物件・エリア探し、間取りチェック——Geminiで引っ越しアシスト

2025.3.5

環境が大きく変わる人も多い春は、引っ越しシーズンでもあります。新しい環境はワクワクしますが、ただでさえ慌ただしいこの時期に、限られた時間で不慣れなことをやらなくてはならない引っ越しは、負担の大きな作業です。荷造りのような手を動かす作業は仕方ないとして、考えなくてはならないこと、面倒くさいこと、苦手なことを誰かに手伝ってもらえたら……。

そんなときは生成AIの出番です。今回はGoogleの生成AI「Gemini」に、限られた日数で、忘れ物や失敗のない引っ越しをアシストしてもらいましょう。

引っ越しってどうやるんだっけ……？まずは「手順書」を作ってもらう

「引っ越しに慣れている」という人はおそらく少数派のはず。私は引っ越しが好きな方ですが、それでも実際に引っ越すのは多くて年に1度がせいぜいです。めったにやらない作業では、手順のヌケモレが発生しがち。特に引っ越しでは、二重に家賃を払う期間を少しでも短くしたいので、無駄なく手順を立てたいところですが、実際には不確定要素が多すぎて、なかなかうまくいかないものです。

条件と折り合いがつく物件を探し、必要があればカーテンや家具を買い替え、「今の家の解約」「新しい家の契約」「引っ越し日」を、限られた日数で抜かりなく決めなくてはいけない……。

引っ越しというのは、実はかなりの無理ゲーなのです。せめて段取りだけでも誰かにしてもらえると本当に助かる……。

ということで、Geminiに大まかな引っ越しの流れを踏まえた「やることリスト」を作成してもらいました。

まずは大まかな流れを思い出させてもらう

実際には物件探しがスムーズに終わるかどうかや、働きながらの引っ越しの場合、年度末のこの時期にどれだけ休みが取れるかによって、進捗は変わってくるでしょう。しかし「今週はこれをすませるべき」と、大まかな判断基準が即座にできるのがありがたい。

やることを大まかな流れに沿って把握したら、「今年度の有給はあと4日使える」「自分が住んでいる地域の役所の夜間窓口は水曜日にあいている」など、個別の事情を追加で指示すると、より効率的なスケジュールに組み直してもらうこともできます。

不動産サイトでは絞り込めないニッチな条件で物件探し

引っ越し作業の中で最重要プロセスでありながら、やり始めるまで何が出るかわからず、「水もの」と言われるのが物件探し。

予算とエリアは同じでも、時期やちょっとした条件によって巡り会える物件には大きな差があります。このため、「最も優先したい条件」を決めたうえで、あとは柔軟に考えるのが短期間で好みの物件を見つけるコツです。

しかし、そういった「最も優先したい条件」こそ、不動産サイトの検索条件では引っかかりにくいものも……。

例えば「必ず渋谷駅近辺に住みたい」人よりは「渋谷の会社までドアツードアで20分で通えるエリア」を知りたい人のほうが多いはずですが、たいていの物件は最寄り駅からの距離しかわからないでしょう。また「ガラスブロックのある家に住みたい」と思ったとしても、検索条件で絞り込めるのは「エアコン付き」「バス・トイレ別」といったライフラインに関するものだけだったりします。

Geminiに聞けば、「◯◯駅まで◯分で通勤でき、家賃相場が◯万のエリア」をざっくり示してもらうことや、「ガラスブロックのある」家を探す検索のコツを教えてもらうことが可能です。

ガラスブロックが「ありそうな」家の探し方がわかる

ガラスブロックのようにニッチな条件は、探し方がイマイチだと何の情報も出てきません。私も毎度探しあぐねていたポイントでしたが、不動産情報サイトでも確かに「デザイナーズ物件」「リノベーション物件」の検索ならできます。また、そもそもリノベ物件やちょっとクセの強い物件に特化した不動産サイトを中心に探すのもよさそうです。

とはいえ、実際に検索してみると、そもそも専有部にガラスブロックのある物件数自体が少ないため、ウェブ上ではすぐには見つかりませんでした……。しかし、引っ越すエリアが決まれば、もっと具体的な検索ができるはずなので、ここでは一旦エリア探しに移行しようと思います。

対話を繰り返す「壁打ち」でエリア探しをアシスト

どの街にも地域ごとのカラーがあります。住んでみないとわからない部分はあるものの、治安や街の雰囲気といった、大まかなムードは知っておきたいですよね。住みたい街が具体的にあるなら、そのエリアの評判をGeminiに聞いてみるのもおすすめです。

ここでは、先ほどGeminiが通勤に便利だとして提案してきたエリアについて、いい点・悪い点を質問します。

いろいろな切り口から検証してくれる

治安や利便性、街の雰囲気など「女性の一人暮らしに向いているか？」という観点では魅力的だとしても、「乗り換え駅ゆえに混雑が激しい」「夜は騒音が気になることも」といった「自分の都合のいい時間帯に、一度きりの下見に行くだけでは気付けないポイント」がわかるのが助かります。

そうしたポイントを「オフィスへの出勤は必須だから、もう少し移動のストレスがなさそうな街にしようか」「夜はヘッドホンを付けて動画を見ていることがほとんどだから、終電後に静かになるなら多少のにぎわいは別に気にならないかも」というように、自分のライフスタイルと照らし合わせてみると、ストレスなく住める街かどうか、判断しやすいかと思います。

気になる点があれば、その街と似た長所を持ちながら「さらに家賃が安い」「さらに混雑が少ない」など、デメリットの少ないエリアを提案してもらうのもいいですね。

「ラッシュがマシ」「家賃が安い」他の街を紹介

Geminiの推してくる街はどれも女性にとって住みやすく、いい雰囲気です。しかし人気の街だけあって、想定していた家賃では、かなり「広さ」が犠牲になりそう。

「どうしてもおしゃれタウンに住みたい！」ならともかく、できれば広めの部屋に住みたいのと、「おしゃれタウンに住むということは、休日に近所を歩くにも人目が気になる」という懸念もあります。そこで、渋谷へのアクセスが良く、もっとカジュアルな街についても質問してみました。

急な話題転換にも応じてくれるのがGeminiの良さ

「大きく変わりますね」と言いながらも、優しく答えてくれるのがうれしい。

しかし概ね、懸念していた通りのデメリットが挙げられます。いい街だし物件も多いのは知っているのですが、通勤電車の混雑も気になります。もっと他にいい街はないものでしょうか？

疲れてきたので原点に戻り、こう質問してみました。

振り出しに戻っても怒らないのが生成AIの気楽な点

こうして結果を眺めてみると、Geminiに関しては「〇〇駅まで◯分」といった指定より、ざっくり「通勤圏」を質問したほうが的確な答えを出してくれる気がします。

沿線ごとに出てきたまとめを見るうちに「あまり混まずに座って通勤できるなら、多少時間がかかるのは苦にならないかも」という気がしてきました。1つ1つの問いに、毎度ドンピシャの答えを返してくれるわけではないけれど、このように切り口を変えて対話することで思考が刺激される「壁打ち」になるのが、Geminiとのやり取りで楽しいところです。

というわけで、「渋谷駅までバスで通勤できるエリア」を聞いてみます。