AIがあなたの仕事をどう変える？あなたはどう変わる？効率化のヒントと活用事例

2024.9.18

出力形式や表現形式の変換

テキストデータを別の形式に変換するのも生成AIの得意分野です。文中にあるいくつかの条件や事柄を拾い出して箇条書きに変更したり、テキストをCSV形式などの表形式に変換したりといった作業が、ごく短時間で完了します。

資料作成をしていると「わかりやすい文章で説明したつもりだけど、冷静に見るとこの部分は表にしたほうが見やすいな」「見落としを防ぐために箇条書きにすればよかった」と、あとから気づく場合もあります。これらは「表形式で出力して」「箇条書きにして」とAIに頼むだけで、すぐに希望の形式に書き換えることができます。

またSlackでは、箇条書きや番号付きリスト、太字や文章を囲むなど、強調したいテキストをマークアップ（「*（アスタリスク）」や「_（アンダースコア）」などで印を付けること）によって装飾できます。しかし、これを書式設定ツールバーで行うのは意外に面倒です。そこで、出力したい文面を入力し、「Slack用にマークアップした箇条書きリストを出力して」などと依頼するのもいいですね。

このような、「難しいことではないけど手動でやるのは結構面倒くさい」と感じていたこんな手直しが、ごく短時間で完了するのが嬉しいところです。

画像の認識・生成

生成AIは画像を認識することもできます。画像をアップロード後、画像に関する質問・指示を入力すれば、AIが画像を認識し、回答します。

たとえば「この場所はどこ？」「このバッグはどこのブランドのもの？」といった質問で画像の中にあるものの情報を得たり、画像内にある文字の読み取りもできたりするのです。

また生成AIで画像を生成することもできます。仕事で利用する画像生成ツールとしては「Adobe Firefly」がおすすめ。生成したい画像の特徴を文字で伝えるだけで、高品質な画像の生成が可能です。

Fireflyで生成した画像は商用でも利用できます。Fireflyのエンタープライズ版では、生成したコンテンツが仮に知的財産（IP）権を侵害するようなリスクに見舞われた場合、Adobeから1素材につき最大1万ドルの補償を受けることができます。

「ロイヤリティフリーのフォトストックの中から作成したい資料にピッタリあった画像を探す」といってもなかなか思い通りのものがなく、ついうっかりネットサーフィンに興じてしまう……そんな失敗を回避でき、業務効率化にもつながります。

PDF読み取り→資料作成

生成AIの多くでは、外部ファイルを読み込むことができます。

たとえば、各種サービスを使い始めるときに同意を求められる「利用規約」はかなりの長文です。読み飛ばしている人も多いかと思いますが、個人情報やデータの悪用や、知的財産の所有権に関するリスクがある場合も。

このような「思わず目が滑る長文」を読み込ませて、何について同意を求めているのか素早く確認できるのは嬉しいですね。

「読まない人も多い」といえば、取扱説明書もそう。家電などの説明書PDFをアップロードして、「電源を入れても動かないときはどこを点検すればいいの？」などと質問すると、該当の箇所をすぐに答えてくれます。こうした使い方を試してみると、AIがPDFをはじめとする各ファイルの内容を正しく読み取っていることを実感できると思います。

これはつまり、「読み込ませたPDFをもとに資料を作成する」「サービスの資料やユーザーの問い合わせ履歴を読み込ませて、FAQを生成する」といった作業も簡単になるということを意味します。業務でも大きな時短効果を実感できるでしょう。

なお、現状ではPDF内の図や表の内容をAIが正しく理解することは、まだ難しいです。ただ、この1年の生成AIモデルの進展を考えると1年後、あるいは半年後には図表の中身までAIが読み解いて、説明してくれるようになるかもしれません。今後のAIの進化に期待したいところです。

「自分がやること」「AIに任せること」の切り分けを常に意識する

これまでに挙げたような単純、かつ時間がかかる作業こそ、AIの出番。創造的なことや、新たなひらめきを生むのは自分の頭でやりたいものです。そしてそんな場合でも、「文章の構成を複数パターン出す」「ターゲット層にリーチしやすいアプローチを考える」といったシーンでは、AIの手助けを借りることもできます。

「仕事の前工程を自分でやるなら、AIにはそのデータで何をしてもらうか」「AIにどんな処理をしてもらえば、そのあと自分が楽になるのか？」……といった具合に、人とAIが能力を補完し合うような使い方を考えるのが、生成AIをうまく使いこなすコツになるでしょう。