残量はどう測る? 火星有人探査を支える“計測技術”
星の有人探査に向けて、この他にも新しい技術の開発が進んでいます。そのひとつは、無重力環境下で燃料タンク内の燃料残量を測る技術です。
例えば地球上にある自動車なら、燃料は重力でタンク底にたまるため、残量は簡単に測れます。しかし無重力・微重力環境では燃料がタンク内の側壁に付着し、地上と同じ方法は使えません。これまでNASAは残量を測れず推定に頼ってきました。
そこでNASAは、RFMG(Radio Frequency Mass Gauge:無線周波数質量計))という技術で解決しようとしています。タンク内に小型アンテナを設置し、周波数の異なる電波を送ってスペクトル(周波数ごとの反射の強さの分布)を測定します。水を注いだコップの縁を叩くと、水の量で音程が変わるのと同じ理屈で、残量を読み取れるわけです。
NASAは、民間で初めて月面軟着陸に成功したIntuitive Machines社のNova-C着陸船の燃料タンクを使い、液体窒素とRFMG技術による測定試験を地上で実施しました。その結果、タンク内残量を正確に測れることを確認したと、今年3月に報告しています。
例えば地球上にある自動車なら、燃料は重力でタンク底にたまるため、残量は簡単に測れます。しかし無重力・微重力環境では燃料がタンク内の側壁に付着し、地上と同じ方法は使えません。これまでNASAは残量を測れず推定に頼ってきました。
そこでNASAは、RFMG(Radio Frequency Mass Gauge:無線周波数質量計))という技術で解決しようとしています。タンク内に小型アンテナを設置し、周波数の異なる電波を送ってスペクトル(周波数ごとの反射の強さの分布)を測定します。水を注いだコップの縁を叩くと、水の量で音程が変わるのと同じ理屈で、残量を読み取れるわけです。
NASAは、民間で初めて月面軟着陸に成功したIntuitive Machines社のNova-C着陸船の燃料タンクを使い、液体窒素とRFMG技術による測定試験を地上で実施しました。その結果、タンク内残量を正確に測れることを確認したと、今年3月に報告しています。
NASA発の技術が地上の日常生活にフィードバックされている?
本稿で取り上げたのは、宇宙船の燃料タンクに関わる、極低温液体燃料の蒸発防止や残量測定のための技術です。これらは、宇宙飛行士が月、火星、さらには深宇宙へと探査の範囲を広げるための基盤になります。
そしてこれらの技術が応用されていけば、「NASA発の技術」として我々の日常に溶け込む日が来るかもしれません。
例えば低反発素材は宇宙飛行士の衝撃吸収から生まれ、今は寝具や座席で体圧分散の定番になりました。フリーズドライは「軽くて長期保存できる宇宙食」という要件から広がり、災害備蓄やインスタント食品を変えました。さらに宇宙船の小型カメラ向けに発展したCMOSイメージセンサーは、スマートフォンのカメラに応用されています。
同様に、極低温液体燃料の二段階冷却やRFMGによる残量測定技術も、やがて地上の現場で当たり前のように活用されるかもしれません。
そしてこれらの技術が応用されていけば、「NASA発の技術」として我々の日常に溶け込む日が来るかもしれません。
例えば低反発素材は宇宙飛行士の衝撃吸収から生まれ、今は寝具や座席で体圧分散の定番になりました。フリーズドライは「軽くて長期保存できる宇宙食」という要件から広がり、災害備蓄やインスタント食品を変えました。さらに宇宙船の小型カメラ向けに発展したCMOSイメージセンサーは、スマートフォンのカメラに応用されています。
同様に、極低温液体燃料の二段階冷却やRFMGによる残量測定技術も、やがて地上の現場で当たり前のように活用されるかもしれません。

Munenori Taniguchi
ライター。ガジェット全般、宇宙、科学、音楽、モータースポーツetc.、電気・ネットワーク技術者。
実績媒体:TechnoEdge、Gadget Gate、Engadget日本版、Autoblog日本版、Forbes JAPAN他
Twitter:@mu_taniguchi