“双子”ではなかった可能性は?
一方、米・カリフォルニア工科大学の惑星科学者コンスタンティン・バティギン氏は、オールトの雲の形成が必ずしも太陽が連星だったことの証明にはならないとの考えを示しています。
バティギン氏は「太陽が形成され、木星と土星が現在の質量に成長していく過程でたくさんの天体を放出したと考えれば、それだけでオールトの雲の存在する理由を完全に説明できる」と考えています。またプラネット・ナインも、たまたま新しい星が生まれる領域を通り過ぎていった星だと考えれば説明できるというのがバティギン氏の主張です。
ただバティギン氏も、誕生初期の太陽が連星だった可能性を完全に否定しているわけではありません。最近発表した論文では、オールトの雲の内側の縁の部分については伴星があったことで説明できる可能性があることを示唆しています。
この論文でバティギン氏は、木星や土星の軌道から外れて散らばったたくさんの小天体が、太陽の伴星の重力の影響を受けて、オールト雲の内側に閉じ込められる可能性が考えられるとしました。
バティギン氏は「太陽が形成され、木星と土星が現在の質量に成長していく過程でたくさんの天体を放出したと考えれば、それだけでオールトの雲の存在する理由を完全に説明できる」と考えています。またプラネット・ナインも、たまたま新しい星が生まれる領域を通り過ぎていった星だと考えれば説明できるというのがバティギン氏の主張です。
ただバティギン氏も、誕生初期の太陽が連星だった可能性を完全に否定しているわけではありません。最近発表した論文では、オールトの雲の内側の縁の部分については伴星があったことで説明できる可能性があることを示唆しています。
この論文でバティギン氏は、木星や土星の軌道から外れて散らばったたくさんの小天体が、太陽の伴星の重力の影響を受けて、オールト雲の内側に閉じ込められる可能性が考えられるとしました。

オールトの雲(出典:NASA / JPL-Caltech)
この考えが正しいかどうかは「チリのベラ・ルービン天文台の運用が始まり、オールトの雲の構造がこれまでよりも詳しく分かるようになれば、伴星に関するはっきりした痕跡があるかどうかが分かるだろう」と、バティギン氏は述べています。
なお、もし新たな観測で伴星の痕跡が発見されたとしても、現在の太陽の“本当の双子”を発見するのは難しいかもしれません。太陽の伴星であるかを確かめるためには、太陽と同じ宇宙の領域で、太陽と組成が似ている恒星を見つけ出し、詳細に調べる必要があります。
2018年には、太陽系から200光年も離れていない空間に、太陽と同じような大きさで、同じような組成の恒星が発見されています。しかし太陽の生まれ故郷では、同時期に何百~何千もの恒星が形成されたはずで、太陽と似た特性を持つであろう恒星が太陽の本物の伴星かどうかを特定する方法が今のところはありません。
さらにいえば、太陽の伴星が太陽と同じぐらいの大きさをしているとも限りません。もっと小さな赤色矮星だったり、もっと高温の、青く光る星だった可能性もあります。
なお、もし新たな観測で伴星の痕跡が発見されたとしても、現在の太陽の“本当の双子”を発見するのは難しいかもしれません。太陽の伴星であるかを確かめるためには、太陽と同じ宇宙の領域で、太陽と組成が似ている恒星を見つけ出し、詳細に調べる必要があります。
2018年には、太陽系から200光年も離れていない空間に、太陽と同じような大きさで、同じような組成の恒星が発見されています。しかし太陽の生まれ故郷では、同時期に何百~何千もの恒星が形成されたはずで、太陽と似た特性を持つであろう恒星が太陽の本物の伴星かどうかを特定する方法が今のところはありません。
さらにいえば、太陽の伴星が太陽と同じぐらいの大きさをしているとも限りません。もっと小さな赤色矮星だったり、もっと高温の、青く光る星だった可能性もあります。
双子のままなら、系外惑星や生命誕生に起こっていた影響
今分かっていることは、もし太陽がかつて連星であり、その片方だったとしても、その後に地球上で生命が誕生するのを妨げることはなかったということです。連星を公転する系外惑星では、重力などの影響がより複雑になります。しかしそれは惑星の安定性や居住可能性を妨げるものではないかもしれないという、興味深い可能性も示唆しています。

国際宇宙ステーションからみた日本(出典:NASA)
今後、研究者たちが太陽系の最も遠い領域をさらに探査し続ける中で、失われた伴星のさらなる証拠を発見する可能性も、もちろんあります。現時点では、生まれた当初の太陽は連星だったのかという疑問は未解決のままであり、星の形成と進化への理解を難しくしています。もしかすると太陽の“双子の兄弟”は、今も広大な宇宙の中の微かな痕跡として、いつか発見されるのを待っているのかもしれません。

Munenori Taniguchi
ライター。ガジェット全般、宇宙、科学、音楽、モータースポーツetc.、電気・ネットワーク技術者。
実績媒体:TechnoEdge、Gadget Gate、Engadget日本版、Autoblog日本版、Forbes JAPAN他
Twitter:@mu_taniguchi