花粉の季節到来!QOLが上がる「空気清浄機」の選び方と家電エバンジェリストのおすすめモデル6選

安蔵 靖志

Specialライフスタイル買い物
春先はスギ花粉、秋口にはイネ花粉など、ほぼ1年中を通して多くの人々を悩ませるのが花粉症です。花粉症を和らげるための治療法などもありますが、最も重要な対策はしっかりと花粉を取り除くことです。そこで今回は、家電エバンジェリストとして執筆のほかテレビなどにも出演する筆者が、花粉の除去に一役買ってくれる空気清浄機の選び方とおすすめの製品を紹介しましょう。

適用床面積の大きい製品を選びましょう

まずチェックしたいのが「適用床面積」です。適用床面積とは日本電機工業会(JEMA)規格で定められた基準で、「30分で一定量の汚れ(タバコの煙など)を清浄できる部屋の広さ」を表しています。つまり、適用床面積が8畳の機種であれば、8畳の広さの部屋の空気を30分できれいにできるという目安になります。

14畳の部屋に置くのであれば適用床面積14畳以上のモデルを選びたいところですが、「部屋の広さ=適用床面積」で選んでしまうと、実際には十分な清浄効果を得られない場合があります。

というのも、実際の部屋では人の出入りや換気などによって常に空気が動いているため、試験環境のように空気がきれいになりにくい状況にあるのです。また、部屋に置いてある家具などで空気の流れが阻害されて清浄効率が低下する場合もあります。

こうした理由から、部屋の広さに対して適用床面積が1.5~2倍程度大きい機種を選ぶことをおすすめします。例えば、6畳のお部屋であれば、8畳用以上、できれば10畳用の機種を選ぶと、より早く、より確実に空気を清浄できます。

加湿器一体型の「加湿空気清浄機」のメリット・デメリットは?

空気清浄機には、空気清浄機能だけを搭載する製品のほか、加湿機能も搭載する「加湿空気清浄機」、数は少ないものの、除湿機能まで搭載する「除加湿空気清浄機」などもラインアップされています。

では、どのタイプを選ぶのがいいのでしょうか。それぞれのメリットとデメリットを紹介しましょう。

空気清浄機単体はパワフルな空気清浄が可能

単体の空気清浄機は、空気清浄機能に注力した設計になっているため、高い空気清浄能力を発揮する機種が多いです。より強力な集塵能力や脱臭能力を求める場合は、単機能の空気清浄機が適しています。フィルター交換などの基本的なメンテナンスのみで済むため、手入れも簡単です。加湿空気清浄機に比べて価格が安い傾向があり、予算を抑えたい場合は、単機能の空気清浄機を選ぶのが賢明です。

ただし冬などに乾燥が気になる場合は、別途加湿器を用意して併用が必須となります。また加湿器が必要な場合は、別途設置スペースも必要です。

単体の空気清浄機の場合、加湿が必要だと別途加湿器を置く必要がある

加湿空気清浄機なら省スペースで年中活躍

加湿空気清浄機は、加湿と空気清浄を一台で行えるため、設置スペースを大幅に節約できます。部屋の広さに限りがある場合や、複数の家電を置きたくない場合に便利です。冬の乾燥時期には加湿機能が、それ以外の季節は空気清浄機能が活躍します。一年中出しっぱなしにできるため、季節ごとに家電を出し入れする手間が省け、収納スペースの節約にもつながります。季節の変わり目に重い家電を出し入れする家事労働を減らしたいという人にもおすすめです。

加湿空気清浄機なら、乾燥しやすい冬の時期に加湿機能が活躍

デメリットは手入れがしにくいことです。加湿機能を搭載するため、水タンクや加湿フィルターなどの手入れが必要になります。加湿用のパーツ類は、こまめに手入れをしないとカビや雑菌が繁殖する原因になります。

また加湿機能と空気清浄機能を一台に詰め込んでいるため、それぞれの機能に特化した単機能機に比べて性能が若干劣る場合があります。特に加湿能力は、単機能の加湿器に劣ることが多いです。1つの製品でも、加湿、空気清浄、除湿それぞれの適用畳数が異なる場合もあるため、使用したい部屋の大きさに性能が足りているか細かくチェックしましょう。

湿気のお悩みも解決する除加湿空気清浄機

除加湿空気清浄機は、空気清浄機に加湿機能と除湿機能を搭載する製品です。一台で空気清浄、加湿、除湿の三役をこなすため、一年を通して快適な室内環境を維持できるメリットがあります。湿気でカビやすい部屋があるなど、湿気のお悩みを持つ家庭にぴったりです。ただし、本体サイズが大きくて重くなる傾向があり、価格も高めです。

加湿器を持っているのであれば空気清浄機単体でもいいですが、機能の幅が広い加湿空気清浄機がおすすめです。

「10年間フィルター交換不要」ってどういうこと?

国内大手メーカーの空気清浄機は、「フィルター10年交換不要」をうたう製品が多くあります。一方で海外メーカー製品や、国内中小メーカー製品などの場合、半年から1年を目安にフィルター交換が必要な場合が多いです。それぞれのメリットとデメリットを紹介しましょう。

「10年間フィルター交換不要」の製品はこまめなメンテナンスが必要

国内大手メーカーなどで「10年間フィルター交換不要」をうたう製品の場合、本体の側面や背面などに設置された「プレフィルター」によって大きめのゴミやホコリをキャッチすることで、本体内のフィルターを長持ちさせる仕組みを採用しています。内部のフィルターを交換する頻度が少ないため維持コストを抑えられるものの、プレフィルターにたまったホコリを掃除機で吸うなどのメンテナンスが必要になります。最近ではプレフィルターを自動的に掃除する機能を搭載する製品も出てきています。より手間とコストをかけずに使いたい人にはフィルター自動掃除機能は便利です。

出典:シャープ「KI-TX100」の製品情報ページ

「10年間フィルター交換不要」をうたう製品の場合、フィルターのこまめな掃除が必要になることが多い

フィルター交換が必要な製品は維持コストが高め

海外メーカーなどの製品は、加湿空気清浄機よりも空気清浄機単体製品が主流で、大風量のファンで吸い込んだ空気から大型のフィルターで有害物質を取り除くシンプルな仕組みになっています。国内メーカー製品と同様にプレフィルターもありますが、多くの製品は国内大手メーカー製品のようにプレフィルターの掃除をする必要はありません。半年から1年に1回程度フィルター交換することで性能を保つコンセプトになっています。

海外メーカー製品や国内中小メーカー製品は、半年から1年に1回程度フィルターを交換する必要がある

定期的なフィルター交換によって、常に高い清浄性能を維持できるものの、半年から1年に1回程度、数千円から1万円ほどのフィルター交換費用がかかります。そのため、国内大手メーカー製品に比べて維持コストが多くかかってしまう点がデメリットです。

花粉対策のために気を付けるべきことは?

花粉は、他のハウスダストなどに比べて比較的重いため、空気中に舞っている時間は短く、床に落ちやすい性質があります。そのため空気清浄機の吸込口が、本体の下部や側面の下部など、床面に近い位置に配置されている空気清浄機を選ぶと、効率的に花粉を吸い込むことができます。

吸込口の方向も全方向から吸い込むタイプや、前面から強力に吸い込むタイプなど、さまざまなタイプがありますので、設置場所に合わせて最適なものを選びましょう。

最近の空気清浄機には、「花粉モード」や「花粉コース」など、花粉対策に特化した運転モードを搭載している製品が増えています。これらのモードは、センサーで検知した花粉の飛散量に応じて風量を自動で調整したり、部屋の空気を効率的に循環させるための気流制御機能などを備えているため、花粉対策におすすめです。

そのほかにあると便利な機能は?

そのほかにあると便利な機能として挙げられるのが「センサー自動運転」「脱臭機能」「スマホ連携、「おやすみモード」などです。

センサー自動運転機能は、ハウスダストセンサーやニオイセンサー、PM2.5センサーなどを搭載し、有害物質を検知すると、自動的に風量を調整するというものです。そのほかに、照度センサーによって部屋が暗くなるのを検知すると、インジケーターを消灯する機能を備えている製品もあります。

脱臭機能は、ニオイ成分を吸着・分解することで、室内の気になるニオイを除去する機能です。活性炭フィルターによるニオイ成分の吸着や、触媒によるニオイ成分の分解などがあります。

スマホ連携機能は、スマホアプリを通じて空気清浄機を操作したり、運転状況を確認したりできる機能です。外出先から電源をオン・オフしたり、運転状況を確認したりできるだけでなく、空気の状況を時系列で可視化できる製品もあります。
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安蔵 靖志

Techジャーナリスト/家電エバンジェリスト
家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)、スマートマスター。AllAbout デジタル・家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ~ンの家電ソムリエ」にレギュラー出演するほか、ラジオ番組の家電製品紹介コーナーの商品リサーチ・構成にも携わっている。

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