「✕GMO FUTURE/SONIC」ハウス初期世代、腹に響く音圧でユースカルチャーの皆さんと踊る:河崎環のタマキ✕(カケル)

河崎 環

GMOインターネットグループイベントカルチャー映画・音楽

カンパイじゃなくて完勝(カンショー)!

「ビジネスは戦(いくさ)です!」

1月26日、ハナキン。翌日から開催される大型音楽フェスティバル「GMO SONIC 2024」の前夜祭として、テック交流イベント「GMO 渋谷FUTURE 2024- GMO SONIC Warm Up -」が開かれていたのは、東京を見渡す渋谷フクラス16階だった。その夜の渋谷じゅうにたむろするキッズたちの喧騒を集めてもなお、凌駕するほどの大人クリエイターたちの熱気が、GMOインターネットグループ(以下、GMO)第2本社社員食堂に満ちる。その中心で、グループ代表・熊谷正寿氏は、まさか還暦とは思えないようなクールに整った姿で、乾杯の挨拶をしていた。

IT業界で活躍するエンジニアやクリエイター、実業家にインフルエンサーら、約1000名がひしめく完全招待制の一大パーティー。イベント前半の第1部には、東京大学大学院教授・松尾豊さんの基調講演「私たちとAI産業が創る未来」、そしてAIに関わる若手クリエイターや起業家を招き、メンタリストDaiGoさんがモデレーターを務めるパネルディスカッション「DaiGoのFUTUREゴング~スーパーAIで人類は滅亡!?禁断のテーマにAI界の識者が挑む~」が展開されたところだった。AIへ重心を傾けつつあるGMOの現在を第1部で“履修”した会場は、熊谷さんの言葉に耳を傾ける。

「GMO 渋谷FUTURE 2024」で挨拶するGMOインターネットグループ代表の熊谷正寿氏

ビジネスは戦、たしかにそうなんだろうなぁ……。最近は「インターネット黎明期からこの仕事やってます」という言葉がいろんなジャンルの人々の口の端にのぼり、あちこちで繰り返されるのを耳にするようになった。でも、熊谷さんほど、その言葉が似合う日本人は数えるほどに過ぎない。出会い頭の決闘(デュエル)、そんな感じで、この経営者はずっと戦いの現場で新技術と遭遇し、風向きと天気を読み、生身の人間相手にビジネスを繰り返し、積み上げてきたんだろうなぁ。

メディアでは長らくその姿を目にしてきたけれど、本物を間近に見るのは初めて。熊谷さんに対して、そんなちょっぴり「スタア」を見るようなミーハー感情の混じった感想を抱きつつ、乾杯の瞬間を今か今かとハイボール缶を握り締めて(酒が好きなんです)待っていたら、隣に立つ連載担当者に肘をつつかれた。

「タマキさん、弊社(GMO)ではグラスを上げるときカンパイって言わないんです、カンショーですから気をつけて」
「へ?」
「乾杯は“完敗”につながるから、それより完勝の方がいいでしょう、っていう代表・熊谷の考え方です」
「なるほどなるほど」

「では明日からのGMO SONICの成功を祈って、カンショー!」

熊谷さんの発声を合図に、ビールやハイボールやお茶、会場中の飲み物が頭上へ振り上げられた。夜はこれから。まずは水分補給だ!

スティーヴ・アオキが社食に来るんだよ⁉︎

ここで本当のことを言わなければならない。私がこの「i4U」での連載オファーを二つ返事で引き受けたのには、密かなワケがあった。GMOでは社食パーティーで「あの」スティーヴ・アオキがプライベートDJライブをしてくれてケーキをぶつけてくれる、という、EDM好きには夢のような記事をこっそり読んでいたのである。

(関連記事)
スティーブ・アオキが社食でケーキをブンブン投げる!「GMO 渋谷FUTURE 2023」がぶっ飛んでた

えっ、あの「Delirious」や「Azukita」のスティーヴ・アオキですよね? プライベートジェットに乗って世界中を回り年間300ステージ以上をこなす、世界一多忙なDJですよね? 日本の一企業の社食に来てくれるの? どうしてそんなことができるの? 

そうしたら、熊谷さんの公式プロフィールに全部書いてあった。

“音楽:ジャンルを問わず好き。やはりダンスミュージックが一番好きかな。10代の頃、新宿のB&BというDISCOでDJ見習いをしていた。DJを教えて頂いたのはEXILEの前身ZOOのリーダーだったTACOさんやB&BのDJトーマスさん。ストレス解消に今でも大音響でDJプレイをすることが。これがきっかけで、父親が神楽坂で『TWINSTAR』という伝説のDISCOを経営することに。”

“そんな経緯でカルチャー支援事業として、EDC JapanをZOZO Marine Stadium&幕張海浜公園で過去3年間主催。毎年8万人にご参加いただきました。2023年からは「GMO SONIC 」を、さいたまスーパーアリーナにて主催。ダンスミュージックのスーパースターを筆頭に、国内外の人気アーティストたちを招聘。日本発の大型音楽イベントとして「和」をキーワードに様々な趣向を取り入れ、日本文化とエンターテインメントの融合を世界中のお客様にお届けいたしました。5万人にご来場頂き、YouTubeやSNSなどを通じて1000万人単位のお客様にお楽しみ頂いた。来年以降も継続するつもり。”


なんと熊谷さん自身が無類のダンスミュージック好きで、ダンスミュージックフェスのスポンサーにまで乗り出しちゃうという、EDMファンにとって現代の神のような存在だったのだ! 事業と決して直接関係のない大規模な文化事業へ継続的にスポンサーリングできるなんて、なんという余裕と寛容さ、長期的視点だろうか。ということは、2024年もGMO SONICが開催され、その前夜の社食パーティーもある、ということに……。

「もしかしたら……アオキのパフォーマンスを見に来ていいよって、言ってもらえるかも……」。日ごろ暗闇のジムで爆音のEDMを聴きながら滝汗をかき、4つ打ちのリズムをこよなく愛する私は、細々と原稿を書いてその時を——社食に呼んでいただけちゃう時を——待っていたのである。
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河崎 環

コラムニスト・立教大学社会学部兼任講師
1973年京都生まれ神奈川育ち。慶應義塾大学総合政策学部卒。子育て、政治経済、時事、カルチャーなど多岐に渡る分野で記事・コラム連載執筆を続ける。欧州2カ国(スイス、英国)での暮らしを経て帰国後、Webメディア、新聞雑誌、企業オウンドメディア、政府広報誌などに多数寄稿。ワイドショーなどのコメンテーターも務める。2022年よりTOKYO MX番組審議会委員。社会人女子と高校生男子の母。著書に『女子の生き様は顔に出る』(プレジデント社)など。

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