Google Pixel 9aを選ぶと後悔するの?スペック数値だけでは分からない実力を実機でチェックした

坂倉 優介

AISpecialスマートフォン使ってみた

ベンチマークスコアは控えめ、実使用ではストレスなし

Google Pixelの独自チップ「Google Tensor」シリーズには、電池持ちが劣る、発熱しやすい、ハイエンドゲームには性能が物足りない──といったネガティブなイメージを持つ人も多いかもしれません。

しかし、先ほども紹介したように、Pixel 9aの電池持ちはとても優秀です。

パフォーマンスについては、ベンチマークスコアで比較したところ、同価格帯の他機種に劣るものの、実際の使用感では、スクロールやアプリの起動など、日常の操作でストレスを感じる場面はほとんどありません。

また、「Call of Duty: Mobile」などのハイエンドゲームも、最高画質・最大フレームレート設定で長時間プレイしても快適に動作しました。
やや気になったのは、ピクチャー・イン・ピクチャーで動画を再生しながら、別のアプリを併用するような高い負荷がかかるマルチタスク時です。こういった状況では、動作が一時的にカクつくことがありました。これは、おそらく搭載メモリが8GBであることが影響していると考えられます。

一方で、発熱の改善は目を見張るポイントです。

ベンチマークアプリで温度上昇を検証したところ、Pixel 9に比べて発熱が抑えられている結果となりました。温度上昇に伴う性能変化でも7割以上の安定性を維持しており、Pixel 9よりも安定し、Pixel 9 Proと同等のパフォーマンスを発揮する結果になっています。
なお、Tensor G4の発熱改善は、モデムの変更が一因と考えられていますが、Pixel 9aに搭載されているモデムはTensor G3と同じものと推測されています。このため、Pixel 衛星 SOS(日本非対応)には対応していません。

にもかかわらず、発熱が効果的に抑えられているのは、Pixel 9 Proや 9 Pro XLに初めて採用されたベイパーチャンバー(内部の熱を効率的に拡散する冷却部品)が、Pixel 9aにも搭載されていることが大きな要因と考えられます。

Gemini Nanoはマルチモーダル非対応、でも便利なAI機能が充実

Google Pixelといえば、便利なAIによる機能も大きな魅力のひとつです。

Pixel 9aも写真に写り込んだ邪魔なものを消せる「消しゴムマジック」や見切れた部分をAIで生成できる「編集マジック」といった写真編集はよく知られています。さらに、知らない電話番号や非通知番号からかかってきた電話とのやり取りをGoogleアシスタントに任せて用件を確認できる「通話スクリーニング」など、さまざまな場面で役立つAI機能を搭載しています。

テキスト入力するとオリジナルの画像を生成できるAIアプリ「Pixel スタジオ」

▼Pixel 9aで利用できる主なGoogleのAI機能
 ● アイデアをテキストで入力してオリジナルの画像を生成できる「Pixel スタジオ」
 ● Googleアシスタントが相手の名前と用件を確認することで、迷惑電話や詐欺電話を拒否できる「通話スクリーニング」
 ● 録音した音声をリアルタイムに文字起こしできる「レコーダーアプリ」
 ● 写真から不要なものを消せる「消しゴムマジック」
 ● 写真内の被写体を移動・拡大することや、テキスト入力で夜空に花火を追加するなど、生成AIを活用した編集ができる「編集マジック」
 ● 複数枚の写真を撮影してAIが自然に合成することで、代わりに写真を撮ってくれる人や三脚がなくても集合写真が簡単に撮れる「一緒に映る」
 ● 昔に撮影した写真のピンボケをくっきり補正できる「ボケ補正」
 ● 動画に収録された音声からノイズを除去できる「音声消しゴムマジック」

なお、Google PixelのAI機能は、より高度な処理を行うクラウドAIと、プライバシー性の高いデータを端末内で完結させるオンデバイスAIの2種類に大きく分けられます。

Pixel 9aには、オンデバイスAIの「Gemini Nano」が搭載されていますが、テキスト以外の画像や音声といったデータを処理できるマルチモーダルには対応していません。

入力データはテキストに限定され、画像や音声をAIで処理することができないため、例えば、スクリーンショットに写っているものをAIが解析して、テキストに書き起こして保存し、メモ代わりのスクショを簡単に整理・検索できる「Pixel スクリーンショット」といった一部の機能には非対応となっています。
とはいえ、日常の中で役立つGoogle AIの機能には対応済み。将来的には、機能差が拡大する可能性がありますが、今の時点では実用面で困ることはありません。

Pixel 9aを買っても後悔しない理由はスペックの外にある

カメラ性能のスペック数値や、競合機種に比べて控えめなベンチマークスコア、マルチモーダル非対応のGemini Nanoなど、仕様面では気になるポイントがいくつかあります。

しかし、実際に使ってみると、カメラはGoogle Pixelらしい高い品質の写真が撮れるほか、電池持ちは申し分なし、発熱も改善され、ハイエンドゲームもプレイできるなど、ストレスを感じる場面はほとんどありません。

さらに、Pixel 9aは、7年間のOSアップデート、セキュリティアップデート、機能追加アップデート「Pixel Drop」が提供されるほか、おサイフケータイやeSIM対応、明るく見やすいディスプレイなど、安心して長く使えるポイントも充実しています。

SIMフリースマホには、さまざまな競合機種が存在しますが、Pixel 9aのように通信キャリアで端末購入プログラムを活用できるモデルはそれほど多くありません。購入のしやすさという点でも、Pixel 9aは大きな魅力を持っています。

実際に使ってみると、スペックの上での不安要素はそれほど気にならず、スペックに表れない部分で、多くの魅力が詰まっていることに気づかされます。それこそが、Pixel 9aを選んでも後悔しない理由だといえます。
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坂倉 優介

ブログメディア運営
スマートフォンやタブレット、アプリ、サービス、アクセサリを総合的に取り扱うブログメディア「携帯総合研究所」を運営。高校生時代に立ち上げて15年以上が経過しました。エンジニアの経験を活かして、大手キャリア4社の機種代金や月額料金を比較できる料金シミュレーターも開発しています。

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