声のかけ方や表現ひとつで若手が変わる！イケてるリーダーの「褒め方、叱り方」

2023.6.21

誰でも褒められればうれしくなり、叱られれば気持ちが沈むのは当たり前。しかし「仕事は、できて当たり前」な時代に働いてきた世代は、成果を上げても褒められないのに、失敗すれば厳しく叱られるのが当然でした。

一方、今の若い世代は他人から注意されることに慣れていないと言われています。パワハラや、それに伴う離職率の高さが問題になることも多く、これまでの世代の感覚はなかなか通用しません。そんな流れのなか、若手の部下との接し方に悩んでいる管理職の方も少なくないのではないでしょうか。

人は褒められることで「自分の行動が良い結果につながった」と認識できます。つまり「褒めること」を活用して、若手社員が仕事に意欲を持てる環境を作ることができるのです。また、褒めてくれた相手にはもっと報いたいという心理は、仕事仲間との関係をポジティブなものにしてくれます。そんな褒め方・叱り方のコツを見ていきましょう。

「褒める」「叱る」はフィードバック！逆効果にならない方法を知ろう

職場においては、上手に部下を褒めるスキルはとても重要ですし、叱るときは心に傷を残さず、必要な反省を促す言い方が求められます。褒めることや叱ることは、形は違えど「部下に対するフィードバックである」という点は同じです。褒めたこと・叱ったことによって部下の仕事の質が落ちたり、態度が悪くなるのであれば、それは褒め方・叱り方に問題があるといえます。

「褒めて部下を伸ばそうとしているのに、部下がなかなか成長しない」「褒めているのに、部下が微妙な顔をする」。そんなときは、部下の心に響かない褒め方になっているのかもしれません。部下の行動をよく見ないで褒めそやしていると「おだてているだけ」「管理職なのに、部下の機嫌を取ろうとへつらっている」と受け取られてしまいます。

また「できても褒めてもらえない」環境で育った人のなかには、「部下を褒めるとつけあがらせてしまう」という誤解も見受けられます。つけあがらせないためにと、厳しく感情的な𠮟り方をしたために部下の心に傷を残し、かえって反発心を植え付けてしまう場合も。リーダーは、褒めるべき点をきちんと見極めたうえで褒め、叱るべきときは感情的にならず適切な叱り方をする必要があります。

部下が心を閉ざしてしまう！心に響かない褒め方・叱り方とは

「褒める」「叱る」はフィードバック。それだけに、やり方を間違えると一気に部下の不信を買い、心を閉ざされる原因になります。部下が「この人の話は聞きたくない」と思ってしまうと、どんな指導も上滑りしてしまいます。「いい褒め方・叱り方」の前に覚えるべきは、「やってはいけない褒め方・叱り方」なのです。

「NGな褒め方」「NGな叱り方」をそれぞれ5つ紹介するので、ぜひ心に留めておいていただければと思います。

NGな褒め方5つ

NGな褒め方①　褒める際に他人と比べる
他人をおとしめるような言い方で褒められても、褒められた側は素直に喜べないものです。「〇〇さんはできないのに、あなたはすごいね」などと言われると、部下は「自分も誰かと比べられているのでは？」「いないところで引き合いに出され、馬鹿にされているのでは？」と不信感を持ちます。みんなが疑心暗鬼になり、チーム内の人間関係が崩れる原因にも。

NGな褒め方②　漠然と褒める
褒めて伸ばしたいからと、何でもかんでも褒めたり、「すごいね」「よくできたね」といった、あまり具体的ではない褒め方をすると、部下の喜びも半減。何が良かったのかわからないような漠然とした褒め方は、「おだててこびを売っている」「この人、本当は褒めてないな」と思われる原因に。「適当な人だ」と、かえって信頼を失いかねません。「ここを変えるともっと良くなるよ」「次はここも頑張ってみよう」など、具体的な助言が必要です。

NGな褒め方③　自分に都合のいいことだけを褒める
「目をかけている部下だけを褒める」「自分に都合がいい相手だけを褒める」「業務に関係のないことばかり褒める」など、自分に都合よく、公平さを度外視した褒め方をする管理職には、部下も冷たい視線を向けるようになります。業務に貢献した人物を公平に褒めるべきです。褒める基準が明確で公平な管理職には、安心感・信頼感を持つ部下が多いです。

NGな褒め方④　能力や属性のみを褒める
良かれと思って「さすが高学歴」「若いからそういうことに詳しいんだね」など、能力や属性を褒める人がいます。しかし、何かを成し遂げた努力やプロセスを称賛されたほうが、褒められた側は「認めてもらえた」と感じます。「頑張っていたから成果が出たね」「あの企画書はよくできていたね」など部下の行動にフォーカスした褒め方を心がけましょう。

NGな褒め方⑤　ワンパターンに褒める
褒めることが部下を伸ばすからといっても、それは「何がなんでも褒めなくてはいけない」という意味ではありません。毎回同じような褒め方をされるというのも、部下にとっては味気ないものです。たとえば、部下が都度、工夫を凝らしたプレゼンをしているのに、毎度「説明がうまいね」など、どんなプレゼンにもとりあえず言えるようなコメントしかできないとしたら、部下は失望するでしょう。部下が褒められて喜ぶのは、自分の行動に対するポジティブなフィードバック。ワンパターンな「とりあえず」の褒めは逆効果なのです。

NGな叱り方5つ

NGな叱り方①　人格攻撃になっている
「叱る」と「怒る」は違います。感情的に、部下の人格を攻撃するのはタブーです。「感情的に怒るから怖い」と部下が萎縮したり、「冷静な言動ができない人だ」と、言うことを聞かなくなってしまう恐れがあります。

NGな叱り方②　しつこく怒る
部下のミスや起こしたトラブルがどんなものであれ、怒りに任せて感情的に、しつこく怒るのはNGです。「自分を思って注意してくれる」ことと「ただ怒られている」ことの違いは部下にもわかりますし、「怒られた」と感じた部下は反発を感じます。仮に反論してこなくても、心の中には怒りがこみ上げているため、いくら注意やアドバイスをしても伝わりません。また「わかってないから何度も失敗するんだ」と過去の失敗や悪かったところを引き合いにネチネチと責めるのもいけません。たった今起こった事実だけを指摘するようにしましょう。

NGな叱り方③　信頼関係がないうちに叱る
部下を叱るのは、部下のため、また仕事のためを思っての行動のはず。それだけに、まだ信頼関係のない部下を叱ると、相手は叱られたことを悪く解釈してしまうことがあります。「なんで自分が叱られなきゃいけないの？」「やってられない！」などと感じてしまうのです。新しく自分のもとに配属された部下などに対し、「上下関係をわからせる」とばかりにいきなり叱る人がいますが、部下が何に取り組みどんな目標を掲げているかも知らずに叱ろうとすることは、ただの攻撃になってしまいます。

NGな𠮟り方④　「君」「あなた」を主語にして叱る
例えば、部下に頼んだ書類が期日になっても提出されないとします。それを指摘するときに「あなたは、期日が過ぎているのに気づかないの」と言うのと「私は○日までに提出と伝えていたと思うのだけど」と言うのでは、ずいぶん印象が異なります。「あなた」が主語になっているほうが、より厳しく責められているように感じるはずです。部下から見た管理職は、自分自身が思う以上に怖い存在です。部下が「責められている」と感じるような言い回しはできるだけ避けてあげたいものです。

同様に「なんで」「どうして」も、「詰問されている」と思われやすいフレーズ。本当に理由が知りたいのであれば「理由を教えてくれるかな」などと言い換えてみましょう。

NGな叱り方⑤　人前でつるし上げる
「悔しさをバネにしてほしい」「他の部下たちには同じ失敗をしてほしくない」からと、部下の失敗を人前で叱っていませんか？

そんな叱り方は、部下を伸ばすどころか、彼らの心に大きな傷を残す結果に。時には失敗した部下本人の心を傷つけるだけにとどまらず「こんなイジメのようなことをする人は信用できない」と、部署全体の士気を下げることにもつながります。このようなきっかけで部下が心を病み、休職してしまう例も少なくありません。

「叱るときは人目につかないように、褒めるときは人前で」が鉄則です。

効果的な褒め方は？やむを得ず叱るときはどうすればいい？