次世代モバイル通信規格Beyond 5G (6G)で安心安全な世界を!GMOサイバーセキュリティ byイエラエの挑戦
暗号のおねぇさん「IETF 120」へ行く
ここまで読んでくれたみなさまは、私たちが今、何をやっているのか気になってきてるのではと思います! ということで、2024年7月20日から26日までカナダ・バンクーバーで開催された「IETF 120」に参加した、私たちの活動ダイジェストをお送りします。
IETF120会合 会場のビルはこんな感じでした
私たちは、私たちのチームが提案する超低遅延暗号「Areion」を、IETFに参加する世界中の技術者たちに使ってもらい、浸透させるために、IETFのハッカソンに2023年7月から連続して参加しています。
ハッカソンというのは、技術者たちが1つのテーマについて、数時間〜数日かけてギュッと開発や検証を行う「短期集中合宿」のようなものです。
ハッカソンというのは、技術者たちが1つのテーマについて、数時間〜数日かけてギュッと開発や検証を行う「短期集中合宿」のようなものです。
ハッカソン真っ最中の暗号のおねぇさん
IETF 120でもAreionに関するハッカソンを行い、そこでの成果をIETFに参加する技術者たちの前で発表してきました。
IETF120 ハッカソンのプロジェクト一覧。「5.Ultra-Low-Latency Crypto (低遅延暗号プロジェクト)」が、私たちのプロジェクトです
テーブルでは“くまポン”がお出迎え
今回のわれわれのお題は、ズバリ「Areionって、どのくらい性能が高いの?」です。
現在広く利用されている「AES-256-GCM」や「SHA-256」といった暗号技術と比べてAreionは安全なの? 便利なの? どうなの? といったところを検証するために、両者を比較するためのベンチマーク環境を整える活動を行いました。そして私たちの研究プロジェクトの範囲は「Beyond 5G(6G)」ですから、6Gで主役になるであろうIoT端末を意識して、IoTでよく利用されるARM環境でも評価できるように環境を整えました。
現在広く利用されている「AES-256-GCM」や「SHA-256」といった暗号技術と比べてAreionは安全なの? 便利なの? どうなの? といったところを検証するために、両者を比較するためのベンチマーク環境を整える活動を行いました。そして私たちの研究プロジェクトの範囲は「Beyond 5G(6G)」ですから、6Gで主役になるであろうIoT端末を意識して、IoTでよく利用されるARM環境でも評価できるように環境を整えました。
暗号技術にまつわる機器がびっしりのテーブル
Areionの安全性と性能面の高さが証明できた!
このハッカソンを通して、「暗号操作の対象となるメッセージが短い」という特定の条件下では、Areionが現行暗号技術よりも性能面で優れているという結果が出ました。
この成果について、もう少し細かくご説明しますと、暗号化の速度において、AES-256-GCMと比べるとAreionは2倍以上優れていました。そしてハッシュ化(元の情報に復元できないようにデータを変換すること)機能においても、SHA-256と比べるとAreionは3倍以上優れているという結果です。
これは、暗号のおねぇさんにとって、いえ、暗号化技術の世界にとって、とてもすごいことなのです。
暗号化技術の世界では「安全性」と「性能」はトレードオフの関係です。安全性が高いと、性能がちょっと惜しい……といったことも、よくある話なのです。
今回のハッカソンでは「世界中で広く使われている」という観点から、AES-256-GCMをAreionとの比較対象として選びました。Areionは高い安全性を実現しているため、性能面では不利な状況にあるのですが、それでも2倍以上高速という結果になりました。
つまり暗号化に関しては、特定の条件下においては、高い安全性を備え、かつ性能面で優れているという結果がわかったのです。
この結果に、私を含むチームメンバー全員が大興奮! 発表スライドはこちらで公開されておりますので、ぜひご参照いただけたらと思います。
この成果について、もう少し細かくご説明しますと、暗号化の速度において、AES-256-GCMと比べるとAreionは2倍以上優れていました。そしてハッシュ化(元の情報に復元できないようにデータを変換すること)機能においても、SHA-256と比べるとAreionは3倍以上優れているという結果です。
これは、暗号のおねぇさんにとって、いえ、暗号化技術の世界にとって、とてもすごいことなのです。
暗号化技術の世界では「安全性」と「性能」はトレードオフの関係です。安全性が高いと、性能がちょっと惜しい……といったことも、よくある話なのです。
今回のハッカソンでは「世界中で広く使われている」という観点から、AES-256-GCMをAreionとの比較対象として選びました。Areionは高い安全性を実現しているため、性能面では不利な状況にあるのですが、それでも2倍以上高速という結果になりました。
つまり暗号化に関しては、特定の条件下においては、高い安全性を備え、かつ性能面で優れているという結果がわかったのです。
この結果に、私を含むチームメンバー全員が大興奮! 発表スライドはこちらで公開されておりますので、ぜひご参照いただけたらと思います。
大興奮の結果を発表している暗号のおねぇさん
今回のハッカソンのプレゼン後、6Gの標準化を検討する団体・3GPPからも「3GPPでAreionのベンチマーク結果を共有したい」と声を掛けられるなど、Areionという技術はじわじわと浸透しつつあります。
ハッカソン終了後の7月22日からはIETF 120会合のメイン会議が始まり、そちらにも参加してきました。
IETF 120のような国際的な会合では、私たちが普段利用しているインターネットプロトコルについて、世界中の技術者たちが検討しています。
私たちが興味を持っている暗号技術にフォーカスすると、「暗号の2030年問題」として注目されている耐量子暗号(PQC)をインターネットで利用するための検討や、プライバシー保護技術、そして秘密計算など、今後のインターネットで必要となる暗号技術に関する議論もたくさんあります。
つまり私たちGMOサイバーセキュリティ byイエラエが取り組むべきこともたくさんあるということですね。これからも目を離さないでくださいね!
ハッカソン終了後の7月22日からはIETF 120会合のメイン会議が始まり、そちらにも参加してきました。
IETF 120のような国際的な会合では、私たちが普段利用しているインターネットプロトコルについて、世界中の技術者たちが検討しています。
私たちが興味を持っている暗号技術にフォーカスすると、「暗号の2030年問題」として注目されている耐量子暗号(PQC)をインターネットで利用するための検討や、プライバシー保護技術、そして秘密計算など、今後のインターネットで必要となる暗号技術に関する議論もたくさんあります。
つまり私たちGMOサイバーセキュリティ byイエラエが取り組むべきこともたくさんあるということですね。これからも目を離さないでくださいね!
IETF参加者たちとバンクーバーのごちそうを囲みながら、暗号技術について議論を交わしました。バンクーバーはすてきな街ですよ!
酒見由美 a.k.a 暗号のおねぇさん
【GMOサイバーセキュリティ byイエラエ AI・システム開発本部 AI・システム開発部 所属 / GMOインターネットグループ デベロッパーエキスパート】
山口県のとある高専から岡山大学に転入し、卒研の研究室選びの際に暗号技術の高速化研究で世界と戦っている研究室があることを知り、世界No.1に憧れて暗号の世界にダイブ。
博士課程で行った研究成果がブロックチェーンなどで利用されたり、安全性評価での世界No.1記録を取ったりと、楽しいことに注力する。
最近では「暗号のおねぇさん」として、世界を安全かつ便利にするための先進的な暗号技術である高機能暗号などの社会実装に興味を持ってまい進中!