「✕GMO FUTURE/SONIC」ハウス初期世代、腹に響く音圧でユースカルチャーの皆さんと踊る:河崎環のタマキ✕(カケル)
アオキ降臨
さっき、熊谷さんの挨拶の中であまりにサラッと話されるものだから、うっかりスルーしそうになった発言があった。「実はGMO社内には20ほどのDJサークルがあって、各拠点にDJブースが設置されているほどなんですよね」。
社を挙げてダンスミュージック推し? 何を言っているのだろうかと思っていたら、突然スタッフが忙しげに動き始めた。隣の連載担当者が「始まりますよ、今年も音響機材はちょっとしたハコ(ホール)と同じレベルの音圧出すんで、そのうち、あの後ろのガラスがビリビリ揺れますから見ててください」と耳を疑うようなことを言い出す。
いきなりホントに爆音のゲストDJのパフォーマンスが始まって笑ったら、担当者が耳元で「これはまだぜんぜんっ! アオキの時はもっと腹をえぐるような音圧ですからっ!」と叫ぶ。
「これより大きいんですかぁっ、すごいですねぇ?」
「去年はあのガラスにヒビいっちゃうかもってちょっとビビったんですけどー! 専門家に割れないようギリ調整してもらって、今年はできる限りMAXで出しますんで―! 結果として去年の反省いっこもないですー!(笑)」
嬉しそうに笑う担当者。去年の反省いっこもなしという胸のすくような言葉を酔いながら噛み締めているうちに、MCのJIROTOKYOが「今日はスティーヴがちょっと声出せないらしいんですけど……みんな用意はいいか? イケるかー!?」とフロアを煽り、アオキ降臨。
社を挙げてダンスミュージック推し? 何を言っているのだろうかと思っていたら、突然スタッフが忙しげに動き始めた。隣の連載担当者が「始まりますよ、今年も音響機材はちょっとしたハコ(ホール)と同じレベルの音圧出すんで、そのうち、あの後ろのガラスがビリビリ揺れますから見ててください」と耳を疑うようなことを言い出す。
いきなりホントに爆音のゲストDJのパフォーマンスが始まって笑ったら、担当者が耳元で「これはまだぜんぜんっ! アオキの時はもっと腹をえぐるような音圧ですからっ!」と叫ぶ。
「これより大きいんですかぁっ、すごいですねぇ?」
「去年はあのガラスにヒビいっちゃうかもってちょっとビビったんですけどー! 専門家に割れないようギリ調整してもらって、今年はできる限りMAXで出しますんで―! 結果として去年の反省いっこもないですー!(笑)」
嬉しそうに笑う担当者。去年の反省いっこもなしという胸のすくような言葉を酔いながら噛み締めているうちに、MCのJIROTOKYOが「今日はスティーヴがちょっと声出せないらしいんですけど……みんな用意はいいか? イケるかー!?」とフロアを煽り、アオキ降臨。
スティーヴ・アオキ(GMO 渋谷FUTURE 2024)
さっきまでの比じゃない重低音がフロアを支配し、すべての什器に伝わって細かく震わせる。音圧が顔の肉を揺らし、身体を通っていくのを感じて「ひゃー、音圧気持ちいっすねー(笑)」。フクラス16階の外壁は確実に揺れてるな、私はそう思った。きっと外から見たら、16階GMO社の社食だけがバウンバウン揺れてるに違いない。満足げな担当者の顔。いいなぁ、こんなことしても盤石なテナント環境(笑)。
世界一多忙で喉の調子を崩し、声の出せない今日のスティーヴ・アオキだけれど、どうやらフロアを埋めるファンの熱気を気に入ってくれたようで、シャンパンシャワーや客席ダイブ、想定よりも長めのパフォーマンスは佳境へ。1月末なのにフロアも汗だく! アオキが長い美髪をひとまとめにすると歓声が上がり、お約束通りの「Cake Me」プラカードを持った男女ファンが果敢に前列へと攻め込んで頭上に掲げる。そこへ、アオキは狙いを定めて特注の巨大ケーキをバンバン投げ込む。
アオキファンの間では、「スティーヴ・アオキが投げるケーキは超カラフルだから、ライブにはクリームで染まったら困る服は着ていかない」が常識だそう。私はトンマの極みでその瞬間を逃してしまったけれど、友人がケーキの直撃を受けてメガネも服もブーツの中まで青いクリームまみれになり、「写真撮っていいですか?」と知らない人たちの間で大人気になっていた。
もちろん、会場では着替えが用意されていたようで、「着替えあります」のプラカードを持ったスタッフが歩いているのも目撃。どんな着替えだったんだろう……GMOの限定Tシャツやパーカーだろうか。それはそれで欲しかったなぁ。かくして、“渋谷の未来”をその名に冠した夜は更けていったのだ。
世界一多忙で喉の調子を崩し、声の出せない今日のスティーヴ・アオキだけれど、どうやらフロアを埋めるファンの熱気を気に入ってくれたようで、シャンパンシャワーや客席ダイブ、想定よりも長めのパフォーマンスは佳境へ。1月末なのにフロアも汗だく! アオキが長い美髪をひとまとめにすると歓声が上がり、お約束通りの「Cake Me」プラカードを持った男女ファンが果敢に前列へと攻め込んで頭上に掲げる。そこへ、アオキは狙いを定めて特注の巨大ケーキをバンバン投げ込む。
アオキファンの間では、「スティーヴ・アオキが投げるケーキは超カラフルだから、ライブにはクリームで染まったら困る服は着ていかない」が常識だそう。私はトンマの極みでその瞬間を逃してしまったけれど、友人がケーキの直撃を受けてメガネも服もブーツの中まで青いクリームまみれになり、「写真撮っていいですか?」と知らない人たちの間で大人気になっていた。
もちろん、会場では着替えが用意されていたようで、「着替えあります」のプラカードを持ったスタッフが歩いているのも目撃。どんな着替えだったんだろう……GMOの限定Tシャツやパーカーだろうか。それはそれで欲しかったなぁ。かくして、“渋谷の未来”をその名に冠した夜は更けていったのだ。
ギャランティスとZEDDさんやで?(感涙)
翌日。私はさいたま新都心駅……ではなく北与野駅から「GMO SONIC DAY1」開催中のさいたまスーパーアリーナ(たまアリ)へと向かった。目的は、日頃暗闇で聴き慣れ、身体に滝汗とリズムを染み込ませたギャランティスとZEDDのパフォーマンス。ギャランティスの多幸感とZEDDのエモいメロディで、頭を真っ白にしたくて。
会場で、私はEDMカルチャーの若さと勢いを噛み締める。女の子も男の子も、客層が(私よりは)若い! センスいい! 若い世代の関心が集まり勢いがあること、これはカルチャーなるものにとっては最高に「いいこと」。1月末の気温をものともせずにボディの輪郭をぼんぼん放り出した衣装で、インフルエンサーっぽい子たちがあちこちで自撮りしてるのを「元気があってとてもよろしい」と横目で見ながら、オフィシャルバーに並んで、ハイボールを手に入れた。
実はGMO SONICに出かけた私のもう1つの目的は、フェス飯。なんと私はパフォーマンスを2度途中退席してまでもフードスタンドへ行き、フェス飯を客席へ持ち込んで「飲みながらEDM」を決め込んでいたのである。これが最高のフェス休日でなくてなんであろうか!
事前に公式HPでチェックし、第1ラウンドは富士山食堂の「富士宮焼きそば」とハイボール、第2ラウンドは近未来餃子Hの「肉肉餃子まん」とハイボールで、嗚呼あたしゃ幸せだよ……。こんなに美味しいもの食べて飲みながら、ギャランティスの「Love on Me」や「Peanut Butter Jelly」でブチ上がり、ZEDDの「Stay the Night」や「Clarity」を会場中でシングアロングし、好きな音、好きな味、好きなセンスの人々、好きな空間を全力でエンジョイさせてもらった。
会場で、私はEDMカルチャーの若さと勢いを噛み締める。女の子も男の子も、客層が(私よりは)若い! センスいい! 若い世代の関心が集まり勢いがあること、これはカルチャーなるものにとっては最高に「いいこと」。1月末の気温をものともせずにボディの輪郭をぼんぼん放り出した衣装で、インフルエンサーっぽい子たちがあちこちで自撮りしてるのを「元気があってとてもよろしい」と横目で見ながら、オフィシャルバーに並んで、ハイボールを手に入れた。
実はGMO SONICに出かけた私のもう1つの目的は、フェス飯。なんと私はパフォーマンスを2度途中退席してまでもフードスタンドへ行き、フェス飯を客席へ持ち込んで「飲みながらEDM」を決め込んでいたのである。これが最高のフェス休日でなくてなんであろうか!
事前に公式HPでチェックし、第1ラウンドは富士山食堂の「富士宮焼きそば」とハイボール、第2ラウンドは近未来餃子Hの「肉肉餃子まん」とハイボールで、嗚呼あたしゃ幸せだよ……。こんなに美味しいもの食べて飲みながら、ギャランティスの「Love on Me」や「Peanut Butter Jelly」でブチ上がり、ZEDDの「Stay the Night」や「Clarity」を会場中でシングアロングし、好きな音、好きな味、好きなセンスの人々、好きな空間を全力でエンジョイさせてもらった。
ZEDD(GMO SONIC 2024)
「好き」は人生をクリエイティブにする。GMO SONICの理念にはユースカルチャーという印象的な言葉が随所に出てくるのだが、そこには本格的な登場から約30年経ったインターネットを保守的なインフラにしまいこんでしまわず、カルチャーの先端とともにあろう、「戦」の現場にあり続けよう、とするこのIT企業の姿勢がビシビシ感じられるのだ。
河崎 環
コラムニスト・立教大学社会学部兼任講師
1973年京都生まれ神奈川育ち。慶應義塾大学総合政策学部卒。子育て、政治経済、時事、カルチャーなど多岐に渡る分野で記事・コラム連載執筆を続ける。欧州2カ国(スイス、英国)での暮らしを経て帰国後、Webメディア、新聞雑誌、企業オウンドメディア、政府広報誌などに多数寄稿。ワイドショーなどのコメンテーターも務める。2022年よりTOKYO MX番組審議会委員。社会人女子と高校生男子の母。著書に『女子の生き様は顔に出る』(プレジデント社)など。