー駅伝で大会新記録を樹立して優勝した、GMOインターネットグループ陸上部のメンバーである吉田選手と黒田選手。両選手は普段の練習で使用するシューズを履き、多数のセンサーを備えた専用スーツを装着してトラックを走った。
スーツ着用後、肩から肘にかけてのサイズを計測する
計測した身体寸法は、モーションキャプチャーソフトに選手ごとの情報として入力される
頭から足先まであらゆる箇所にセンサーが取り付けられた
両選手は今回の計測について「当然だが普段よりもセンサーや機器で体が重い。またセンサーを固定するために体が締めつけられるため走りづらい」と、装着した状態での走行の難しさを語った。
エンジニアが求めた「スタート1歩目」と加速のデータ
撮影を担当したGMO AIRのリサーチエンジニアの高橋勇哉氏は、「今回の計測では、スタートから1歩目のデータと、加速していく動きが特に欲しい」と語る。収録したデータから、スタート時の姿勢や重心移動、腕と脚の連動などを分析し、ロボットの走行動作や制御アルゴリズムの改善に役立てる考えだ。
最初の1歩目から加速するまでの動作が繰り返し撮影された
また、GMO AIRでGMOロボッツのプロジェクトリーダーを務める廣本一真氏は「“人間らしい動き”をヒューマノイドロボットで再現することは、GMO AIRが掲げるロボットの社会実装にも直結する」と話す。
本番の舞台となるWorld Humanoid Robot Gamesでは、ロボットの遠隔操作も許容されているが、廣本氏は「(遠隔操作よりも評価される)自律走行で勝機をうかがっている」と述べ、GMOロボッツが開発に注力する自律走行の技術で上位進出を狙う考えを示した。
本番の舞台となるWorld Humanoid Robot Gamesでは、ロボットの遠隔操作も許容されているが、廣本氏は「(遠隔操作よりも評価される)自律走行で勝機をうかがっている」と述べ、GMOロボッツが開発に注力する自律走行の技術で上位進出を狙う考えを示した。
写真左よりGMO AIR 廣本一真氏、GMOインターネットグループ陸上部 吉田祐也選手、黒田朝日選手
屋外撮影の難しさ──足の座標ズレとセンサーの熱暴走
一方、屋外での撮影には固有の難しさもある。この日は足の座標が想定位置からずれる事象が繰り返し発生し、その都度撮り直しが求められた。さらに、トラック競技場で直射日光を浴びてセンサーが熱暴走を起こすため、機材を冷やしながら撮影を進めるオペレーションとなった。
背中に取り付けた機材を冷やして計測
モーションキャプチャーの担当者によると、熱暴走に加え、屋外環境では電磁波の影響やWi-Fi経由でのデータ収録といった要素が加わり、スタジオ撮影とは異なる難しさがあるという。
計測後、収録した走行データをチェックする
また、ロボット本体についても、高橋氏は「熱暴走はロボット競技で勝つ上で、今後の課題」と述べており、屋外での安定運用に向けた技術的な蓄積が求められそうだ。
トラックを傷つけないための子ども用シューズ
現場では、Unitree社製ヒューマノイドロボット「G1」が、アディダスの子ども用スニーカーを履いた姿も確認できた。
この日のG1は、取得直後の走行データを反映して動いたわけではなく、トラック上での歩行やシューズ装着時の状態確認を行った。シューズ着用は、ロボットが歩行時に競技用トラックを傷つけないようにするための措置だ。
一見するとユーモラスな工夫だが、人間向けに整備された施設でロボットを動かす際には、床面の保護や摩擦、重量、足裏形状といった条件への対応が欠かせない。子ども用シューズも、ロボットを既存環境で運用するための試行錯誤の1つといえる。
この日のG1は、取得直後の走行データを反映して動いたわけではなく、トラック上での歩行やシューズ装着時の状態確認を行った。シューズ着用は、ロボットが歩行時に競技用トラックを傷つけないようにするための措置だ。
一見するとユーモラスな工夫だが、人間向けに整備された施設でロボットを動かす際には、床面の保護や摩擦、重量、足裏形状といった条件への対応が欠かせない。子ども用シューズも、ロボットを既存環境で運用するための試行錯誤の1つといえる。
高橋氏が靴の量販店でさまざまなシューズを比べて購入した中で、最もG1の足にフィットしたのがこのスニーカーだったという。アディダスを履く黒田選手がG1の足元を興味深そうに確かめていたのが印象的だった
スニーカーを履いて歩くG1。高橋氏によると、シューズを履かない“はだし”の方が、G1は心なしか足取りも軽やかだそう
なお、大会会場にはロボットの重量や走行に対応した専用トラックが用意される予定だという。
定点観測でアスリートへのフィードバックも
GMOインターネットグループ No.1スポーツ支援室の滝澤慶氏は、モーションキャプチャーに関する選手側のメリットにも言及。「選手へのフィードバックという観点でいうと、一度きりのモーションキャプチャーではなく、定点で観測し、好不調時でフォームの差分などが分かるとありがたい」と話す。ロボット開発のために取得したデータを、選手のフォーム改善やコンディション管理に還元する双方向的な活用が視野に入る。
8月の北京大会本番まで残り約1カ月。駒沢で取得した駅伝日本一の走行データを、ヒューマノイドロボットの走りへと落とし込む作業はこれから本格化する。GMOロボッツは、完全自律走行による上位進出を目指し、スタートや加速動作の調整を重ねていく。
8月の北京大会本番まで残り約1カ月。駒沢で取得した駅伝日本一の走行データを、ヒューマノイドロボットの走りへと落とし込む作業はこれから本格化する。GMOロボッツは、完全自律走行による上位進出を目指し、スタートや加速動作の調整を重ねていく。

i4U編集部
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