「必要な情報には抜け漏れがあり、特に必要でもない自分の話したいことを優先する」。

コミュニケーションコストが高い人の特徴です。その結果、相手には追加の質問や補完情報を求める必要が生まれ、コミュニケーションの効率が悪くなるのです。

話すべき内容を整理せず、相手の顔を見てから話す内容を考えるのも、相手に負担を与える原因になります。人にものを頼むときは自分でできること、今、明らかになっていること、お願いしたい範囲など、整理してから話を持ち掛けるべきです。

話すべきことを整理するには「4W3H」などのフレームワークを利用しましょう。When、Who、Why、Where、Whatの5WからWhoを除いた4Wと、How、How Many、How Muchの3Hです。

例として「結婚相談所が会員向けにメイクアップコンサルティングのサービスを開始する」件について、要点を整理してみましょう。

Who　誰が・誰に
結婚相談所と提携しているメイクアップアーティストが会員向けに

What　何を・何が
オンラインのメイクアップコンサルティングを行う

Why　なぜ
結婚相談所における出会いについて、第一印象の及ぼす影響は非常に大きい。清潔感や明るい印象はそのままマッチングできる数につながるので、個性を生かしつつ、好印象なヘアメイクを相談所の会員（男女問わない）向けに提案する

When　いつ
オンラインでの開催なので、会員とアーティストの空き時間が重なる日があれば随時。平日夜の開催がメインなので、申し込みから1週間以内に調整する

How　どのように
事前に持っている化粧品や、普段のスキンケアをヒアリング。当日はスキンケアを済ませた状態で開始し、チャームポイントや本人のなりたいイメージ、好きな異性のタイプを踏まえたメイクをオンラインで指示し、ユーザーが自分でメイクを施す。男性の場合は眉の整え方や肌のメンテ、顔の筋肉のトレーニングを指南する。

How much 価格
オンラインかつ会員向けのサービスで、宣伝が不要なため、1時間5000円×2時間制とする。手頃な料金として受講率を上げることで、相談所全体の成婚率アップにもつながる。

How many 規模
週2日、４コマ程度でスタートし、状況を見て規模を広げる。

4W3Hの要素を満たすようにまとめていくと、情報の抜け漏れがなくなるのが分かるでしょうか。たとえメモ書きレベルでも、これを意識することでコミュニケーションのスタイルが変わってくるはずですよ。

社内文書をはじめ、SlackやLINEといったテキストコミュニケーションにおいても「わかりやすさ」は重要です。「全部読めばわかるから」と、頭の中にあることを取りとめもなく書いたものは、相手にとっては読みにくくわかりにくいテキストです。最後まで丹念に読まないと分からない文章は、ビジネス上のコミュニケーションとしてはコストの高いものになります。

適宜見出しをつけたり、重要なポイントを要約して伝えることで、効率的な情報共有ができます。先に結論を述べること、何の連絡か伝えておくことで、読み手もそれに即した姿勢でテキストを読みます。それだけでも伝わりやすさが格段に向上するのです。

さらに箇条書きで内容を整理する、番号を振ってわかりやすく、答えやすくする工夫も大事です。

テキストによるコミュニケーションでも、わかりやすさ、答えやすさがあるだけで相手の負担を削減できます。結果として後回しにもされにくくなり、双方の仕事がスムーズになるのです。

コミュニケーションに費やす時間を管理しましょう。コミュニケーションコストが高い人は、相手からの連絡や質問への対応が遅い傾向があります。相手には待ち時間が生まれ、情報共有や意思決定の遅れにもつながります。

一方で、必要な情報や質問をまとめてから相手に連絡することで、頻繁な連絡や追加の質問を減らすことができます。タイムマネジメントにも「仕事の優先順位をしっかり把握すること」が重要になります。

目的や情報の重要度に応じて、適切なコミュニケーション手段を選ぶことも重要です。メールやチャットにはそれぞれの都合のいい時に対応すればいいというメリットもありますが、会議や対面でのコミュニケーションなら、ごく短時間に解決をみることができる場合もあります。そのタイミングで何を伝えたいかによって「最も効率的な伝達方法はなにか」を常に意識することが大切です。

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コミュニケーションコストの削減の秘訣は、“相手ファースト”になることです。自分が話したいことを話すのではなく、「わかりやすい」「聞きやすい」「何の話かすぐつかめる」、この状態を目指すことが重要です。相手のコストを削減することで、結果的に自分にかかる負荷も減っていくでしょう。