筋肉と骨で動く「筋骨格ヒューマノイド」
2025年2月、ポーランドのロボット開発ベンチャー・Clone Roboticsは、世界初とする筋骨格ヒューマノイド「Protoclone」の動画を公開しました(ヒューマノイドは人間の形をしたロボットのこと)。
以前から時折、Clone RoboticsはSNSなどで開発中のProtocloneの様子を発信してきました。とはいえ内容は腕や上半身など一部の開発が中心で、頭から手足の先まで全身が動く映像は今回が初公開です。
ここ数年で、さまざまなメーカーがヒューマノイド開発を競っています。中には走り、人間でも難しいバク転までやってのける機体もあります。とはいえ多くは、身体の構造が人間とは根本的に異なり、いわば「機械仕掛けの人形」の設計です。
多くのヒューマノイドは、関節を電動機(モーター)や油圧アクチュエーターで動かす仕組みです。これに対して人間骨に強く結びついた腱を介して筋肉が全身を動かします。筋肉は脳の指令で収縮・弛緩し、その力が腱から骨へ伝わり、関節を意図した方向へ曲げます。
Protocloneが一般的なヒューマノイドと決定的に異なるのは、人間の身体構造を再現した設計で、実際に全身も動く点です。2月にClone Roboticsが公開した40秒の動画では、ワイヤーで支えられたProtoclone V1が四肢を動かす様子が確認できます。
以前から時折、Clone RoboticsはSNSなどで開発中のProtocloneの様子を発信してきました。とはいえ内容は腕や上半身など一部の開発が中心で、頭から手足の先まで全身が動く映像は今回が初公開です。
ここ数年で、さまざまなメーカーがヒューマノイド開発を競っています。中には走り、人間でも難しいバク転までやってのける機体もあります。とはいえ多くは、身体の構造が人間とは根本的に異なり、いわば「機械仕掛けの人形」の設計です。
多くのヒューマノイドは、関節を電動機(モーター)や油圧アクチュエーターで動かす仕組みです。これに対して人間骨に強く結びついた腱を介して筋肉が全身を動かします。筋肉は脳の指令で収縮・弛緩し、その力が腱から骨へ伝わり、関節を意図した方向へ曲げます。
Protocloneが一般的なヒューマノイドと決定的に異なるのは、人間の身体構造を再現した設計で、実際に全身も動く点です。2月にClone Roboticsが公開した40秒の動画では、ワイヤーで支えられたProtoclone V1が四肢を動かす様子が確認できます。
Protoclone, the world's first bipedal, musculoskeletal android. pic.twitter.com/oIV1yaMSyE
— Clone (@clonerobotics) February 19, 2025
人工筋肉の役割
Protocloneの身体で筋肉の役割を担うのは、2021年にClone Roboticsが開発した人工筋肉「Myofiber」です。Myofiberは、ゴム風船の外側をメッシュで覆ったような構造で、空気を入れ風船が膨らむと直径が太くなる代わりに長さが縮みます。その収縮力が先端の骨格を引き、関節を動かします。
人間の骨格は約200本の骨で構成されます。Protoclone V1はその全てを再現し、約1000の人工筋肉ユニットで動かします。各関節の可動方向や角度も、人間のそれと同じように設計されています。
人間の骨格は約200本の骨で構成されます。Protoclone V1はその全てを再現し、約1000の人工筋肉ユニットで動かします。各関節の可動方向や角度も、人間のそれと同じように設計されています。
Protoclone V1の手。人間の関節の可動方向や角度を再現する(出典:Clone Robotics)
ロボットアームの関節は、多くの場合「DoF(Degrees of Freedom、自由度)」で表します。人間の股関節は3DoFです。Protoclone V1では、例えば股関節は左右それぞれ3DoFなのに対し、肩甲骨、鎖骨、上腕骨からなる肩の部分は合計20DoFです。腕は手、肘、手首の関節を合計すると26DoFに達します。これは人間の筋骨格を再現した設計だからです。
人工筋肉を人間並みの精度と強度で制御できるようになれば、人間と同じように動けるヒューマノイドを作れるはずです。
人工筋肉を人間並みの精度と強度で制御できるようになれば、人間と同じように動けるヒューマノイドを作れるはずです。

Munenori Taniguchi
ライター。ガジェット全般、宇宙、科学、音楽、モータースポーツetc.、電気・ネットワーク技術者。
実績媒体:TechnoEdge、Gadget Gate、Engadget日本版、Autoblog日本版、Forbes JAPAN他
Twitter:@mu_taniguchi













