開発の8割をAIが担当!?
さらに、今回の実証ではプログラムのコーディングにも生成AIを活用しました。GMO AIRのリサーチ/技術アドバイザーで、GMOインターネットグループのプログラマーでもある新里祐教氏は、生成AIによるコーディングについて次のように説明します。
「アプリケーションの実装は大部分をAIが自動生成し、人間(エンジニア)が安全性・セキュリティの観点で品質を確認して取り込んでいます」(新里氏)
そしてAIと人間の役割分担について、次のように補足します。
「AIは、情報が何もない状態から勝手にコードを書くわけではありません。全体の構造や通信の仕組みは人間が設計し、その上で『ここから先をやってみて』とAIに指示します。開発中にエラーが起きたときは、自然言語で状況を伝えて複数の修正案を出させ、人間が最終判断をします。AIが『8割』を書き、残り『2割』は人の役割です。つまり『人間がコードを書いていない』ことは、『人間が携わっていない』という意味ではないんです」(新里氏)
「アプリケーションの実装は大部分をAIが自動生成し、人間(エンジニア)が安全性・セキュリティの観点で品質を確認して取り込んでいます」(新里氏)
そしてAIと人間の役割分担について、次のように補足します。
「AIは、情報が何もない状態から勝手にコードを書くわけではありません。全体の構造や通信の仕組みは人間が設計し、その上で『ここから先をやってみて』とAIに指示します。開発中にエラーが起きたときは、自然言語で状況を伝えて複数の修正案を出させ、人間が最終判断をします。AIが『8割』を書き、残り『2割』は人の役割です。つまり『人間がコードを書いていない』ことは、『人間が携わっていない』という意味ではないんです」(新里氏)

左から、GMOインターネットグループ 兼 GMO AI & ロボティクス商事 リサーチ/技術アドバイザーの新里祐教氏、GMO AI & ロボティクス商事 代表取締役社長 内田朋宏氏、GMO AI & ロボティクス商事 兼 GMOインターネットグループ アプリケーション開発本部 DX推進開発部 部長の李奨培氏、GMO AI & ロボティクス商事 金明源氏
ちなみに、なびるんは展示エリア内をスルスルと静かに動きますが、人が密集した場面では安全を優先して無理に進まず、停止や待機に切り替えます。来場者とぶつからないことを前提に、安全に自律移動をしていることがうかがえます。やがて「人混みを器用にかき分けて移動する」なんてこともできるようになるかもしれません。
ロボットと組み合わせることでAIをより身近に
GMO AIR 代表取締役社長 内田朋宏氏は、今回の実証の狙いを「AIをロボットに『くっつける』ことで、AIをよりリアルに身近に感じてもらえるようにしたい」と述べ、「日本科学未来館を訪れる老若男女の皆さんにAIを感じていただき『未来って、こういうふうに変化していくんだろうな』と想像していただければうれしい」と語りました。
さらに「実証実験で、AI対話型ロボットが実際の現場で通用するのかを確かめたい」と、運用可能性の検証を強調しています。今後については「今回のようなサービスロボットだけでなく、ヒューマノイドにAIを搭載すれば、人とロボットのコミュニケーションは身振り手振りにも広がる」とし、学芸員の負担軽減や全国の博物館・美術館への展開にも期待を示しました。
さらに「実証実験で、AI対話型ロボットが実際の現場で通用するのかを確かめたい」と、運用可能性の検証を強調しています。今後については「今回のようなサービスロボットだけでなく、ヒューマノイドにAIを搭載すれば、人とロボットのコミュニケーションは身振り手振りにも広がる」とし、学芸員の負担軽減や全国の博物館・美術館への展開にも期待を示しました。

GMO AI & ロボティクス商事 代表取締役社長 内田朋宏氏
なぜ「スマホアプリ」ではなく「ロボット」がいいのか
実証実験が始まると、なびるんの周りに小さな輪ができ、大人も子どもも興味津々の様子で「おすすめは?」と声をかけます。なびるんが「『進行する気候変動』へご案内しましょうか?」と促すと、すかさず子どもが「お願いします」と応じる——そんな自然なコミュニケーションが見られました。ロボットも、その呼びかけに応える人間も、どちらも機械的な応答ではなく、丁寧かつ自然なコミュニケーションを重ねているように見えたのがとても印象的でした。
また、なびるんに話しかけると、なびるんは「あなたの言葉を受け取りました。お返事を考え中です」といった感じで「ポーン」と音を鳴らします。その音のおかげで、ロボットと相対する人間側が少し安心するのも、コミュニケーションの一環だと感じました。
また、なびるんに話しかけると、なびるんは「あなたの言葉を受け取りました。お返事を考え中です」といった感じで「ポーン」と音を鳴らします。その音のおかげで、ロボットと相対する人間側が少し安心するのも、コミュニケーションの一環だと感じました。

来館者からの“斜め上”な質問になんと回答するか考えているなびるん。こうした様子もスマホアプリでは見られない、ロボットならではの光景といえそうです
今回の実証実験について、新里氏は次のように語ります。
「実際の環境で、来館者の皆さんが行き交う中を自律移動しながら対話し、広い空間で音声認識する——その運用を検証できるのは有意義なことです。ガイド機能だけならスマートフォンのアプリでも可能ですが、人間はロボットを前にすると、より積極的に話しかけ、興味を持ってコミュニケーションします。結果として展示への理解も深まります。だからこそ、次はヒューマノイドでも試したい。私たちがAIとロボットを組み合わせて新しい体験価値を検証する意義も、こうした点にあると考えています」(新里氏)
未来館が掲げるMiraikanビジョン2030「あなたとともに『未来』をつくるプラットフォーム」の名の通り、研究開発者と来館者がともに参加し、小さな検証を重ねる姿勢が垣間見える実証実験でした。
「実際の環境で、来館者の皆さんが行き交う中を自律移動しながら対話し、広い空間で音声認識する——その運用を検証できるのは有意義なことです。ガイド機能だけならスマートフォンのアプリでも可能ですが、人間はロボットを前にすると、より積極的に話しかけ、興味を持ってコミュニケーションします。結果として展示への理解も深まります。だからこそ、次はヒューマノイドでも試したい。私たちがAIとロボットを組み合わせて新しい体験価値を検証する意義も、こうした点にあると考えています」(新里氏)
未来館が掲げるMiraikanビジョン2030「あなたとともに『未来』をつくるプラットフォーム」の名の通り、研究開発者と来館者がともに参加し、小さな検証を重ねる姿勢が垣間見える実証実験でした。

鷺木さくら
ライター・コラムニスト。 展示会めぐりと編みぐるみが好物。いつかLOVOTかaiboを飼ってセーターを編みたい。 ライフハック・おでかけ情報に関する記事が得意。中央線LOVE。 マンチカンの寝姿と歩き方が好き。