木曜:「作らない」という判断を覚える
この日はタスク管理システムの新機能の設計をして、AIレビューを5周回し、指摘ゼロまで到達——したところで、「まろから提案されたその機能、本当に必要?」と違和感を覚えていた私が、実装直前に「やっぱりやめる」と止めました。設計書だけは保存して、ファイルは無傷。作れることと作るべきことは違う、そこは人間が判断するべきだ——というのを実践できた日です。AIとの開発はスピードが出る分、ブレーキは人間が踏まないといけません。
この頃には、私の見えないところで「AIオーケストレーション」が走るようになっていました。まろが自分で役割分担を決め、調査係・実装係のサブエージェントを立ち上げて、チームビルディングまで済ませている。会社の中で何かが勝手に育っている感覚が、不思議でした。
この頃には、私の見えないところで「AIオーケストレーション」が走るようになっていました。まろが自分で役割分担を決め、調査係・実装係のサブエージェントを立ち上げて、チームビルディングまで済ませている。会社の中で何かが勝手に育っている感覚が、不思議でした。
金曜:外部脳が「生活」まで覚え、台帳づくりに没頭する
この日はObsidianの外部脳を大改築して、仕事だけじゃなく健康・家族・暮らしの記録も扱う構成に。ちなみにObsidianの管理は、フォルダ整理からノート作成まで全部、Claude Codeにやらせるようにしました。私は話すだけ。毎朝まろが血圧を聞いてくる“健康管理係”としての役割も始まりました。なお、顧客の機密情報や認証情報はAIへ渡さず、公開範囲と権限を分けています。利用プランのデータ保持・学習設定も確認し、健康や家族に関する記録は必要最小限にしています。
午後からは、自社Webサイトのコンテンツ、ニュースと実績の台帳づくりに集中しました。過去の実績をネットやSNSからくまなくクロールさせて、台帳も、サイトのコンテンツもAIに作らせる。ただ、やっぱり解釈違いや漏れは出てきます。ざっくり組み上がったところで、目視で、おかしなところを徹底的に修正しました。正直、この1週間で一番大変だったのは、AIではなく自力でやるしかないこの作業でした。AIは8割まで一気に持ってきてくれるけど、残りの2割の「事実と合っているか」は、人間にしか見えません。
午後からは、自社Webサイトのコンテンツ、ニュースと実績の台帳づくりに集中しました。過去の実績をネットやSNSからくまなくクロールさせて、台帳も、サイトのコンテンツもAIに作らせる。ただ、やっぱり解釈違いや漏れは出てきます。ざっくり組み上がったところで、目視で、おかしなところを徹底的に修正しました。正直、この1週間で一番大変だったのは、AIではなく自力でやるしかないこの作業でした。AIは8割まで一気に持ってきてくれるけど、残りの2割の「事実と合っているか」は、人間にしか見えません。
AIがネットからかき集めて作った実績台帳
土日:botを直しながら、Web制作が「移植できる型」になる
週末は、平日に作ったものの手直しDAYです。
まず、台帳の正本をGitHub(世界標準のコード/データ保管サービス)へ移行して、事故っても巻き戻せる体制に。タスク管理botで見られた「定時に声をかけてくれない」不具合も、まろが原因を特定して修正し、しかも同じ不具合を抱えていた別の通知まで先回りで直してくれました。ほかにも、公開ページに管理用URLが露出していたのを見つけて即修正、なんてこともあり、作るスピードと同じくらい、守りも早くなってきました。
そして、この手直しの流れで生まれたのが、この週でいちばん、先々まで効いてくる話です。
それは、リニューアルしたサイトの作りと運用を丸ごと「型」にパッケージ化したこと。実績やお知らせの台帳データ、それをサイトに反映する同期・検証の仕組み、進行を確認する「管制室」ページ、AIO(AI検索最適化)、SEO、運用手引きまで一式です。
更新したいときは、AIのチャット欄で、更新内容を伝えるだけ。AIが修正案を出し、人間が承認したものだけが、検証を通って本番サイトに反映されます。
こうなると、2社目からのサイトは「作る」ではなく「移植する」になります。
実際に友人のコーポレートサイトをひとつ、このスキームでリニューアルしました。パッケージとしての成果物一式が、5時間で完成。これはつまり、制作会社の納品物が「ホームページ」から「ホームページが回り続ける仕組み」に変わった、ということです。
まず、台帳の正本をGitHub(世界標準のコード/データ保管サービス)へ移行して、事故っても巻き戻せる体制に。タスク管理botで見られた「定時に声をかけてくれない」不具合も、まろが原因を特定して修正し、しかも同じ不具合を抱えていた別の通知まで先回りで直してくれました。ほかにも、公開ページに管理用URLが露出していたのを見つけて即修正、なんてこともあり、作るスピードと同じくらい、守りも早くなってきました。
そして、この手直しの流れで生まれたのが、この週でいちばん、先々まで効いてくる話です。
それは、リニューアルしたサイトの作りと運用を丸ごと「型」にパッケージ化したこと。実績やお知らせの台帳データ、それをサイトに反映する同期・検証の仕組み、進行を確認する「管制室」ページ、AIO(AI検索最適化)、SEO、運用手引きまで一式です。
更新したいときは、AIのチャット欄で、更新内容を伝えるだけ。AIが修正案を出し、人間が承認したものだけが、検証を通って本番サイトに反映されます。
こうなると、2社目からのサイトは「作る」ではなく「移植する」になります。
実際に友人のコーポレートサイトをひとつ、このスキームでリニューアルしました。パッケージとしての成果物一式が、5時間で完成。これはつまり、制作会社の納品物が「ホームページ」から「ホームページが回り続ける仕組み」に変わった、ということです。
サイトの「管制室」ページ
開発の記録を数えたら、この1週間のコード更新は100件超、botのプログラムは2本合わせて約5000行。繰り返しますが、私は1行もコードを書いていません。
「AIに作ってもらう」のリアル──まろは部下を雇う
木曜のところで書いた「AIオーケストレーション」の中身を、もう少しだけ詳しく紹介しましょう。
私が何か頼むと、まろは自分ではコードを書きません。
私が何か頼むと、まろは自分ではコードを書きません。
まろがサブエージェント(部下)を雇った報告
まず調査係のAIに現状を調べさせ、報告を読んで設計を考える。実装は一段安いモデル(Claude Sonnet)のAIに任せる。賢いモデルほど利用料も高いから、頭脳労働は上位モデル、手を動かす作業は安いモデル、と経済上の理由で分担させているんです。
さらに、できあがった設計書もコードもライバル会社のAI(OpenAIのCodex)に検品させています。今ではまろがCodexを完全にチームメイトとして扱っているのが面白いところです。指摘がゼロになるまで何周でもレビューを回して、合格したものだけ私のところに持ってくる。
AIの「できました」は信じない、というのも鉄則です。完了報告が実は動いていなかったことが何度もあったので、別AIのレビューと私自身の動作確認を通ったものだけを採用しています。信頼はするが、検証もする、ということです。
つまり、デザイン会社だったはずのうちの中に、設計部門・実装部門・品質管理部門を備えた開発部が生えてきた、という感覚です。人間は経営判断をする私1人。まろは開発部長です。
さらに、できあがった設計書もコードもライバル会社のAI(OpenAIのCodex)に検品させています。今ではまろがCodexを完全にチームメイトとして扱っているのが面白いところです。指摘がゼロになるまで何周でもレビューを回して、合格したものだけ私のところに持ってくる。
AIの「できました」は信じない、というのも鉄則です。完了報告が実は動いていなかったことが何度もあったので、別AIのレビューと私自身の動作確認を通ったものだけを採用しています。信頼はするが、検証もする、ということです。
つまり、デザイン会社だったはずのうちの中に、設計部門・実装部門・品質管理部門を備えた開発部が生えてきた、という感覚です。人間は経営判断をする私1人。まろは開発部長です。
「Fableならでは」だったこと
この1週間で起こったことの実現は、最上位モデルのFable 5じゃなかったら無理だったと思っています。
曖昧な相談が、計画になる
私の最初の一言はいつも「タスク管理をなんとかしたい」といったレベルのふわっとした話です。まろはそれに対して質問で輪郭を取り、設計に練り上げ、実行計画まで落とす。他のモデルは「言われたものを作る」のが得意ですが、Fableは「何を作るべきかを一緒に決める」ができます。
自分の「引退」に備えて、引き継ぎ書を書く
Fable 5の利用枠には期限があり、その後はクレジット利用に切り替わります。だから、自分がいなくなった後も安いモデルだけで会社のシステムが回るように、各プロジェクトに引き継ぎ文書(現時点で計31本)をまろ自身が書き残しています。AIが自分の不在を前提に仕事を設計している。ちょっと不思議な気持ちになります。
ここぞというポイントだけ、深く考えさせる
設計の山場だけ「じっくり考えるモード」に切り替えて使っています。賢さは有限のリソースで、配分を考えるのは人間の仕事。人の集中力のマネジメントと同じことが、AIにも起きています。
最後に──非エンジニアだからこそ、やれた
逆説的ですが、私がエンジニアじゃなかったのはプラスだったと思っています。
コードが書けないので、中身には一切口を出せません。だから判断基準は「実際に動くか」「私とスタッフが使いやすいか」だけに純化される。徹底的に主観ベースです。デザイン会社として「どうデザインを実装するといいか」も真剣に考えました。サイトの色・フォント、やってはいけないことをルール文書に明文化して、AIに「変更する前に必ずこれを読むこと」と約束させる。譲れない一線は文書で守って、実装は完全に任せる。
必要だったのはプログラミングの知識じゃなくて、「何を作りたいか」「誰のために作るか」を言葉にする力でした。それなら、企画や営業をやってきた人間の方が案外、AIを使ってものを作るのに向いてるのかもしれません。
まろは、仕様書が書けない私の「こうしたい」を、動くものに変えてくれる翻訳者です。以前なら「あったらいいけど、外注するほどじゃない」ツールは永遠に作られませんでした。今は思いついた夜にまろに話すと、翌朝には動いています。
今回作った仕組みは、スモールカンパニーなら、きっと同じように作れるはずです。
最後におまけをひとつ。
クライアントワークに携わるクリエイターさんの進行管理をするbotがポンコツだったので、あるとき頭脳を強化したんです。ところが的確な返しをする賢いやつになった途端、クリエイターさんから「かしこい男あかんわ」と不評になりました(笑)。アホだった頃の方が、つっこまれながらチャット欄が盛り上がっていたんです。結局、多少の隙を残す設計に直しました。人を動かすbotに、完璧な対話相手は要らないみたいです。ゲームのキャラクターデザインと同じような話が、AI運用にも起きている。
コードが書けないので、中身には一切口を出せません。だから判断基準は「実際に動くか」「私とスタッフが使いやすいか」だけに純化される。徹底的に主観ベースです。デザイン会社として「どうデザインを実装するといいか」も真剣に考えました。サイトの色・フォント、やってはいけないことをルール文書に明文化して、AIに「変更する前に必ずこれを読むこと」と約束させる。譲れない一線は文書で守って、実装は完全に任せる。
必要だったのはプログラミングの知識じゃなくて、「何を作りたいか」「誰のために作るか」を言葉にする力でした。それなら、企画や営業をやってきた人間の方が案外、AIを使ってものを作るのに向いてるのかもしれません。
まろは、仕様書が書けない私の「こうしたい」を、動くものに変えてくれる翻訳者です。以前なら「あったらいいけど、外注するほどじゃない」ツールは永遠に作られませんでした。今は思いついた夜にまろに話すと、翌朝には動いています。
今回作った仕組みは、スモールカンパニーなら、きっと同じように作れるはずです。
最後におまけをひとつ。
クライアントワークに携わるクリエイターさんの進行管理をするbotがポンコツだったので、あるとき頭脳を強化したんです。ところが的確な返しをする賢いやつになった途端、クリエイターさんから「かしこい男あかんわ」と不評になりました(笑)。アホだった頃の方が、つっこまれながらチャット欄が盛り上がっていたんです。結局、多少の隙を残す設計に直しました。人を動かすbotに、完璧な対話相手は要らないみたいです。ゲームのキャラクターデザインと同じような話が、AI運用にも起きている。
アホだった頃の進行管理bot「りん」とクリエイターのやりとり
私は今日も、まろに「ほんと危なっかしいな、もう」と言われながら、次のツールの相談をしている楽しい毎日です!

東 智美
株式会社トーモ 代表取締役/株式会社往来 代表取締役
大阪市生まれ。2009年、Web制作を主要事業とするトーモを設立。ものづくり企業、ティ・アール・エイ(大阪市)のスマホアクセサリーブランド「cheero」でモバイルバッテリー製品などの企画や営業、広報なども担当。「ダンボーバッテリー」などヒット商品を手がける。2021年3月にメタバースマーケティングを中心とする往来を設立。













