お盆やシルバーウィークといった長期休暇シーズンは、銀行を名乗る偽メールが増えるといわれます。「口座が凍結されました」「本人確認をお願いします」——そんな件名のメールを、お休み中に一度は見かけた方も多いのではないでしょうか。
では、その偽メールを「そもそも受信箱に届かせない」対策は、日本の金融機関でどれくらい進んでいるのでしょうか。GMOインターネットグループのGMOブランドセキュリティが、全国の銀行・信用金庫386行のドメインを調べた結果を8月7日に公表しました。
結論からいえば、「準備はしているのに、スイッチを入れていない」金融機関が非常に多いという結果になりました。
では、その偽メールを「そもそも受信箱に届かせない」対策は、日本の金融機関でどれくらい進んでいるのでしょうか。GMOインターネットグループのGMOブランドセキュリティが、全国の銀行・信用金庫386行のドメインを調べた結果を8月7日に公表しました。
結論からいえば、「準備はしているのに、スイッチを入れていない」金融機関が非常に多いという結果になりました。
メールのなりすまし対策には3段階ある
この調査には、なりすまし対策に関する技術用語が3つ出てきますので、先に整理しておきます。この3つは順に積み上がる関係にあります。
重要なのは2段目のDMARCで、ここには3つのモードがあります。
・p=none(監視のみ)……偽メールもそのまま通し、レポートだけを受け取る設定です
・p=quarantine(隔離)……迷惑メールフォルダに移動します
・p=reject(拒否)……受信側に拒否を求める設定です
つまり、DMARCを「設定しているかどうか」と「偽メールを止められているかどうか」は、必ずしもイコールではありません。ここが今回の調査の焦点です。
・p=none(監視のみ)……偽メールもそのまま通し、レポートだけを受け取る設定です
・p=quarantine(隔離)……迷惑メールフォルダに移動します
・p=reject(拒否)……受信側に拒否を求める設定です
つまり、DMARCを「設定しているかどうか」と「偽メールを止められているかどうか」は、必ずしもイコールではありません。ここが今回の調査の焦点です。
数字1:偽メールを実際に止められるのは386行中103行(26.7%)
調査対象386行の内訳は、銀行131行(都市銀行4・信託13・地方61・第二地方34・その他19)と信用金庫255行です。
・SPF設定済み:309行(80.1%)
・DMARC設定済み:233行(60.4%)
・DMARCを強制ポリシー(quarantineまたはreject)で運用:103行(26.7%)
8割(または6割)といった導入率だけを見れば、悪くない数字に思えます。しかし実際に有効な設定になっているのは4行に1行強にとどまります。GMOブランドセキュリティの発表では「対策『導入』と『実効性』の間に乖離(かいり)」と表現しており、要するに「鍵は付けたけれど、かけていない」状態といってよいでしょう。
・SPF設定済み:309行(80.1%)
・DMARC設定済み:233行(60.4%)
・DMARCを強制ポリシー(quarantineまたはreject)で運用:103行(26.7%)
8割(または6割)といった導入率だけを見れば、悪くない数字に思えます。しかし実際に有効な設定になっているのは4行に1行強にとどまります。GMOブランドセキュリティの発表では「対策『導入』と『実効性』の間に乖離(かいり)」と表現しており、要するに「鍵は付けたけれど、かけていない」状態といってよいでしょう。
数字2:DMARC設定済みでも、「監視のみ」が過半数
DMARC設定済みの233行について、設定の内訳は以下の通りです。
・p=none(監視のみ):130行(55.8%)
・p=reject(拒否):66行(28.3%)
・p=quarantine(隔離):37行(15.9%)
DMARCの運用は、noneで様子を見てから段階的に厳しくしていくのが通常ですが、その「様子見」から先を進めていない金融機関が半分以上を占めました。
・p=none(監視のみ):130行(55.8%)
・p=reject(拒否):66行(28.3%)
・p=quarantine(隔離):37行(15.9%)
DMARCの運用は、noneで様子を見てから段階的に厳しくしていくのが通常ですが、その「様子見」から先を進めていない金融機関が半分以上を占めました。
数字3:SPFも「ゆるい設定」が8割超
SPFの設定にも強弱があります。具体的には、認証失敗時に受信拒否を求める「-all」(ハードフェイル)と、失敗しても受け入れる余地を残す「~all」(ソフトフェイル)などです。
SPF設定済み309行のうち、ハードフェイルとソフトフェイルの内訳は以下の通りでした。
・-all(ハードフェイル):49行(15.9%)
・~all(ソフトフェイル):256行(82.8%)
さらに、SPFを設定している309行のうち78行(25.2%)はDMARCが未設定でした。SPFは偽装を「検出」する仕組みであり、検出結果の扱いを指示するDMARCがなければ遮断には至らないケースが多いのです。「警報器はあるけれど、鳴ったあとに誰も動かない」設定といったところでしょうか。
SPF設定済み309行のうち、ハードフェイルとソフトフェイルの内訳は以下の通りでした。
・-all(ハードフェイル):49行(15.9%)
・~all(ソフトフェイル):256行(82.8%)
さらに、SPFを設定している309行のうち78行(25.2%)はDMARCが未設定でした。SPFは偽装を「検出」する仕組みであり、検出結果の扱いを指示するDMARCがなければ遮断には至らないケースが多いのです。「警報器はあるけれど、鳴ったあとに誰も動かない」設定といったところでしょうか。
数字4:75行(19.4%)はSPF・DMARCの両方が未設定
調査対象386行のうち、SPF、DMARC未設定の金融機関の内訳は次の通りです。
・SPF未設定:77行(19.9%)
・DMARC未設定:153行(39.6%)
・両方とも未設定:75行(19.4%)
この75行は、第三者が自行のドメインを名乗る偽メールを比較的容易に送れる状態にあります。
なお、DMARCはSPFとDKIM(電子署名による認証)のどちらかの認証が成立していれば判定可能な仕組みです。「SPFなし・DKIMのみ」で運用しているケースもあり、今回の調査でもSPF未設定でDMARCが確認できた金融機関が2行(0.5%)ありました。そのことを踏まえてもなお、SPFとDMARKの両方の設定が確認できない75行については、注意が必要ということになります。
・SPF未設定:77行(19.9%)
・DMARC未設定:153行(39.6%)
・両方とも未設定:75行(19.4%)
この75行は、第三者が自行のドメインを名乗る偽メールを比較的容易に送れる状態にあります。
なお、DMARCはSPFとDKIM(電子署名による認証)のどちらかの認証が成立していれば判定可能な仕組みです。「SPFなし・DKIMのみ」で運用しているケースもあり、今回の調査でもSPF未設定でDMARCが確認できた金融機関が2行(0.5%)ありました。そのことを踏まえてもなお、SPFとDMARKの両方の設定が確認できない75行については、注意が必要ということになります。
数字5:都市銀・地銀・信金……業態により対策の進み方に違い
DMARC強制ポリシー(quarantineまたはreject)の適用率を業態別に見ると、その差は明らかです。
BIMI(ロゴ表示)の導入も51行(13.2%)にとどまりました。都市銀行4行すべてが導入済み、ネット銀行を含む「その他の銀行」も12行(63.2%)が導入している一方で、信用金庫は7行(2.7%)、信託銀行は0行でした。
ちなみにBIMIを公開している51行のうち50行(98.0%)はDMARC強制ポリシーを併用しており、ロゴが実際に表示され得る状態にありました。残る1行はDMARC設定が確認できず、BIMIが機能する前提条件を満たしていません。BIMIは「それだけを設定すれば出る」という技術ではありません。BIMIの導入を検討するなら、まずDMARCの運用状況を確認する必要があるのです。
ちなみにBIMIを公開している51行のうち50行(98.0%)はDMARC強制ポリシーを併用しており、ロゴが実際に表示され得る状態にありました。残る1行はDMARC設定が確認できず、BIMIが機能する前提条件を満たしていません。BIMIは「それだけを設定すれば出る」という技術ではありません。BIMIの導入を検討するなら、まずDMARCの運用状況を確認する必要があるのです。

鷲木 造
ライター
テクノロジーがもたらす未来に興味あり。SF映画やゲームなどのカルチャーとガジェットが好き。黎明期マニア。わかりやすく、楽しく、そして有益な情報を発信する様に心がけ、業界の最新トレンドや新製品の情報をそれなりに早くお届けします。












