「排気ダクト」が付属し、「ノンドレン方式」を採用するモデルがおすすめ
では、これらのメリット・デメリットを踏まえた上でスポットクーラーの選び方を紹介しましょう。
熱い空気を室外に排出できる「排気ダクト」は必須
スポットクーラーは、本体の前面から冷たい空気を送り出し、本体の背面や上部から熱い空気を排出する仕組みになっています。そのため、排気を室外に出さないと室温は運転前より上がってしまいます。室温の上昇を防ぐためには、排気ダクトを使って室外もしくは冷やしたいスペースの外に熱気を排出する必要があります。
排気ダクトの使用例(アイリスオーヤマの製品情報サイトより)
スポットクーラー選びで最も重要なのが、排気ダクトが付属する製品を選ぶことです。ほとんどの製品は背面に排気ダクトを取り付けられるようになっており、ダクトを伸ばすことで室外に排気できます。排気ダクトが付属しないスポットクーラーの場合、本体のすぐ背面から熱い排気が出てしまうため、効率よく冷やすことができません。排気ダクトがなくても、コンプレッサー方式の除湿機のように「室温が上がってもいいからジメジメした部屋を除湿したい」といったニーズには応えられますが、「エアコンを設置できない部屋を効率的に冷やしたい」というニーズには応えてくれません。必ず排気ダクトが付属する製品を選びましょう。
「窓パネル」が付属するモデルなら、より効率的に排熱できる
排気ダクトが付属するスポットクーラーには、窓枠に設置できる「窓パネル」を付属する製品もあります。窓パネルとは窓の枠に設置し、排気ダクトの部分だけすき間を空けるパネルのことです。排気ダクトの分だけ窓を開けると、窓のすき間から室外の熱い空気が入ってきてしまいますが、窓パネルを取り付けることで室外の空気が入り込まなくなるため、クーラーの無駄がなくなり、より効率的に部屋を冷やせるようになります。
窓パネルの使用例(アイリスオーヤマの製品情報サイトより)
排水不要の「ノンドレン方式」がおすすめ
エアコンなどで冷房を行う場合、空気中の水分が室内機の内部で結露して水が出るため、その水を「ドレンホース」を通じて室外に排出します。一般的なエアコンでは、室外機の辺りに排水用のドレンホースがあります。スポットクーラーの排水は、本体内のタンクに結露水を溜められるようになっているほか、ドレンホースをつなぐことで連続排水を可能にし、排水の手間がない製品もあります。さらにおすすめなのが、本体内で結露水を蒸発させてダクトから排出する「ノンドレン方式」を採用する製品です。ノンドレン方式でも、室内の湿度が高いとタンクに水が溜まることはありますが、排水の手間を省けるので便利です。
「冷房能力」と「除湿能力」を表示している製品を選びましょう
スポットクーラーには、「冷房能力」を表示している製品としていない製品があります。冷房能力というのは一般的なエアコンでも仕様としても表示されているもので、例えば2.2kWなら適用畳数6~9畳が目安になります。スポットクーラーの場合、「冷房能力 2.0/2.3kW(左は東日本の50Hz地域、右は西日本の60Hz地域)」と「除湿能力 23/26L(同)」といったように表示されていれば、冷房と除湿でどのくらいのパワーがあるのかが一目で分かります。
冷房能力を表示している例(ナカトミ「MAC-20」の製品情報サイトより)
製品によっては、1日の最大除湿量しか表示されていないものや、「室温より約-○℃の冷風が出る」といった説明しかない製品もあります。こういった製品は、選ぶ際にほかの製品とのパワーの比較ができません。冷房能力と除湿能力の仕様が明らかになっている製品のなかから、自分の希望に合ったものを選びましょう。
冷媒の種類にも注目
スポットクーラーは冷媒として、古いルームエアコンに採用されていた「R410A」と、最新のエアコンに採用されている「R32」、カーエアコンなどに採用されている「R134a」の3種類が主に使われています。各冷媒の地球温暖化係数(GWP)は、環境省によるとR32が675、R-134aが1430、R-410Aが2090で、この数字は低いほど地球温暖化に影響しにくいものです。
一方、冷房能力を見るとR32はR-410Aの約1.5倍の能力があります。現在販売されている家電としてのエアコンはほとんどが新冷媒のR32に移行されていますが、スポットクーラーではまだR410Aが主流です。パワフルかつ地球環境にも優しいスポットクーラーが欲しいという人は、新冷媒のR32を採用する製品を選ぶといいでしょう。
一方、冷房能力を見るとR32はR-410Aの約1.5倍の能力があります。現在販売されている家電としてのエアコンはほとんどが新冷媒のR32に移行されていますが、スポットクーラーではまだR410Aが主流です。パワフルかつ地球環境にも優しいスポットクーラーが欲しいという人は、新冷媒のR32を採用する製品を選ぶといいでしょう。
安蔵 靖志
Techジャーナリスト/家電エバンジェリスト
家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)、スマートマスター。AllAbout デジタル・家電ガイド。ビジネス・IT系出版社を経てフリーに。デジタル家電や生活家電に関連する記事を執筆するほか、家電のスペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。KBCラジオ「キャイ~ンの家電ソムリエ」にレギュラー出演するほか、ラジオ番組の家電製品紹介コーナーの商品リサーチ・構成にも携わっている。