オシャレでポップなUKアート——音楽・ファッション好きが楽しめる『テート美術館 ― YBA & BEYOND』
章の間に設けられた「スポットライト」展示も必見
また、本展では各章の間に設けられている「スポットライト」(章をつなぐ重要作)と名付けられた展示も必見だ。
そのうちのひとつが第3章の終わりにある、トレイシー・エミンによる映像作品『なぜ私はダンサーにならなかったのか』(1995年)。この作品の前半ではトレイシー・エミンが育った海辺の町マーゲートの風景が映し出される中、10代の頃の苦しみが本人のナレーションで語られる。しかし作品の後半、Sylvesterのディスコ曲「You Make Me Feel (Mighty Real)」が流れ出すと、トレイシー・エミンは生き生きと踊り始める。前半の重苦しさから一転するこのコントラストが強烈に印象に残った。
そのうちのひとつが第3章の終わりにある、トレイシー・エミンによる映像作品『なぜ私はダンサーにならなかったのか』(1995年)。この作品の前半ではトレイシー・エミンが育った海辺の町マーゲートの風景が映し出される中、10代の頃の苦しみが本人のナレーションで語られる。しかし作品の後半、Sylvesterのディスコ曲「You Make Me Feel (Mighty Real)」が流れ出すと、トレイシー・エミンは生き生きと踊り始める。前半の重苦しさから一転するこのコントラストが強烈に印象に残った。
そして、もう1つ印象に残ったのが、第5章「家という個人的空間」の終わりに据えられたコーネリア・パーカー『コールド・ダーク・マター:爆発の分解イメージ』だ。英国陸軍に依頼して実際に爆破した物置小屋の破片を、1つ1つ天井からつるし、中央に強い光源を配置したこの立体作品では、爆発の瞬間が一時停止したかのような光景が目の前に広がる。そんなインパクトを持つ体験型の展示だった。
コーネリア・パーカー『コールド・ダーク・マター:爆発の分解イメージ』(1991年)の展示風景(筆者撮影)
プレイリスト、ポッドキャスト、音声ガイド……耳から没入する90s UKカルチャー
ここまで展示作品の見どころを紹介してきたが、本展の楽しみ方は会場の中だけにとどまらない。展覧会の公式テーマソングとして、Vaundyが「シンギュラリティ」を書き下ろしている(2026年2月配信リリース)。Vaundyは2025年にテート・モダンで歌唱パフォーマンスを行っており、英国アートとの接点もある人選だ。
さらに90s UKカルチャーを音で体感できる本展の公式プレイリストもおすすめしたい。Oasis、Blur、Manic Street Preachers、Pulp、Pet Shop Boys、Goldie、Massive Attackと、90年代を彩ったUKミュージックが並ぶ。本展に出品されているダミアン・ハーストやジュリアン・オピーといったアーティストたちは、当時こうしたミュージシャンたちと深く交流し、互いに影響を与え合っていた。プレイリストを聴いてから会場に向かえば、作品の背景にある時代の熱量がより鮮明に感じられるはずだ。
予習するなら、J-WAVEとのコラボレーションで配信されているポッドキャスト『YBA & BEYOND PODCAST』もチェックしておきたい。こちらでは国立新美術館の研究員やキュレーターに加え、DJやアーティストがゲスト出演しており、アートになじみがなくても楽しめる内容になっている。
そして、会場ではぜひ音声ガイドを利用してほしい。細野晴臣と齋藤飛鳥が担当するこのガイドは、スマホでQRコードを読み取り、手持ちのイヤホンで聴く方式だ。各展示コーナーの概要から個別作品の解説まで網羅されている。筆者自身、YBA作品の知識はほとんどなかったが、ガイドを聴きながら回ることで作品の背景が理解でき、非常に助かった。
さらに90s UKカルチャーを音で体感できる本展の公式プレイリストもおすすめしたい。Oasis、Blur、Manic Street Preachers、Pulp、Pet Shop Boys、Goldie、Massive Attackと、90年代を彩ったUKミュージックが並ぶ。本展に出品されているダミアン・ハーストやジュリアン・オピーといったアーティストたちは、当時こうしたミュージシャンたちと深く交流し、互いに影響を与え合っていた。プレイリストを聴いてから会場に向かえば、作品の背景にある時代の熱量がより鮮明に感じられるはずだ。
予習するなら、J-WAVEとのコラボレーションで配信されているポッドキャスト『YBA & BEYOND PODCAST』もチェックしておきたい。こちらでは国立新美術館の研究員やキュレーターに加え、DJやアーティストがゲスト出演しており、アートになじみがなくても楽しめる内容になっている。
そして、会場ではぜひ音声ガイドを利用してほしい。細野晴臣と齋藤飛鳥が担当するこのガイドは、スマホでQRコードを読み取り、手持ちのイヤホンで聴く方式だ。各展示コーナーの概要から個別作品の解説まで網羅されている。筆者自身、YBA作品の知識はほとんどなかったが、ガイドを聴きながら回ることで作品の背景が理解でき、非常に助かった。
細野晴臣と齋藤飛鳥が担当する音声ガイドのアプリ画面
90年代の音楽やファッションが好きなら、ぜひプレイリストやポッドキャストを聴いてから会場に足を運んでみてほしい。普段アートになじみがなくても、自分が好きなカルチャーを入口として、作品をぐっと近くに感じてほしい。

Jun Fukunaga
ライター・インタビュワー
音楽、映画を中心にフードや生活雑貨まで幅広く執筆する雑食性フリーランスライター・インタビュワー。最近はバーチャルライブ関連ネタ多め。DJと音楽制作も少々。














