ラブブの起爆点はわかるが、イタリアンブレインロットは「きっかけ」がわからない
さて、2025年あたりから急に見かけるようになった、あるキャラクターがいます。中国の「POP MART」がデザインしたキャラクター「ラブブ(LABUBU)」です。
ラブブについては、今や渋谷の駅周辺をちょっと歩けば必ず見かけます。手のひらサイズのぬいぐるみが女の子たちの背負うリュックサックや学校のカバンで揺れているのです。それどころか高級ブランドのバッグにくっついているラブブだって珍しくありません。
ラブブは、2024年にBLACKPINKのLISAが自分のSNSで紹介して、そこから一気に広まりました。LISAは今でもラブブがお気に入りなようで、ラグジュアリーなバッグにドカンとラブブのぬいぐるみをくっつけて歩く様子がキャッチされることも(ということで、ハイブランドのバッグにラブブをゴロゴロとくっ付けて歩くスタイルが流行しています)。
ラブブについては、今や渋谷の駅周辺をちょっと歩けば必ず見かけます。手のひらサイズのぬいぐるみが女の子たちの背負うリュックサックや学校のカバンで揺れているのです。それどころか高級ブランドのバッグにくっついているラブブだって珍しくありません。
ラブブは、2024年にBLACKPINKのLISAが自分のSNSで紹介して、そこから一気に広まりました。LISAは今でもラブブがお気に入りなようで、ラグジュアリーなバッグにドカンとラブブのぬいぐるみをくっつけて歩く様子がキャッチされることも(ということで、ハイブランドのバッグにラブブをゴロゴロとくっ付けて歩くスタイルが流行しています)。
そしてラブブの販売方式は、中身はわからず、限定色やレアも入っている「ブラインドボックス方式(いわゆる“ガチャ”)」です。そのため高額転売や偽物が出回る問題も起きています。つまり、わかりやすく起爆点があり、過熱しやすい仕組みが整っています。単にカワイイだけではなく、しかるべき戦略の上で熱狂を作り出したキャラクターといえます。
対するイタリアンブレインロット、君たちは何なんだ。小学生のハートをわしづかみにして、YouTubeのショート動画や謎のオリジナルソングが数百万回再生され、版権がないから偽物もへったくれもないままイオンのショッピングモールで元気よく売られている。本当に何なんだ。
対するイタリアンブレインロット、君たちは何なんだ。小学生のハートをわしづかみにして、YouTubeのショート動画や謎のオリジナルソングが数百万回再生され、版権がないから偽物もへったくれもないままイオンのショッピングモールで元気よく売られている。本当に何なんだ。
なんでそんなに中毒性があるのか
前述した私の親友は、イタリアンブレインロットのショート動画について「なんだかわかんなくて気持ち悪いんだけど、ずっと見てると中毒性があるの」と説明します。そして保育園の先生から「園児たちが急にトゥントゥントゥンと言っているんですが、あれは何ですか?」と尋ねられて「いやあ、わかりません。何なんですかね」と半笑いするしかなかったとか。本当に「(大人には)なんだかわからない」のです。ただ、子どもはスマホ越しにイタリアンブレインロットと出合い、その中毒性のとりこになっているようです。
ではその中毒性はなぜ生み出されたのでしょう。それこそ「強烈なネットミーム」だからなし得たことのように私には思えます。
みんながなんとなくすぐに把握できる「型」があり、誰でも生成AIの力を借りてグラフィックや歌や動画を作ることができて、無数に生産された結果、強烈な中毒性を備えた動画や歌が偶然に生まれ、運よくバズの波に乗り、拡散したのではないでしょうか。そして、その裏にはきっと「小学生が見向きもしない、YouTubeのおすすめロジックにも引っかからない、恵まれないイタリアンブレインロットの動画」も死屍累々とあるはずです。
ところで、親がちょっと眉をひそめて困惑していたのに、子どもの熱狂に押されてやがて受け入れてしまったコンテンツというと、私の幼少時代は『ファービー』や『クレヨンしんちゃん』や『ちびまる子ちゃん』、そして『テレタビーズ』がまさにそういう存在でした。みんな今となっては国境を越え愛されています。
つまり今は「ウワ〜〜〜」とのけ反っている私のような平凡かつコンサバな大人が、そのうち「トゥントゥントゥン……」と口ずさんでいる可能性も、まあ、ゼロではないのです。
ではその中毒性はなぜ生み出されたのでしょう。それこそ「強烈なネットミーム」だからなし得たことのように私には思えます。
みんながなんとなくすぐに把握できる「型」があり、誰でも生成AIの力を借りてグラフィックや歌や動画を作ることができて、無数に生産された結果、強烈な中毒性を備えた動画や歌が偶然に生まれ、運よくバズの波に乗り、拡散したのではないでしょうか。そして、その裏にはきっと「小学生が見向きもしない、YouTubeのおすすめロジックにも引っかからない、恵まれないイタリアンブレインロットの動画」も死屍累々とあるはずです。
ところで、親がちょっと眉をひそめて困惑していたのに、子どもの熱狂に押されてやがて受け入れてしまったコンテンツというと、私の幼少時代は『ファービー』や『クレヨンしんちゃん』や『ちびまる子ちゃん』、そして『テレタビーズ』がまさにそういう存在でした。みんな今となっては国境を越え愛されています。
つまり今は「ウワ〜〜〜」とのけ反っている私のような平凡かつコンサバな大人が、そのうち「トゥントゥントゥン……」と口ずさんでいる可能性も、まあ、ゼロではないのです。

花森 リド
ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori