バンクシー作品「風船と少女」が渋谷に──「世界一小さな美術館@GMOデジタル・ハチ公」

Jun Fukunaga

GMOインターネットグループイベントカルチャー
ストリートアーティスト、アートテロリストとして、イギリスを拠点に世界中で活動して大きな話題と注目を集める謎に包まれた芸術家、バンクシー。その数々の作品の中でも、バンクシーを語るうえで欠かせない代表作と言われるのが「風船と少女」シリーズだ。

その「風船と少女」シリーズのうちの1点が9月5日、GMOインターネットグループ第2本社が入居する「渋谷フクラス」2Fの「世界一小さな美術館@GMOデジタル・ハチ公」(以下、世界一小さな美術館)にて公開される。それに先駆け、9月3日にプレス向け内覧会が実施された。
GMOインターネットグループ代表の熊⾕正寿氏はアートコレクターとしても知られている。これまでも同社オフィスの会議室フロアを中⼼に「GMO Gallery」と称し、ジュリアン・オピーの作品をはじめ、熊⾕氏所蔵の現代美術作品を多数展⽰。2015年には第1本社があるセルリアンタワーで「熊⾕コレクション〜オフィスとアートの新しい関係〜ジュリアン・オピーの世界」展を開催し、オフィスを⼀般公開したこともある。

同グループではパートナー(従業員)が自由に作品を鑑賞できるように、「風船と少女」も世界一小さな美術館に先立ち、7月26日よりオフィスにて展示していた。

今回、世界⼀⼩さな美術館の記念すべき第1弾展示として行われる「Banksy Artworks from Masatoshi Kumagai Collection(バンクシー展)」では、2004年に150点制作された「風船と少女」のひとつが展示される。

この作品は、関係者への販売時のみ⼊れられるハートマーク付きのサインが作品左下に施された貴重なものだ。

「風船と少女」シリーズは、2018年にロンドンのオークションハウス「サザビーズ・ロンドン」で開かれたオークションにかけられ、落札直後にバンクシーによって作られたシュレッダー付きのフレームによって裁断され大きな話題となった。今回の展示には、この時のフレームに極限まで近づけるため、3Dプリンターなどを使用し、細かな模様、厚み、色味までを再現した世界で唯一のフレームが使われている。
世界一小さな美術館は、「現代アートをすべての人に」をコンセプトに、より多くの人に本物のアートを身近に体験してもらいたいとのGMOインターネットグループの思いから誕生したアートスペースだ。作品、フレーム、ムービーと展示空間が一体となったひとつのアートとして、来場者が感動と学びを同時に体験できることが特徴だ。

今回のバンクシー展では20分間の鑑賞時間が設けられている。この鑑賞時間中には、作品の魅力を一層引き立てるために、全面巨大スクリーンと最新の音響技術を用いたスペシャルムービーも上映される。

内覧会では、デジタルプロジェクションで知られるベルギーBarco社の「ベゼルレス・ビデオウォールシステム(Barco UniSee)」を用い、220インチディスプレイで構成される三面の壁に映し出された数分間のスペシャルムービーをまず鑑賞。高精細でシームレスな映像は鑑賞体験にさらなる没入感を与えてくれた。

また、ソニーの空間音響技術「Sonic Surf VR(SSVR)」が導入されていて、立体的なサウンドが体験できる。SSVRでは、空間の中に音をオブジェクトのように自由に配置できるため、エリアを音で区切ることが可能だ。

スペシャルムービーのナレーションは日本語と英語が用意されているが、今回はその「空間を音で区切る」技術によって、展示スペースの左側は日本語、右側は英語というように自分の立ち位置によって、好みの言語を選択してナレーションを聴くことができた。

スペシャルムービー観賞後は、正面のスクリーンが上がり、「風船と少女」が登場。近づいて見てみると、ハートマーク付きのサインや作品ロットナンバーも実際に確認することができる。
また、左側の壁も「風船と少女」をモチーフにしたフォトチャンスブースに切り替わる。作品に描かれた少女になりきって記念撮影ができるほか、会場を後にする際には作品にちなんだ赤い風船とステッカーもプレゼントされるなど、観賞後も作品の余韻に浸ることができたことが印象的だった。
内覧会にはゲストとして、モデルの石川恋さん、堀田茜さん、宮沢氷魚さんも姿を現し、それぞれにバンクシーに対する想いを語りながら、作品観賞を楽しんだ。

GMOインターネットグループは、「世界一小さな美術館におけるアート作品の展示を通して、ひとりでも多くの方の『笑顔』と『感動』を創造し、アート界と文化、ひいては社会の発展に貢献していく」と述べている。

今後も同グループは、世界一小さな美術館でさまざまな現代アートを展示し、紹介する予定だ。多様性のある渋谷の街の文化をさらに発展させることを後押しする取り組みとして、次回の展示作品にも期待したい。

9月5日からのバンクシー展会期中の開館時間は11時〜20時。1公演20分の入れ替え制で、チケットを展示会の公式ホームページで事前に購入する必要がある。入館料金は一般・大学生は300円、小・中・高校生100円、未就学の子どもは無料。なお開館情報等は変更となる場合があるので、最新の情報は公式ホームページを確認してほしい。

Jun Fukunaga

ライター・インタビュワー
音楽、映画を中心にフードや生活雑貨まで幅広く執筆する雑食性フリーランスライター・インタビュワー。最近はバーチャルライブ関連ネタ多め。DJと音楽制作も少々。

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