インターネットリサーチ事業を展開するGMOリサーチは、野村総合研究所(NRI)グループのNRIシンガポールと共同で、ASEANのGDP上位6カ国(シンガポール、マレーシア、フィリピン、タイ、インドネシア、ベトナム)のモニター合計709名を対象に、「ASEANアーバンライフ調査 2023年」を実施しました。
この調査は、GMOリサーチが保有する世界16の国と地域にオンラインリサーチが可能な自社のパネルネットワーク「ASIA Cloud Panel」を対象に、「働く」、「暮らす」、「楽しむ」の3つをテーマに、各国のライフスタイルのトレンドを探ったものです。調査結果からは、日系企業がASEAN地域でビジネスを広げるためのヒントとなる情報が読み取れます。
この調査は、GMOリサーチが保有する世界16の国と地域にオンラインリサーチが可能な自社のパネルネットワーク「ASIA Cloud Panel」を対象に、「働く」、「暮らす」、「楽しむ」の3つをテーマに、各国のライフスタイルのトレンドを探ったものです。調査結果からは、日系企業がASEAN地域でビジネスを広げるためのヒントとなる情報が読み取れます。
人材評価では「他社での業務経験」を重視
まず働き方やキャリア形成について。就職したい業種は、従来型の製造業や卸売・小売業に加え、これから成長が見込まれるITや金融業が人気でした。また、スタートアップや中小企業よりも、大手企業で働くことを望む意見が多く見られました。
ASEANに進出している日系企業の評価は、自身のスキルアップにつながることや社風が良いことは高く評価された一方、報酬や昇進機会、ワークライフバランス、組織の柔軟性、チームコミュニケーションなどの点では低い評価となりました。
この調査で特徴的な結果が見られたのは「従業員のパフォーマンス評価」です。
インドネシア以外の国では、人材評価において「収益貢献度」だけではなく「他社での業務経験」も重視する傾向にあります。この傾向は、転職によるキャリアアップが当たり前と考えられていることによるものです。
日本でも2022年10月に岸田内閣がリスキリング(新たなスキルの学び直し)と転職によるキャリア形成を後押しする方針を示しましたが、まだまだ「転職が当たり前」とは言い切れない印象です。日系企業がASEANで事業展開する上では、評価体制をASEANのキャリア観に即したものにする必要があるでしょう。内部人材と外部登用人材をそれぞれの指標やツールにより評価する、あるいは内部・外部人材を共通で評価できるような体系を構築することが求められます。
ASEANに進出している日系企業の評価は、自身のスキルアップにつながることや社風が良いことは高く評価された一方、報酬や昇進機会、ワークライフバランス、組織の柔軟性、チームコミュニケーションなどの点では低い評価となりました。
この調査で特徴的な結果が見られたのは「従業員のパフォーマンス評価」です。
インドネシア以外の国では、人材評価において「収益貢献度」だけではなく「他社での業務経験」も重視する傾向にあります。この傾向は、転職によるキャリアアップが当たり前と考えられていることによるものです。
日本でも2022年10月に岸田内閣がリスキリング(新たなスキルの学び直し)と転職によるキャリア形成を後押しする方針を示しましたが、まだまだ「転職が当たり前」とは言い切れない印象です。日系企業がASEANで事業展開する上では、評価体制をASEANのキャリア観に即したものにする必要があるでしょう。内部人材と外部登用人材をそれぞれの指標やツールにより評価する、あるいは内部・外部人材を共通で評価できるような体系を構築することが求められます。
人材評価で「他社での業務経験」を重視するASEAN諸国は多い
情報源はインターネット、口コミ、ローカルSNS
次に暮らしにおけるスタイルや価値観を見てみましょう。ASEANでは都市化が急速に進む一方、将来は都会でのマンション暮らしではなく、田舎や戸建てでの生活に憧れる意見もありました。また、今は配偶者、両親、子供との生活が中心であっても、将来は義理の両親や祖父母など複数ファミリーでの生活を望む意見も挙がっています。核家族化が進む日本との大きな違いを感じます。
商品購買では、今後もオンラインショッピング(EC)の急成長が見込まれます。特にファッション、バスアメニティ、家電や化粧品のECでの購買意欲が高い結果となりました。
では、商品を買う際にはどんな情報を参考にするのでしょうか。こちらは日本と同じくインターネットが主流で、さらに口コミやローカルSNSが多く活用されています。そしてSNSに関しては、各国ともローカルSNSだけではなく、海外SNSも情報源として重視されているようです。これは日本語でのコミュニケーションが主である日本とは異なる傾向かもしれません。
商品購買では、今後もオンラインショッピング(EC)の急成長が見込まれます。特にファッション、バスアメニティ、家電や化粧品のECでの購買意欲が高い結果となりました。
では、商品を買う際にはどんな情報を参考にするのでしょうか。こちらは日本と同じくインターネットが主流で、さらに口コミやローカルSNSが多く活用されています。そしてSNSに関しては、各国ともローカルSNSだけではなく、海外SNSも情報源として重視されているようです。これは日本語でのコミュニケーションが主である日本とは異なる傾向かもしれません。
商品を買うときはインターネットでの情報収集を重視
商品の価格は「とにかく安価であればいい」というわけではなく、コスパ(品質と価格が見合うこと)が重視されます。機能性や耐久性があれば、たとえ価格が高くとも購入する傾向が強いです。日本製品に対しては「高品質で使いやすく、耐久性がある」といったポジティブなイメージがあるようです。
訪れたい旅行先は日本がトップ
生活を楽しむ面では、どんな特徴があるでしょうか。
余暇を楽しむ方法といえば旅行があります。日本は「訪れたい旅行先」として最も多く選ばれ、国としての魅力度が高いようです。実際、4月29日から新型コロナウイルス感染症に対する水際措置が解除されてからは、東京も京都もアジアをはじめとする海外からの観光客で大にぎわいです。
旅行の際、航空券やホテル、ツアーなどの予約といった手配は、旅行会社を介さずに自ら行うという人が多い点も、今回の調査での特徴となっています。
自ら旅行を手配するということは、行き先選びや下調べも重要。旅行の情報源としても、インターネットは最も重視されています。また、家族や友人からの口コミやローカルSNSも参考にしているようです。「こないだ旅行で日本に行ってきたけど、すごく楽しかったよ!」なんて感想を友人から聞いて、日本への旅行を希望する人も多いのかもしれません。
余暇を楽しむ方法といえば旅行があります。日本は「訪れたい旅行先」として最も多く選ばれ、国としての魅力度が高いようです。実際、4月29日から新型コロナウイルス感染症に対する水際措置が解除されてからは、東京も京都もアジアをはじめとする海外からの観光客で大にぎわいです。
旅行の際、航空券やホテル、ツアーなどの予約といった手配は、旅行会社を介さずに自ら行うという人が多い点も、今回の調査での特徴となっています。
自ら旅行を手配するということは、行き先選びや下調べも重要。旅行の情報源としても、インターネットは最も重視されています。また、家族や友人からの口コミやローカルSNSも参考にしているようです。「こないだ旅行で日本に行ってきたけど、すごく楽しかったよ!」なんて感想を友人から聞いて、日本への旅行を希望する人も多いのかもしれません。
買い物と同じく旅行でも、インターネット、ローカルSNS、口コミが重視されている
そして旅行と同じくらい、人生の楽しみの1つといえばショッピング。ASEANエリアではスマート家電を買いたいという人が多く、新しい技術や製品への受容度の高さがうかがえます。
また各種シェアリングサービスには「時間やお金を節約できて、環境に優しい」、食事・食料品のデリバリーサービスには「価格が安い」といった良い印象があり、満足度も高いようです。日本でもカーシェアなどのサービスが広まってきましたが、ASEAN各国でも従来と違うスタイルで便利さ、お得さを実現するサービスには好感が集まっています。
ショッピングといえば、セールやポイントといった販促施策も見逃せません。ASEAN地域では年末年始のセールや毎月のショッピングプロモーションへの注目度が高いようです。商品を買うとポイントがもらえるポイントプログラムについては「役に立つ、節約できる」という評価が多い一方で、「ポイントが多すぎて管理しにくい」といった意見も見られました。ポイントアプリやポイントカードが増えすぎて管理しきれないと感じる人もいるのは、万国共通かもしれません。
以上のように、「ASEANアーバンライフ調査 2023年」からは、日本と似ているところや、日本と大きく異なる価値観をうかがい知ることができました。日系企業がASEANの各国でビジネスを成功させる上で、きっと参考となるでしょう。
「ASEANアーバンライフ調査 2023年」の詳細なレポートはNRIシンガポールのホームページからも読むことができます。
また各種シェアリングサービスには「時間やお金を節約できて、環境に優しい」、食事・食料品のデリバリーサービスには「価格が安い」といった良い印象があり、満足度も高いようです。日本でもカーシェアなどのサービスが広まってきましたが、ASEAN各国でも従来と違うスタイルで便利さ、お得さを実現するサービスには好感が集まっています。
ショッピングといえば、セールやポイントといった販促施策も見逃せません。ASEAN地域では年末年始のセールや毎月のショッピングプロモーションへの注目度が高いようです。商品を買うとポイントがもらえるポイントプログラムについては「役に立つ、節約できる」という評価が多い一方で、「ポイントが多すぎて管理しにくい」といった意見も見られました。ポイントアプリやポイントカードが増えすぎて管理しきれないと感じる人もいるのは、万国共通かもしれません。
以上のように、「ASEANアーバンライフ調査 2023年」からは、日本と似ているところや、日本と大きく異なる価値観をうかがい知ることができました。日系企業がASEANの各国でビジネスを成功させる上で、きっと参考となるでしょう。
「ASEANアーバンライフ調査 2023年」の詳細なレポートはNRIシンガポールのホームページからも読むことができます。
花森 リド
ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori