動物でも植物でもない“菌類”を原料とする新たなタンパク質が実用段階に入っている。
2025年11月、中国江西省の富祥生物科技(Fushine Biotechnology)が開発した「マイコプロテイン(菌糸体タンパク質)」が、中国で食品原料として正式に承認された。中国では新食品原料の認可期間に関する明確な基準は公表されていないが、申請から約9カ月という今回の承認スピードは、比較的短期間である点で注目されている。
この素材は、ナゲットやミートボールといった加工食品のほか、魚の切り身に近い形状まで再現できるとされ、代替タンパク質の分野で注目を集めている。こうした動きは、中国がマイコプロテインを将来の食料供給を支える選択肢の一つとして捉え始めていることを示している。
2025年11月、中国江西省の富祥生物科技(Fushine Biotechnology)が開発した「マイコプロテイン(菌糸体タンパク質)」が、中国で食品原料として正式に承認された。中国では新食品原料の認可期間に関する明確な基準は公表されていないが、申請から約9カ月という今回の承認スピードは、比較的短期間である点で注目されている。
この素材は、ナゲットやミートボールといった加工食品のほか、魚の切り身に近い形状まで再現できるとされ、代替タンパク質の分野で注目を集めている。こうした動きは、中国がマイコプロテインを将来の食料供給を支える選択肢の一つとして捉え始めていることを示している。
マイコプロテインとは何か
マイコプロテインは、一般的なキノコとは異なり、菌糸体(マイセリウム)と呼ばれる部分を原料とする。菌糸体はキノコの“根”に相当する組織で、マイコプロテインでは発酵タンク内で培養される。糖と水を与えることで高速に増殖し、短時間で大量のタンパク質を生産できる。
富祥生物が用いる菌株は、最適な条件下では数時間単位で増殖するとされており、畜産や大豆栽培と比べても生産効率が高い点が特徴だ。栄養面でも、乾燥重量あたりのタンパク質含有量が高く、必須アミノ酸を全て含む完全タンパク質であることが評価されている。
富祥生物が用いる菌株は、最適な条件下では数時間単位で増殖するとされており、畜産や大豆栽培と比べても生産効率が高い点が特徴だ。栄養面でも、乾燥重量あたりのタンパク質含有量が高く、必須アミノ酸を全て含む完全タンパク質であることが評価されている。
「加工しやすさ」が生む高い汎用性
さらにマイコプロテインの強みとして一つ、加工の自由度が挙げられる。富祥生物は、湿潤タイプや粉末タイプ、ブロック状など、複数形態の原料を提供しており、用途に応じて使い分けが可能だ。
ナゲットやソーセージのような成形・加工された食品のほか、パンや栄養補助食品向けの粉末原料、さらには肉片のような食感を持つ料理用素材まで、幅広い用途に対応できるとされる。海外ではこの特性を生かし、マイコプロテインを用いたサーモン風フィレなど、魚介類の代替品も登場している。
環境への負荷を抑える可能性
マイコプロテインが注目される理由として、環境面でのメリットも挙げられる。発酵による生産は、家畜の飼育や広大な農地を必要とせず、土地や水の使用量を大きく抑えられるとされている。
また牛や羊のようにメタンを排出せず、抗生物質や成長ホルモンが不使用な点も特徴だ。発酵生産によるタンパク源は、畜産に比べて熱帯雨林の伐採や生物多様性への影響を抑える選択肢になり得るという見方もある。
また牛や羊のようにメタンを排出せず、抗生物質や成長ホルモンが不使用な点も特徴だ。発酵生産によるタンパク源は、畜産に比べて熱帯雨林の伐採や生物多様性への影響を抑える選択肢になり得るという見方もある。
ペットフードや養殖飼料にも広がるマイコプロテイン
富祥生物は現在、マイコプロテインの大規模生産を見据えた設備投資を進めている。将来的には、食品用途にとどまらず、ペットフードや栄養食品、養殖飼料などへの展開も計画しているという。
マイコプロテインは菌類を原料とするプロテインの総称で、その歴史は意外に長い。英国で1980年代からマイコプロテインの商品化を進めてきたQuornをはじめ、欧州や北米でも複数の企業が研究開発や商品化を行っており、代替タンパク質の一分野として定着しつつある。
マイコプロテインは菌類を原料とするプロテインの総称で、その歴史は意外に長い。英国で1980年代からマイコプロテインの商品化を進めてきたQuornをはじめ、欧州や北米でも複数の企業が研究開発や商品化を行っており、代替タンパク質の一分野として定着しつつある。
「第三のタンパク質」という選択肢
2050年に向けて、世界のタンパク質需要は増加すると見込まれている。畜産や植物性タンパク質だけで、その需要を賄うのは容易ではない。動物でも植物でもない「菌類」という選択肢は、こうした課題の隙間を埋める存在として注目されている。
マイコプロテインは、食料問題の万能な解決策ではないだろう。しかし、安定供給が可能で、用途の幅も広い新素材として、将来の食卓を支える選択肢の一つになり得る存在だといえる。
マイコプロテインは、食料問題の万能な解決策ではないだろう。しかし、安定供給が可能で、用途の幅も広い新素材として、将来の食卓を支える選択肢の一つになり得る存在だといえる。

土江錠
ガジェットのほか、各種AIや先端技術を追いかけるテックウォッチャー。
ゲームと食べ歩きも少し詳しい。













