なんだかんだでXよりもThreads(スレッズ)を居心地よく感じてしまう理由

花森 リド

Specialインターネットネットサービス

サービス開始から2年、Threadsは今どうなってる?

先日、i4Uの編集主幹の鷹木創さんから「花森さん、知ってる〜? 今、X(旧Twitter)がThreads(スレッズ)に抜かされそうなんだってよ」という話を聞きました。鷹木さんは、時折こういうオモシロ情報をなぜか授けてくれるのです。

なんでも調査会社のSimilarweb(シミラーウェブ)が2025年7月に公開したレポートによると、2025年6月時点でThreadsのモバイルアプリ(iOS/Android)のDAU(1日にアプリを使っている人の数)は1億1510万人で、Xの1億3200万人に肉薄しているとのこと。

しかもThreadsは前年比で127.8%の成長を記録している一方で、Xは15.2%の減少。確かに今の勢いのままなら、ThreadsがXを抜きそうです。

で、私はこの1億1510万人のThreadsユーザーの一員です。2023年にサービスが始まって以来、私のプライベートのSNSはThreadsとInstagramに集約しています。どちらもMetaが運営するSNSです。

Threadsのサービスが始まった当初は「一応使ってみるか〜」くらいのノリだったのに、今や一軍SNS。

アカウントは非公開にして、そこでやりとりをする人たちの90%は実際に会ったことのある知り合いばかり。そんな非常に狭くて小さな世界にいるので、まさかThreadsアプリのDAUがそんなに拡大しているとはつゆ知らずでした。

とはいえ「そんなに成長しているなんて、意外!」や「SNSの巨人・Xに迫っているとはビックリ!」とも思えず、むしろちょっと納得すらできるのが、いち個人の印象でもあります。「場所が育ってきた」と感じることが多々あるのです。そんなThreadsの変化を、2年間使ってきた一般ユーザーの目線から紹介します。

「態度の悪い投稿」をブロックしまくった

どんなSNSもサービスが始まってすぐのタイミングでは「ただの野原」のような状態です。どこを見渡しても森は見つからず、山や海がどちらにあるのかもわからない。そこにどんな嵐がくるのかもわからない。

Threadsの場合、2023年7月6日のサービス開始からたちまちユーザー数が増え、同年7月10日に1億人を突破。つまり特徴のつかめない1億本もの「草」が一気に茂ったような状態だったのです。

そんな草ボーボーのThreadsで私が最初にやったことは「これは興味がないし、自分向けの投稿じゃないな〜」と思ったら、草むしりをするように、その投稿主を気軽にブロックすることでした。

興味がないトピックに加えて、情報商材を扱うアカウントや、ダイエット商材やトレーニングジムの宣伝のために他人の体形を揶揄(やゆ)するようなアカウントは即ブロックしました。そして見ず知らずの人に無礼な口調でリプライするアカウントも、それが私に向けられた言葉でなくてもブロック。

つまり、リアルな空間で私が「カフェの隣のテーブルで居合わせてしまったら、すぐに退散したくなる」ような存在や、冗談だとしても笑えない話を、インターネット上でも避けるようにしたのです。

そんなことを続けていたら「自分と異なる意見をもつ人」と触れる機会がそがれるのでは? という後ろめたさも多少はあったものの、そもそもSNSに散らばる意見が本当なのかどうなのかが、私にはわからないんです。

私がSNSから受け取れるものは、「その人の姿」や「意見」ではなく「態度」だけです。

というのも、個人同士が自分の思想に基づいて意見を根気よく交わす場として、SNSは不便な空間のように私には思えるからです。何を話しているのかわからなくなるし、大勢の意見の応酬を、文脈込みで理解して追いかけるのも私は苦手です。

さらに言うなら、SNSは無数の他者が「見せたい自分」を切り取って、それらを差し出す場所でもあります。つまり往々にしてバイアスがかかりまくった状態からスタートするので、見知らぬ他者と真面目に相対するのがバカバカしくなるんです。だから私は態度だけを受け取ります。

その代わりに、いろんな国の新聞やニュースメディアのアカウントをバランサーとして積極的にフォローしました。そしてそのメディアの投稿に対して攻撃的だったり失礼なリプライをつけるアカウントも、見かけるたびにブロックしました。

ブロックに次ぐブロックの結果、2年前にはよく見かけた情報商材も、失礼な人も、私が観察できる範囲ではほとんど見かけなくなりました。Threadsは、私から見えている世界に限るなら、穏やかで愉快で治安のいいSNSです。

ちなみにこのブロック作戦をXでも試しましたが、使い始めて14年ほどのアカウントだからなのか、あまり効果を感じられません。だから私にとってXは今でもせわしない場所のままで、その結果あまり近寄らなくなりました。

「いいね」を押さなくても「ちゃんと見ている」と似た投稿が出る

基本的に、どのSNSでも、投稿に「いいね」を押したりフォローしたりすると、関連する投稿がたくさんサジェストされるようになります。

例えばFacebookで動物園の公式アカウントをフォローすると、他の動物園からの投稿がドッとオススメされるようになりました(Facebookからのオススメで知った周南市徳山動物園が私の最近のお気に入り。動物への愛情と優しいユーモアを感じます)。

私のFacebookの新着通知はだいたい毎日こんな感じ。動物園お知らせSNSとなって久しい

ただ、Threadsについては「いいね」や「フォロー」を強く意識しなくても、なんとなく好きな投稿が流れてくるのです。「いいねを押したかどうか」に加えて、「その投稿を“ちゃんと見ている”かどうか」も分析して、その分析を強く反映させたサジェストをしているようです。

これと似た現象がInstagramでもよく起こります。

例えばInstagramでランニングに関するショート動画をスキップせずに視聴すると、数日後からランニング関連の投稿が大量にサジェストされるようになります(それはそれで胸焼けするので悩ましい)。

Threadsでも、投稿をしっかり読んでいたり、投稿に添えられた写真をすべて表示すると、数日後から似たような投稿がどんどん出てくるようになります。ということで、2025年初夏の我がタイムラインでは、スズメやツバメのひなの投稿がたくさん並びました。なぜなら、私は2025年の春あたりからなめるようにひなの写真ばかり見ていたのです。
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花森 リド

ライター・コラムニスト
主にゲーム、マンガ、書籍、映画、ガジェットに関する記事をよく書く。講談社「今日のおすすめ」、日経BP「日経トレンディネット」「日経クロステック(xTECH)」、「Engadget 日本版」、「映画秘宝」などで執筆。
X:@LidoHanamori

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