仙石原周辺【見頃:11月上旬〜下旬(ススキは9月下旬〜11月上旬)】
仙石原すすき草原
紅葉、ではないのですが、秋の箱根では外せない場所なので紹介させてください。ススキ草原は金色の穂が一面に広がるシーズン本番だけでなく、秋に入ったばかりの頃、花が付いて緑銀色に輝く様子も美しく、長い期間楽しめるスポットなので、「まだちょっと紅葉には早かったかー」というときにも覚えておくと安心です。
埋もれるようなススキの野原。最盛期には穂がもっと“ポアポア”に!
仙石原エリアは公共交通機関を利用する場合、バスでしかアクセスできないのがやや難点。すすき草原には箱根登山バス・桃源台線(T系統)の仙石高原バス停から歩いてすぐ。小涌園・強羅などから箱根登山バスの観光施設めぐりバス(S系統)でアクセスできる箱根湿生花園バス停からも、歩いて行ける距離です。
箱根ラリック美術館
仙石原周辺には、紅葉が楽しめる美術館もいろいろ。芸術の秋、美術鑑賞のついでに紅葉もめでるというのはいかがでしょう。フランスを代表する工芸家、ルネ・ラリックが手がけたジュエリー、ガラス作品や室内装飾などを展示する箱根ラリック美術館では、ミュージアムのほかに芝の美しい中庭、周辺の散策路の紅葉が楽しめます。美術館は入場料が必要ですが、ミュージアムショップや散策路へのエントリーは無料です。
すすき草原で紹介した湿生花園からも近く、箱根登山バスの観光施設めぐりバス(S系統)の箱根ラリック美術館バス停、箱根登山バス桃源台線(T系統)や小田急ハイウェイバスの仙石案内所前バス停が利用できます。
ポーラ美術館
ヒメシャラとブナの林の中にたたずむポーラ美術館では、彫刻などアート作品が配置された周囲の遊歩道を無料で散策することができます。この近隣の小塚山(おづかやま)のブナ林は、太平洋側では最も標高が低い位置に成立していて「氷河期の生き残り」といわれています。
強羅駅から約30分おきに無料送迎バスがあるほか、箱根登山バスの観光施設めぐりバス(S系統)で、ポーラ美術館バス停へアクセスできます。
仙石原エリア周辺には「仙石原温泉」「姥子温泉」といった温泉が。江戸時代から続く姥子温泉は豊富な湯量で、仙石原エリアにも引き湯をして利用する宿があります。仙石原温泉は大涌谷からの引き湯で開発が始まった温泉で、現在も大涌谷・姥子からの豊かな湯を多くの宿が利用しています。
仙石原エリア周辺には「仙石原温泉」「姥子温泉」といった温泉が。江戸時代から続く姥子温泉は豊富な湯量で、仙石原エリアにも引き湯をして利用する宿があります。仙石原温泉は大涌谷からの引き湯で開発が始まった温泉で、現在も大涌谷・姥子からの豊かな湯を多くの宿が利用しています。
強羅周辺【見頃:11月中旬〜12月上旬】
箱根美術館(神仙郷)
「これぞニッポンの紅葉」とでもいうべき景色が広がる、鉄板のザ・紅葉スポット。国の名勝にも指定された庭園・神仙郷の苔庭に映える紅葉は、絵画のように美しい光景を織りなします。
緑と赤のコントラストが美しい
強羅駅から箱根登山ケーブルカーに乗り、公園上駅を降りてすぐの場所に位置する箱根美術館。ケーブルカーに乗れば沿線の紅葉も楽しめますし、次に紹介する強羅公園とセットで訪れるのもよいでしょう。
箱根強羅公園
箱根強羅公園は、強羅の傾斜地に作られた、噴水を中心に左右対称のフランス式庭園で、2024年8月には開園110周年を迎えました。園内の落葉樹の紅葉はもちろん、同時期に見頃を迎えるバラも楽しめ、園外には早雲山や明星ヶ岳、明神ヶ岳の紅葉も望むことができます。
園内の紅葉の奥に見える山肌も色づいて、遠近の眺めを同時に楽しめる
箱根登山電車の強羅駅から公園に向けてはかなり登りがきついですが、健脚の方ならケーブルカーを使わずに歩いて行くこともできます。一度では乗り切れないほどケーブルカーが混んでいるようなら、徒歩でのアクセスも検討してみてください。
強羅周辺は、明治時代には早雲山や大涌谷からの引き湯で「強羅温泉」として開発され、政財界の重鎮が過ごした別荘地。戦後は多くの源泉が掘り出され、各宿で利用されています。
強羅周辺は、明治時代には早雲山や大涌谷からの引き湯で「強羅温泉」として開発され、政財界の重鎮が過ごした別荘地。戦後は多くの源泉が掘り出され、各宿で利用されています。
宮ノ下・小涌谷周辺【見頃:11月中旬〜12月上旬】
堂ヶ島渓谷遊歩道
箱根登山電車の宮ノ下駅から出て坂道を下り、国道1号線を渡って左手にしばらくいくと、芦ノ湖から箱根湯本へ流れ落ちる早川の渓谷へ向かう下り坂があります。堂ヶ島渓谷遊歩道への入り口です。
看板にうっすらと「堂ヶ島渓谷入口」が。ロープウエーはもうありませんが、町道である遊歩道は通行できます
町道を下ると、堂ヶ島渓谷。下りきったところにある橋を渡ると、イギリス人の日本研究家で箱根にも滞在したチェンバレンがよく散歩したことにちなんで「チェンバレンの散歩道」と呼ばれる小径が早川沿いに続きます。
つり橋と渓流。深い谷の底では箱根火山の土台となる約400万年前の地層も観察できる
渓谷では紅葉が楽しめますが、「遊歩道」「散歩道」というにはなかなかの山道で、「いにしえの人の散歩はさすがにハードモードですな」と感じるハイキングコースです。ハイヒールなどはもちろんNGですが、橋の向こう側へ行くならトレッキングシューズなど、きちんとした装備がオススメです。
堂ヶ島渓谷には江戸時代から箱根七湯のひとつにうたわれた「堂ヶ島温泉」がありましたが、現在は温泉場としては利用されていません。ただ、宮ノ下周辺には豊臣秀吉が掘らせたとして知られる「底倉温泉」や「宮ノ下温泉」など古くからの温泉が、今もホテルや公衆浴場で楽しまれています。
堂ヶ島渓谷には江戸時代から箱根七湯のひとつにうたわれた「堂ヶ島温泉」がありましたが、現在は温泉場としては利用されていません。ただ、宮ノ下周辺には豊臣秀吉が掘らせたとして知られる「底倉温泉」や「宮ノ下温泉」など古くからの温泉が、今もホテルや公衆浴場で楽しまれています。
小涌園周辺(岡田美術館庭園/箱根小涌園 蓬莱園〜千条(ちすじ)の滝)
2023年7月にリニューアルオープンした箱根ホテル小涌園の周辺には、徒歩圏内に紅葉の見どころが複数集まっています。実は小涌園バス停は、箱根登山バスの箱根町線(H系統)と観光施設めぐりバス(S系統)、伊豆箱根バスの箱根関所線(Z系統)と湖尻・箱根園線(J系統)など、たくさんの路線が止まる、箱根バス交通の要衝。ここで降りて国道1号線の長い一本道を眺めると、紅葉のトンネルが望めます。
箱根駅伝ではユネッサンからの中継でおなじみのストレートコースが秋は紅葉スポットに
小涌園周辺には明治時代以降、本格的に開発が始まった「小涌谷温泉」があります。ホテルなどの宿泊施設や日帰り温泉のほか、水着で楽しめるアミューズメント施設・ユネッサンのプールでも温泉が使われています。また、少し足を延ばせば、彫刻の森美術館近くにある「二ノ平温泉」の共同浴場も利用できます。
ムコハタワカコ
編集・ライター
書店員からIT系出版社、ウェブ制作会社取締役、米系インターネットメディアを経て独立。現在は編集・執筆業。IT関連のプロダクト紹介や経営者インタビューを中心に執筆活動を行う。企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)、組織づくりや採用活動などにも注目している。