2026年、“電脳化”が現実になった 『攻殻機動隊展 Ghost and the Shell』が素晴らしかった

Jun Fukunaga

AISpecialイベントカルチャークリエイター

クリエイターとのコラボ作品──SFが現実になる瞬間

また、GALLERY Bでは、各所に展示されたクリエイターとのコラボレーション作品も必見だ。その中で特に印象的だったのがUNLABELED(Qosmo × Dentsu Lab Tokyo)による『AI監視社会のカモフラージュ』だ。

監視カメラなどに使用されている画像認識AIに認識されにくくなるという、攻殻機動隊が描いてきた「光学迷彩」を彷彿とさせるこの作品では、カメラに向かってシャツをかかげるとまるで透明人間のようにカメラに映らなくなるという体験ができる。

カメラに向かってシャツをかかげると「光学迷彩」を擬似的に体験できる(筆者撮影)

また、原画展の中央に併設されたスペースでは、現代美術家・空山基による世界初公開の新作彫像『Sexy Robot_The Ghost in the Shell type 1』が観る者の視線を奪う。空山基のイラストで描かれるロボットは、シルバーのボディの光沢感が印象的だが、草薙素子をモデルにしたこの作品でも、その光沢感は健在だった。

光沢感が艶めかしい空山基による新作彫像(筆者撮影)

サイバーとアナログの共存する「Analog Dig」と「テクノ屏風」

電脳VISIONのようなSF的デジタル体験がある一方で、本展にはアナログならではの魅力を持つコンテンツも用意されている。

「Analog Dig」は、アニメ制作現場で使われる「カット袋」をレコード店でレコードを探すように"ディグ"し、中に入っている複製原画を持ち帰れるという参加型体験だ(2000円(税込)・なくなり次第終了)。デジタルで何でも検索できる時代だからこそ、自分の手で情報を“掘り起こす”という体験が新鮮だった。

レコードをディグるようにして選んだ「カット袋」の中から出てくる複製原画(筆者撮影)

また、GALLERY Cのグッズ販売コーナーで一際目を引いたのが、U/M/A/A制作の「テクノ屏風」だ。伝統工芸である屏風に攻殻機動隊のビジュアルを落とし込んだこの作品は、なんとQRコードからWebアプリを立ち上げて屏風にかざすと、ARでグラフィックと音声が流れるというテッキーな仕掛けも用意されていた。「伝統の“箔”、電脳をhack。」というキャッチコピーが示すように、サイバーとアナログ、未来と伝統が共存する本展らしさを感じる一品だった。

ワイヤーを接続した草薙素子のビジュアルを落とし込んだテクノ屏風(筆者撮影)

ゴーストとシェルを問い直す場所へ

「電脳VISION」や「AI監視社会のカモフラージュ」のような、かつてSFとして描かれていた体験が2026年の現実として目の前にある。一方で、Analog Digのように自分の手で記憶を掘り起こすアナログな体験の価値も再評価できる。その両方が共存するバランスこそが、本展の魅力だろう。ファンはぜひ、この機会に会場に足を運んで、ゴーストとシェルを分けて問い直しながら、『攻殻機動隊』がシリーズを通して訴えてきたメッセージを再考してみてはいかがだろうか。

『攻殻機動隊展 Ghost and the Shell』は、2026年4月5日(日)まで開催中。チケット販売情報など、詳細は公式サイトを確認してほしい。


『攻殻機動隊展 Ghost and the Shell』
会場:TOKYO NODE GALLERY A/B/C(東京都港区虎ノ門2-6-2 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー45階)
開催期間:2026年4月5日まで
開場時間:月・金曜日 正午~午後6時、火~木曜日 正午~午後9時、土・日曜日・祝日 午前10時~午後9時(最終入場は30分前まで)※イベント開催日は時間変動あり
入場料金:一般当日2700円、高校生・中学生1900円、小学生1200円
詳細:https://www.tokyonode.jp/sp/exhibition-ghostintheshell/
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Jun Fukunaga

ライター・インタビュワー
音楽、映画を中心にフードや生活雑貨まで幅広く執筆する雑食性フリーランスライター・インタビュワー。最近はバーチャルライブ関連ネタ多め。DJと音楽制作も少々。

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