AIが彩る未来の最前線、CES 2025参加レポート

CES会場はめちゃくちゃ広い

ここでCES会場についても記しておきます。会場は、ここまでにも登場したLVCC(大企業やモビリティ関連企業の出展が多い)と、ホテル併設のThe Venetian Expo(スタートアップの出展が多め)の大きく2つに分かれています。どちらも尋常じゃない広さでした。

3日間の滞在になりましたが、毎日の歩数は約3万歩。さらーっと両会場を見て回るくらいなら1日で済むとは思いますが、「なにこれ?」などとブースをのぞいてスタッフと話したりすると、それぞれの会場を1日で全て見て回るのは不可能に近いかなと。

CES開催期間中、VenetianとLVCC間の移動には無料のシャトルが出ており、これに乗ると10分くらいで移動できるような距離感です。LVCCはCentral/North/West/Southとホールが分かれていて、移動に無料でTesla Loopを使えます。

トンネル内が気持ちいい

Sphere

ラスベガスに来たなら、やはり、ここに行かないわけにはいかないですね。CES 2025 Delta Keynoteが開催されたことでも話題になった、球体型の複合アリーナ・Sphereです。「U2 UV」というショーを見てきましたが、全球LED Display、マジでヤバいです。CESと同じくらい、オススメ感が高いですね。

圧倒的な存在感

近くまで行って見てみると、実際のドットが分かります。

近くで見るとLEDのドットパターンが分かる

Sphereの中にもロボ(Aura)が。対話ができ、指向性スピーカーを使ったイベントの説明をしていました

ショーの様子

CESのようなイベントがない限り、ラスベガスに行く機会はそうそうないですが、Sphereはまさに圧巻でした。映像や何かのコンテンツを作っている人なら、「一度はSphereで何か上映してみたい!」と思うはず。

2025年の始まり

直近の2、3年は生成AIとLLMが大流行でした。この流れは今年も大きくは変わらず、実際の現場でも導入が進んでいくことでしょう。

CESで感じたのは、AI・推論によるプロダクトが多かったということでした。そして多くのプロダクトがそうであるように、AI的なものが短い時間軸でヒトに取って代わるというよりは、ヒトの補助・拡張としてのAIの役割を強く感じました。

そんなの当たり前のことのようですが、「すぐにAIがヒトの仕事を奪う未来がやってくる」という言葉や話題がよく出てくることを考えると、「まだこのくらいのことしかできないの?」と感じる人もいるかもしれません。

ちなみに個人的には、AIに仕事を奪われて楽になるなら自分は別のことをするから、どんどん奪ってくれ!!と思っていたりします。

プールの掃除ロボ「Aiper」は、人が行う作業をロボ・AIが肩代わりしてくれる

デジタル・情報分野のAI・推論は非常に発達しましたが、物理的な現実世界に影響・干渉するには、何かしらの仕掛け(例えばロボットハンドやアーム、モビリティ)が必要になります。もちろん、現在でも情報処理が世界に容易に影響・干渉する例は多々あります。マーケットのアルゴリズム取引などは良い例です。

ただし、ChatGPTに「ちょっとコンビニに行って、ドリンクを買ってきて。そしてグラスに氷と一緒に注いでおいて」と言っても、これを実現するには数々の乗り越えるべきハードルがありますよね。ほかにも、僕の体調を常にモニターして、何かドリンクが飲みたいな……と思ったタイミングで、ロボットがビールを持ってくるようなことができたら最高なんですが……(これがヒトの自由意思による着想であって、アルゴリズムにより管理されたディストピアでないことは願っています)。

「部屋の床を綺麗に掃除しておいて」くらいのことなら、現在でも可能ですね。自動でロボットが部屋を掃除してくれます。また「この場所に行きたい」といえば、自動で移動する実証モビリティも出てきています。

CES 2025のTIER IVブースにて

ソニー・ホンダモビリティが発表した「SALOON」

冒頭で示した「ヒトも機械もAI・推論が使えないと生き残れない」という所感について僕は、多くのモノがAI・推論を使うようになる中で、それらを使わない単体のヒト・機械では、圧倒的な処理速度を持つコンピュータとの差を埋めることが難しくなると考えています(ハック的なアプローチは別にして)。変化に適応したものが生き残るというのと同様ですね。

また、ハードウェアの小型化・高性能化と多様なセンサ、そしてそれらを統合して利用するミドルウェアがここ数年で一気に充実してきました。例えば、Lidarやカメラを買ってきて、ROS(Robot Operating System)を使うと、すぐに周辺地図やシミュレーションを使って、物理的なロボットやリアルな世界に反映させるようなことが、誰でも簡単にできるようになりつつあります。

既にChatGPT APIに代表されるようなLLMなどのAI的な推論モデルに、簡単にアクセスして使えるようになっているのは周知の事実です。これからのサービス・プロダクトはハードとAIの共創による恩恵と、現実世界からのフィードバックによって、もっと多様な進化を見せてくれるでしょう。

今年のCESは、遠くて近い未来に向けた、AI・ハードウェア・ソフトウェアの共創による多様なプロダクトの現在地、そして将来を感じることができたイベントでした。

Samsungのブースの上に掲げられていた「AI for All」の文字

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GMOインターネットグループ 新里祐教

GMOインターネットグループ特命担当プログラマ、デベロッパーエキスパート
先端技術から個人制作・OSS・技術誌での執筆など広く行う。 2019-2020年「IPA 未踏ターゲット ゲート式量子コンピュータ向けソフトウェア開発」、2022年「第25回文化庁メディア芸術祭 エンターテイメント部門 審査委員会推薦作品」、ほかイベントやハッカソンでの受賞など、制作した作品の展示をMaker Faireなどで行っている。

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