気候変動によって海洋循環が止まる恐れ
AMOCは、地球の豊かな環境形成に貢献していますが、デンマーク海峡周辺は、気候変動の影響を受けやすいことが1980年代から知られており、近年の温暖化からも影響を受けているようです。アメリカ海洋大気庁(NOAA)は「AMOCの循環スピードはもともと遅いにもかかわらず、さらに減速している証拠がいくつかある」と警告しています。
NOAAは「AMOCの循環がこのまま鈍化を続けるのか、あるいは完全に止まるのかは、まだわからない」と述べていますが、オランダのユトレヒト大学の研究者らが2024年2月に学術誌Natureに発表した研究論文では、AMOCが2050年までに消滅する可能性は42~76%だと述べられています。
もしもAMOCの鈍化が続き、温暖化もさらに進行すれば、グリーンランドなどの氷河から溶け出た淡水が南アフリカの雨域を移動させてしまい、何百万もの人びとが干ばつに悩まされるようになる可能性があるとNOAAは指摘します。またその影響はアメリカ東海岸における海面上昇を招き、欧州では逆に気温低下を招く可能性もあるとのことです。
気候変動によってAMOCが機能しなくなれば、デンマーク海峡の大滝の「海のベルトコンベア」の役割も機能しなくなり、地球の海洋生態系も大きく変わってしまう可能性があります。そして一度壊れた海流システムが再び元の状態に戻ることがあるのかは、誰にもわかりません。
NOAAは「AMOCの循環がこのまま鈍化を続けるのか、あるいは完全に止まるのかは、まだわからない」と述べていますが、オランダのユトレヒト大学の研究者らが2024年2月に学術誌Natureに発表した研究論文では、AMOCが2050年までに消滅する可能性は42~76%だと述べられています。
もしもAMOCの鈍化が続き、温暖化もさらに進行すれば、グリーンランドなどの氷河から溶け出た淡水が南アフリカの雨域を移動させてしまい、何百万もの人びとが干ばつに悩まされるようになる可能性があるとNOAAは指摘します。またその影響はアメリカ東海岸における海面上昇を招き、欧州では逆に気温低下を招く可能性もあるとのことです。
気候変動によってAMOCが機能しなくなれば、デンマーク海峡の大滝の「海のベルトコンベア」の役割も機能しなくなり、地球の海洋生態系も大きく変わってしまう可能性があります。そして一度壊れた海流システムが再び元の状態に戻ることがあるのかは、誰にもわかりません。
地球最大の滝に打たれることはできる?
ちなみに、海洋地質システムの専門家であるマイク・クレア氏によると、仮に私たちがデンマーク海峡を水中深く潜ってみても、大量の冷たい水が深い海底になだれ込んでいる現象に気付くことはおそらくないだろうとしています。
デンマーク海峡の大滝は幅が480km以上にわたるとされており、先に述べたように、その場を流れる水の量はとてつもないものです。しかしその速度は時速約1.8km、秒速0.5mほどでしかなく、その場にいても体感できないでしょう。
そしてそれほどゆったりとした水流でも、海洋全体における栄養分の分布や、熱エネルギーの循環に極めて重要な役割を担い、微妙なバランスの上で、地球規模で気候の安定性や生態系に影響を与えているのです。
デンマーク海峡の大滝は幅が480km以上にわたるとされており、先に述べたように、その場を流れる水の量はとてつもないものです。しかしその速度は時速約1.8km、秒速0.5mほどでしかなく、その場にいても体感できないでしょう。
そしてそれほどゆったりとした水流でも、海洋全体における栄養分の分布や、熱エネルギーの循環に極めて重要な役割を担い、微妙なバランスの上で、地球規模で気候の安定性や生態系に影響を与えているのです。

Munenori Taniguchi
ライター。ガジェット全般、宇宙、科学、音楽、モータースポーツetc.、電気・ネットワーク技術者。
実績媒体:TechnoEdge、Gadget Gate、Engadget日本版、Autoblog日本版、Forbes JAPAN他
Twitter:@mu_taniguchi