GMOインターネットグループ、「GPUクラウド」を11月下旬に提供開始 トライアル申し込みも受付中

安蔵 靖志

AIGMOインターネットグループレンタルサーバー・ドメイン
GMOインターネットグループは、AI開発の効率化に貢献するサービスとして「NVIDIA H200 Tensor コア GPU」(以下、H200 GPU)と「NVIDIA Spectrum-X」(以下、Spectrum-X)を国内で初採用した生成AI向けのクラウドサービス「GMO GPUクラウド」の提供を2024年11月下旬に開始すると発表し、同時にトライアルの申し込み受付も開始しました。

GMO GPUクラウドのWebサイト

現在、サービス開始に向けてH200 GPUのセットアップを進めており、順次サーバーの設置と稼働テストを行うとしています。今後も定期的に進捗情報を発信し、ユーザーのニーズに応じたサービス開発を進めていく予定とのことです。

国内の生成AIインフラ環境改善に向けてサービス提供を開始

近年の生成AI開発において、LLMのモデルサイズは大規模化しており、それに伴い学習時間の増大や開発期間の長期化、コスト増などが課題となっています。大規模モデル開発のユースケースを正確に把握できていないため、GPUの提供が先行し、必要不可欠な広帯域ネットワークや高速ストレージの整備が遅れがちという、生成AIインフラ環境には重要な課題が国内で浮上しています。

従来のGPUクラウドサービスでは、これらの複合的な課題を解決することが困難だったことから、GMOインターネットグループはこれら課題を解決すべく、より高速で効率的な生成AI開発環境を提供するため、H200 GPUを採用したGPUクラウドサービスの提供開始に至りました。

GMO GPUクラウドは、高性能なH200 GPUを搭載し、国内最速の提供を目指します。またAIワークロード専用に設計された世界初のイーサネットファブリックであるSpectrum-Xを国内クラウド事業者で初めて採用しています。このH200 GPUとSpectrum-Xの統合で、生成AI開発や機械学習に最適化した高水準のGPUクラウド環境を実現します。

さらに、最も要求の厳しいAI/ML/DL大規模モデルをトレーニングするよう設計されたDell PowerEdge XE9680 (NVIDIA H200 SXM 8基搭載)を採用し、システムの構築を進めています。

GMOインターネットグループは本サービスを通じて、生成AI分野やハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)分野に取り組む企業や研究機関に対し、インフラのチューニングが不要の高水準な計算環境を提供し、お客様の開発期間の短縮とコスト低減に貢献し、国内AI産業の発展を促進します。

GMO GPUクラウドの特徴は以下の通りです。

国内最速レベルの提供となる「NVIDIA H200 Tensor コア GPU」搭載

大規模言語モデルの開発・研究者向けにGPUメモリ容量とメモリバス帯域幅を大幅に拡大・最適化したH200 GPUを国内最速で提供します。H200 GPUは、毎秒4.8TBで141GBのHBM3eメモリを提供する世界初のGPUです。これは、H100 GPUの約1.7倍の容量で、メモリ帯域幅は約1.4倍です。

同グループは、H200 GPUとSpectrum-Xの搭載環境を国内で初めて検証しました。その結果、LLM(Llama3-70B-Instruct)のファインチューニングシナリオにおいてH100 GPU 搭載機材では約103分かかっていた学習時間が、H200 GPU搭載機材では約50分で完了し、処理速度が約2倍になったことが分かりました。これは、H200 GPUのメモリ搭載量がH100 GPUより増加したことにより、モデルがより GPU の性能を生かした学習を行えるためです。

H200 GPUの処理速度は、H100 GPUの約2倍あるという検証結果

国内クラウド事業者初となる「NVIDIA Spectrum-X」の採用

AIワークロード専用に設計された世界初のイーサネットファブリックであるSpectrum-X を国内で初めて採用します。生成AIネットワークのパフォーマンスを飛躍的に向上させます。

DDNの超高速ストレージを採用

NVIDIA製品と互換性のあるDDNの高速ストレージを採用。強力な性能を持つAI開発プラットフォームをワンストップで提供します。

NVIDIA AI Enterpriseによる迅速な環境構築・管理

NVIDIA AI Enterpriseは、データサイエンスパイプラインを加速し、プロダクショングレードのコパイロットやその他の生成AIアプリケーションの開発と展開を合理化する、エンドツーエンドのクラウドネイティブなソフトウェアプラットフォームです。

業界標準のジョブスケジューラー「Slurm」を採用

クラスタシステムのための業界標準であるジョブスケジューラー「Slurm」を採用し、リソースの割り当て・ジョブの制御・モニタリング機能を提供します。


GMOインターネットグループ インフラ・運用本部 プロジェクト統括チーム エグゼクティブリードの佐藤嘉昌氏は、GMO GPUクラウド開始にあたって次のようにコメントしました。

「高性能なNVIDIA H200 GPUと先進のネットワークNVIDIA Spectrum-Xを採用したGMO GPUクラウドの提供により、日本のAI研究開発を加速させることを目指しています。高性能かつ柔軟なGPUリソースを提供することで、研究者や開発者の皆様がより効率的にAI開発に取り組めるよう支援してまいります。この新サービスが日本のAI技術革新の一助となり、グローバル競争力の強化につながることを期待しています」(佐藤氏)

GMOインターネットグループは、「GPUならGMOインターネットグループ」と認知されることを目指し、AI産業に欠かせないクラウドサービスとして、市場に新たな価値を提供していくとのことです。

「GMO GPUクラウド」トライアルの申し込み受付も開始

GMO GPUクラウドの利用を検討する企業に対し、トライアル環境の相談受け付けも始まりました。サービスへの問い合わせやトライアルの申し込みはこちらから行えます。

生成AI開発において開発期間の長期化やコスト増などの課題を抱えている企業の担当者は、ぜひトライアルの実施を検討してみてください。

安蔵 靖志

Techジャーナリスト/家電エバンジェリスト
家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)、スマートマスター。AllAbout デジタル・家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ~ンの家電ソムリエ」にレギュラー出演するほか、ラジオ番組の家電製品紹介コーナーの商品リサーチ・構成にも携わっている。

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