シティポップの世界的ヒットでまさかのリクエスト
また、グローバルなカラオケでも「時代性」や「地域性」はあるようだ。
例えば、最近は松原みきの『真夜中のドア〜Stay With Me』を歌ってほしいと海外のメンバーからリクエストされることもあるという。昨今のシティポップブームの影響だ。「なぜそんな昔の曲をアメリカ人のアナタが知っているの?と驚くと、だいたいはお子さんがTikTokで知ってSpotifyでいつも聞いているから、と言われますね」とキャサリン氏。
そうした「日本人に日本語曲を歌ってほしい」といった要望があれば、たとえ歌詞がどんなにアヤフヤでも、とにかく気合いで歌いきるのだそう。また、相手の国の歌を選ぶときは、その場にいる人の世代や好みに合わせるという。例えば韓国人とのカラオケで韓国語の曲を選ぶなら、「知ってる? 好き?」などと確かめつつNewJeansなどをチョイス。このように、国籍や時代性を繊細にキャッチしながら、キャサリン氏の外資系カラオケ大会は展開されていくが、選曲スタイルは人によってさまざまだという。
「何も気にせず自分の好きな歌をガンガン入れていく国の人もいますし、みんなが喜んでくれそうな曲を選ぶ人もいます。お国柄かお人柄かは定かではありませんが、選曲スタイルに偏りはありますね。ただ、それはあまり問題ではないんです。大事なのは“最後”です。終電間近の選曲が一番悩ましい。最後はやっぱり全員が知っていて気持ちよく終われる歌が理想です。それなのに、そろそろお開きにしたいタイミングでとてもマニアックな曲とか、そういう締まりのない歌が入ってしまうと内心焦ります。その歌じゃラップアップ(締めくくりのこと)できない!って」
空気を読んでカラオケに参加する外資系社員たちも、いざマイクを握ると個性が表れるようだ。
例えば、最近は松原みきの『真夜中のドア〜Stay With Me』を歌ってほしいと海外のメンバーからリクエストされることもあるという。昨今のシティポップブームの影響だ。「なぜそんな昔の曲をアメリカ人のアナタが知っているの?と驚くと、だいたいはお子さんがTikTokで知ってSpotifyでいつも聞いているから、と言われますね」とキャサリン氏。
そうした「日本人に日本語曲を歌ってほしい」といった要望があれば、たとえ歌詞がどんなにアヤフヤでも、とにかく気合いで歌いきるのだそう。また、相手の国の歌を選ぶときは、その場にいる人の世代や好みに合わせるという。例えば韓国人とのカラオケで韓国語の曲を選ぶなら、「知ってる? 好き?」などと確かめつつNewJeansなどをチョイス。このように、国籍や時代性を繊細にキャッチしながら、キャサリン氏の外資系カラオケ大会は展開されていくが、選曲スタイルは人によってさまざまだという。
「何も気にせず自分の好きな歌をガンガン入れていく国の人もいますし、みんなが喜んでくれそうな曲を選ぶ人もいます。お国柄かお人柄かは定かではありませんが、選曲スタイルに偏りはありますね。ただ、それはあまり問題ではないんです。大事なのは“最後”です。終電間近の選曲が一番悩ましい。最後はやっぱり全員が知っていて気持ちよく終われる歌が理想です。それなのに、そろそろお開きにしたいタイミングでとてもマニアックな曲とか、そういう締まりのない歌が入ってしまうと内心焦ります。その歌じゃラップアップ(締めくくりのこと)できない!って」
空気を読んでカラオケに参加する外資系社員たちも、いざマイクを握ると個性が表れるようだ。
英語で説明しづらい歌詞が多すぎる問題
外資系カラオケを日本で開催する場合の「ある悩ましい事情」についてもキャサリン氏は明かしてくれた。カラオケの本人映像と歌詞のコンプラ問題だ。よかれと思って選曲したら非常に気まずい事態が訪れることもあるので油断できないという。
「あるとき、日本のカルチャーに詳しい役員が来日し、AKB48も知っているというので『ヘビーローテーション』を歌うことに。そうしたらカラオケ映像が本人映像でランジェリー姿の少女たちが巨大スクリーンにドンドン映し出されちゃって……。その場には役員のパートナーもいましたし、さまざまなバックグラウンドや思想を持つ人が集まっていました。かなり気まずかったですね。かといって途中でブツ切りにするわけにもいかず、気合いで歌いきりましたが」
また、日本の昔のヒット曲の歌詞を「これはどんな歌なの?」と無邪気に尋ねられるシーンもキャサリン氏を緊張させるという。問われるがままに内容をストレートに英訳すると、現代の価値観では到底許されないような内容になるケースも少なくないからだ。
「当時はOKだったけれどアップデートされた現代ではダメだなあと思う歌詞が多くて。演歌や歌謡曲の歌詞は特に難しいですね。日野美歌と葵司朗の『男と女のラブゲーム』とかは、なんて説明しようか悩みます、いい曲なんですけど……」
「あるとき、日本のカルチャーに詳しい役員が来日し、AKB48も知っているというので『ヘビーローテーション』を歌うことに。そうしたらカラオケ映像が本人映像でランジェリー姿の少女たちが巨大スクリーンにドンドン映し出されちゃって……。その場には役員のパートナーもいましたし、さまざまなバックグラウンドや思想を持つ人が集まっていました。かなり気まずかったですね。かといって途中でブツ切りにするわけにもいかず、気合いで歌いきりましたが」
また、日本の昔のヒット曲の歌詞を「これはどんな歌なの?」と無邪気に尋ねられるシーンもキャサリン氏を緊張させるという。問われるがままに内容をストレートに英訳すると、現代の価値観では到底許されないような内容になるケースも少なくないからだ。
「当時はOKだったけれどアップデートされた現代ではダメだなあと思う歌詞が多くて。演歌や歌謡曲の歌詞は特に難しいですね。日野美歌と葵司朗の『男と女のラブゲーム』とかは、なんて説明しようか悩みます、いい曲なんですけど……」
筆者が愛してやまない細川たかしの『北酒場』も、海外向けに解説せよと言われたら確かに困るかもしれない。貞操を重んじるカルチャーの相手に「これは、日本のレジェンドシンガーが歌う、ハーバータウンにおけるワンナイトラブの曲だ」と真顔で言えるだろうか……
本来ならばグズグズなハズの3次会のカラオケだというのに、外資系企業のように国境を越え文化と文化が混ざり合う環境では、人数集めから選曲までさまざまな事情が噴出することは確かなようだ。ただ「カラオケが好き!」という人の気持ちのピュアさは万国共通だろう。
ちなみにキャサリン氏の十八番(おはこ)はゴダイゴの「銀河鉄道999」。歌詞を直訳してもさして気まずくないが、かつて友人とのプライベートなカラオケで熱唱していたところ、知らない中年男性から“意味深”な独自解釈を教えられショックを受け、それからはちょっと選曲しづらくなっているそう。まあ歌詞はともかくとして、最後の繰り返しのパートが長くてダレてしまうため、そもそも職場カラオケやラストソングには向かないという。
そしてユニコーンの『大迷惑』もキャサリン氏の持ち歌だが、かつて勤めていた日系企業の飲み会で披露したところ、転勤の多い会社だったため、単身赴任を命じられたサラリーマンの悲哀をコミカルに歌い上げる歌詞に場の空気がピリッと張り詰めたものに変わり、以後封印しているとのこと。また、ボーイズIIメンの『アイル・メイク・ラブ・トゥー・ユー』なども、良い曲だが仕事上で会う英語圏出身者の前では色っぽすぎるのではと懸念し、選べないという。
つまり「TPOにふさわしい選曲」は、全世界的な課題なのかもしれない。
そんなグローバルなカラオケパーティーを多数経験してきたキャサリン氏が、現在「安全な鉄板ソング」として信頼を置いているのは、ドラゴンボールの『CHA-LA HEAD-CHA-LA』、鬼滅の刃の『紅蓮華』、ラブライブ!の『愛♡スクリ〜ム!』、そして新世紀エヴァンゲリオンの『残酷な天使のテーゼ』、つまりアニソンだ。
そういえば、世界の宴会部長ことDJのスティーブ・アオキも『残酷な天使のテーゼ』を爆速EDMに変えてプレイしている。とりあえずアニソンを歌っておけば、どの国でも盛り上がりそうだ。
ちなみにキャサリン氏の十八番(おはこ)はゴダイゴの「銀河鉄道999」。歌詞を直訳してもさして気まずくないが、かつて友人とのプライベートなカラオケで熱唱していたところ、知らない中年男性から“意味深”な独自解釈を教えられショックを受け、それからはちょっと選曲しづらくなっているそう。まあ歌詞はともかくとして、最後の繰り返しのパートが長くてダレてしまうため、そもそも職場カラオケやラストソングには向かないという。
そしてユニコーンの『大迷惑』もキャサリン氏の持ち歌だが、かつて勤めていた日系企業の飲み会で披露したところ、転勤の多い会社だったため、単身赴任を命じられたサラリーマンの悲哀をコミカルに歌い上げる歌詞に場の空気がピリッと張り詰めたものに変わり、以後封印しているとのこと。また、ボーイズIIメンの『アイル・メイク・ラブ・トゥー・ユー』なども、良い曲だが仕事上で会う英語圏出身者の前では色っぽすぎるのではと懸念し、選べないという。
つまり「TPOにふさわしい選曲」は、全世界的な課題なのかもしれない。
そんなグローバルなカラオケパーティーを多数経験してきたキャサリン氏が、現在「安全な鉄板ソング」として信頼を置いているのは、ドラゴンボールの『CHA-LA HEAD-CHA-LA』、鬼滅の刃の『紅蓮華』、ラブライブ!の『愛♡スクリ〜ム!』、そして新世紀エヴァンゲリオンの『残酷な天使のテーゼ』、つまりアニソンだ。
そういえば、世界の宴会部長ことDJのスティーブ・アオキも『残酷な天使のテーゼ』を爆速EDMに変えてプレイしている。とりあえずアニソンを歌っておけば、どの国でも盛り上がりそうだ。

花森 リド
ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori













