今って実は氷河時代なの?東京・上野「氷河期展」にマンモス、ネアンデルタール人、クロマニョン人が大集結

花森 リド

Specialアウトドア・お出かけカルチャー

ネアンデルタール人のピアス、クロマニョン人のネックレス

第2章「ネアンデルタール人とクロマニョン人」も期待通り面白かった!

ネアンデルタール人とクロマニョン人の頭骨とともに、それぞれの生体復元模型も来日しています。これらの模型はパレオアーティスト(化石や古生物学に基づき、絶滅した生物の姿をよみがえらせるアーティスト)のエリザベス・デイネス氏が制作したもので、骨格に合わせて筋肉をつけ、彼らが使っていた道具や文化も考慮し、それぞれスタイルが作られています。

まずはネアンデルタール人。

ガッシリした体格で安定感あり。耳のピアスや肩の文様がおしゃれ

私は今まで「ネアンデルタール人は私たちホモ・サピエンスとは違う」と思ってきたのですが、この生体復元模型の目の前で彼と同じように腕組みをしていると、すぐに「私たちの仲間だ」と悟るんです。親しみが湧いてくる。こんな感想は頭骨を眺めるだけでは出てこなかったんじゃないかなあ……。実際、ネアンデルタール人やデニソワ人といった人類のDNAも私たちに受け継がれているそう。遠いご先祖ですね。

そしてネアンデルタール人の向かいに立つのは、クロマニョン人の生体復元模型。

ネアンデルタール人と比べると少し小柄なクロマニョン人。なんとなくブラッド・ピットに似ているような……

ネアンデルタール人とクロマニョン人がそれぞれ使った道具や、そこから読み取れる文化について紹介されています。

ネアンデルタール人はひとつの石核からうまい具合に狙った形の石器を連続して作っていたようです。この技法はルヴァロワ技法と呼ばれています

クロマニョン人も手先がとても器用。幾何学モチーフが美しいですし、このネックレスも売られてたらちょっと欲しい。骨で作られた縫い針もありました。ブラピ似のクロマニョン人が手の込んだ衣類を着て、アクセサリーを身につけていたのを思い出します

そしていよいよ「世界一有名な頭骨」と対面。

ご先祖同士とはいえ、横から見比べるとそれぞれの特徴がよくわかります

ちなみに、この写真の角度からは見えませんが、クロマニョン人の頭骨のおでこのあたりには「傷」があります。ケンカで頭を殴り合った? いえいえ、暴力説については現在は疑問視されているそうで、最新の論文による説もこの氷河期展では詳しく解説されています。

2万年前の日本はユーラシア大陸と地続き

氷河期のサイクルについても動画(声優・大塚明夫さんが声で出演)やパネルでわかりやすく学べます。

で、氷河期のサイクルを踏まえて第3章「氷河期の日本列島」を見ると、とても面白いんですよ。

氷期の海水位は低く、そのため日本列島はユーラシア大陸とつながっていたそう。その頃にやって来たとされるナウマンゾウ

北海道の幌加川(ほろかがわ)遺跡の細石刃石器群。この美しい黒曜石を整形して作られた石器は、シベリアの旧石器文化とつながりがあります。北海道がユーラシア大陸とつながっていたことがうかがえます

琉球列島は、一部はユーラシア大陸とつながっていたものの、古琉球列島と呼ばれる列島だったそう。こちらは古琉球列島の男性の人骨「港川1号」。小柄ですが下半身がガッシリしていたり、臼歯がすり減っていたり、ハードな狩猟採集生活の名残が見られます

常設展にも行ってみよう

氷河期展は、気が遠くなるような氷河期のサイクルとともに、そこに適応した生物の姿や人類の生活をひも解く展示でした。特別展はこんなふうにひとつのテーマをじっくり掘り下げて学べるのが魅力ですね。

そんな特別展を見た後で常設展のある地球館に向かい「いつものキリン」や「いつものフタバスズキリュウ」に会いに行くのも楽しいものです。特別展のチケットがあれば常設展も楽しめるので、ぜひ立ち寄ってみてください。

いつものキリン。国立科学博物館はとても広いので“年パス”を買って通う人がいるのも納得

ちなみに館内のレストラン「ムーセイオン」では氷河期展にちなんだメニューも展開中。
ムーセイオンは、混雑している日のランチタイムには待ち時間が30分から1時間ほど発生しますが、受付で整理券をもらい、待っている間に常設展を見てまわるのがオススメ。ちなみにムーセイオンは西洋レストランの老舗・上野精養軒が運営しています。スタッフの優しさや、そんなに待たずにお料理がサーブされるところ、それから各テーブルに冷たいお水のポットが置いてあるところに精養軒らしさを感じます。

特別展と常設展の両方を見る場合は「午前中に特別展を見て、その後ムーセイオンの整理券をもらって、待ち時間の間に常設展の気になるフロアを見てまわって、ムーセイオンでお昼ご飯を食べる」コースをオススメします。夏休みのおでかけ候補にぜひ入れてください。

特別展「氷河期展 〜人類が見た4万年前の世界〜」

会期:2025年7月12日(土)~10月13日(月・祝)
会場:国立科学博物館(https://www.kahaku.go.jp/
〒110-8718 東京都台東区上野公園7-20
開館時間:9~17時(入場は16時30分まで)
※8月8日(金)~17日(日)と10月10日(金)~13日(月・祝)は19時まで開館延長(入場は18時30分まで)
休館日:7月14日(月)、9月1日(月)、8日(月)、16日(火)、22日(月)、29日(月)
入場料(税込):一般・大学生 2300円、小・中・高校生 600円
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花森 リド

ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori

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