100円ショップのケースやエサ、マットも十分実用的
中央のひとまわり小さな飼育ケースがダイソーで税込330円。左右の大きな飼育ケースが同じくダイソーで税込550円。どちらもかなり人気の商品です
夏の間のカブトムシ・クワガタ用品はプチプラで入手可能
それがプチプラ、いわゆるダイソーなどの100円ショップです。夏休みシーズンなら飼育ケースに、カブトムシ・クワガタ用のエサ(昆虫ゼリー)、成虫・幼虫育成用のマット(腐葉土)に、小バエ防止シート、朽ち木、昆虫の転倒を防止するための落ち葉などまで非常に充実しているのです。
昆虫ゼリー、飼育ケース、マットは、近所の100円ショップで手に入り、特筆するほど安価。例えば昆虫ゼリーは税込110円で12個入り1個あたり約9.2円。
また、飼育ケースは国産カブトムシやクワガタの成虫を飼うことが可能な小型のもの(180×110×120mm)で税込110円、国産カブトムシのメスの産卵が可能な大型のもの(300×200×200mm)で税込550円。ちなみに近所のホームセンターなどでは、小型の飼育ケースが300円〜、大型のもので1000円〜といったところ。さらに飼育用のマットも100円ショップなら2〜2.5Lで税込110円程度なので、全体的に飼育グッズは近所のホームセンターよりも100円ショップがかなりお買い得なのです。
国産のノコギリクワガタ。いまにして思えば、4歳の息子の「カブトムシとクワガタを買って!」は国産カブトムシと国産ノコギリクワガタ程度だったのでしょう
すると飼育ケース1つあたりの価格差が500円だとしても7000円もの差を生むので、飼育用品の価格にはシビアにならざる得ないのです。7000円もあれば90mmクラスの外国産クワガタが購入できるのですから。
ということで、我が家の昆虫棚には100円ショップで購入した飼育ケースがぎっしりと並んでいます。かなりコストパフォーマンス重視といえるでしょう。
スチールラック1台分のスペースで可能
部屋の片隅にスチールラックを1台置いてはじめたカブトムシとクワガタのブリーディング。種類を絞れば、かなり省スペースで飼うことができます
どこまで増やすかにもよるが結構小スペースでも平気
そしてある意味、植物並みに世話もいらないのです。筆者の場合、2〜3日に1回エサをやり、1週間に1回程度オスの成虫は汚れたマットを交換します。産卵用のマットがたっぷり入ったメスの飼育ケースはエサの交換だけです。幼虫に至っては数カ月に1度、エサ兼住居のマットを交換するだけだといいます。
エサ、昆虫ゼリーは1つ10円以下、マットは10Lで数百円ですから、想像以上に手間もお金もかからないのです。なお、国産カブトムシが1頭が卵から成虫になるまでに必要なマットの量は約3Lといわれています。
成虫と幼虫を合わせて約100頭のカブトムシやクワガタを飼っているというと、かなりスペースが必要なのでは? と思う方も多いでしょう。しかし実際のところ「増やしすぎたかも」と思っている筆者でも幅76×奥行36×高さ165cmのスチールラック2台分で収まっています。
おそらく筆者が2台目のスチールラックが必要になった理由は、欲張り過ぎたこと。繁殖の失敗を恐れて国産カブトムシや国産ミヤマクワガタを2ペアずつ購入したためです。うまくいくと国産カブトムシなどは1つのペアから50〜100頭の幼虫が生まれることもあるとは聞いていました。
国産カブトムシの幼虫を採取しているところ。結局、この飼育ケースからは57頭の幼虫が採集できました。産卵は今も続いています
そして幼虫の採取が終わったカブトムシのメスは、まだまだ元気なので再び産卵用の飼育ケースに戻しました。ですから、これからさらに卵を産み、幼虫が育ってくる予定です。しかも、アトラスオオカブトムシやダイオウヒラタクワガタ、国産ミヤマクワガタ、国産ノコギリクワガタのメスたちも産卵用のケースに入れているため、これらがどのくらいの数の卵を産み、幼虫になるかは未知数です。
逆にいえば、種類やペア数などをコントロールすればスチールラック1台分のスペースでカブトムシとクワガタの繁殖を楽しむことは十分に可能でしょう。そういった意味では、一軒家でなくとも、マンションやアパートでも楽しめるリアルブリーディングゲームともいえるわけです。
インターネットと飼育用品の進化が著しい
10Lのカブトムシ用マットが送料無料・税込455円で購入できるシステムがどうなっているのかわからないですが、とても簡単でリーズナブルです
ネットショップでなんでも手に入るので非常に便利
ですが、1990年代のクワガタブームの後、急激に発達したものがあります。そう、インターネットです。1990年代とは違い、現在の我々にはネットショップがあります。
小バエ対策はもちろん、ダニも落とせるという消臭マットもインターネットで簡単に購入できます。写真の商品は送料無料・税込789円でした
また、昆虫ゼリーも検索で550件以上ヒットし、このカテゴリーでベストセラー1位の「マルカン サムライ フラット 55 55個入」は送料無料、税込461円で1個あたり約8円となっています。購入量は多くなりますが、1個あたりは100円ショップよりも安いわけです。
さらにカブトムシ・クワガタを飼うとニオイや小バエが気になるという方もいるでしょう。そんな方には「インセクトランド ダニも落とせる消臭マット お徳用 10L」(送料無料・税込789円)といったマットも存在します。さらに筆者が徐々に現在の100円ショップの飼育ケースから切り替えようと思っているのが、シーラケースの「クリアスライダー」という飼育ケース。
「クリアースライダー」のラージサイズ。その視認性のよさと使いやすさから、筆者は最終的に飼育ケースはすべて「クリアースライダー」にしたいと思っています
最初は100円ショップのケースで十分ですが、もし筆者のようにハマったらこちらもおすすめです。ほかにも、筆者が子どもの頃に比べるといろいろな飼育用品が驚くほど充実しており、しかも競争を繰り返した結果なのでしょうが、価格もかなり常識的でリーズナブルなのです。これには筆者もびっくりです。
WebサイトやYouTubeで飼育情報を収集できる
東京中野にあるむし社のWEBサイト。「月刊むし」や「BE-KUWA」などの書籍や飼育用品の通信販売も行っています
生きたカブトムシやクワガタまで購入が可能で安い
それ以上にインターネットの普及が大きな力を発揮しており「ヘラクレスオオカブトムシ 飼い方」「パラワンヒラタクワガタ 繁殖」などと検索すれば、テキストでの解説はもちろん、YouTubeなどの動画まで、かなりの種類のものがヒットします。おかげで1つの情報だけでなく、複数の情報から自分がどのようにカブトムシやクワガタを育てるのかを決定できるのもうれしいところです。また、インターネット情報なので、その大部分が無料という点も大きなメリットといえます。
「Yahoo!オークション」を「ヘラクレス」で検索した結果。数千円〜の価格でヘラクレスオオカブトムシを手に入れることも可能です
ネットオークションでのカブトムシやクワガタの価格は、さまざまなリスクはあるものの、一般的に専門ショップの半額くらいといわれており、かなりリーズナブルにさまざまな種類のカブトムシやクワガタも入手できるのも大きな魅力といえます。筆者も興味はあるのですが、北海道在住のため送料が高いのと到着時の死亡保障がないといったリスクのため、現在のところチャレンジできていません。
日本は種類も豊富で飼育環境も非常に充実
子どもの時からかっこいいとは思っていましたが、最近また人気だというミヤマクワガタ。独特のフォルムが多くの人を魅了するのでしょう
どこまでやるかは本人次第ですが、ちょっとしたTVゲーム程度の出費で、スチールラック1台分のスペースがあれば始められるカブトムシやクワガタの飼育は、インターネット普及で飼育環境が非常に充実しており、特に日本は信じられないほど多種多様なカブトムシやクワガタを育てることができる条件が整っているため、非常におすすめです。
筆者はヘラクレスオオカブトムシのブリーディングが進み、スチールラックに空きができたら、次はセアカフタマタクワガタか、ネプチューンオオカブトムシ、パラワンオオヒラタクワガタあたりを飼ってみたいと思っています。
齋藤 千歳
フォトグラファー・ライター
北海道千歳市在住・千歳市生まれのフォトグラファー/ライター。キャンピングカーの「方丈号」から各種アウトドア、カメラ、レンズ、ガジェットに関する情報を発信したり、家族3人で北海道一周などしたりを楽しんでいる。