利用者の増加が見込まれるマイナンバーカードですが、現在は、カード内の電子証明書や電子著名を行うための暗号鍵、氏名、住所、生年月日、性別といった情報は、総務大臣認定を受けたサービス事業者のみが扱えるという条件があります。そのため、一般のサービス事業者には、マイナンバーカードを利用したサービスは提供しにくいのが現状です。

そこでGMOグローバルサインは、「マイナンバー制度対応GMOオンライン本人確認サービス（以下、マイナンバー対応本人確認サービス）」を、新たに利用者証明用電子証明書に対応させるとともに、マイナンバーカードでさまざまなサービスへのログインを可能にする「ID連携機能」の提供を開始したのです。

GMOグローバルサインは2016年5月25日に総務大臣認定を受けた公的個人認証サービスのプラットフォーム事業者です。認定により、マイナンバーに格納されている電子証明書を利用し、オンラインで公的な本人確認を完了できる「マイナンバー制度対応GMOオンライン本人確認サービス」を2016年11月より提供しています。

今回、より広範囲の利用を想定した利用者証明用電子証明書に対応したことで、一般のサービス事業者は、このサービスを導入するだけで、総務大臣による認定を取得せずに、マイナンバーカードによるユーザーの本人確認を実施できるようになります。

マイナンバーカード内の情報は、厳格かつ信頼性が高いため、サービス提供者が導入することで、不正ユーザーの利用を防止できるなど、より厳格なユーザー認証や本人確認を行えるようになります。

さらにマイナンバー対応本人確認サービスは、業界標準の認証方式である「OAuth2.0」や「REST API」に対応するため、導入・連携のための開発をスピードアップでき、コストの大幅な削減も期待できます。特にサービスの性質上、厳格なユーザーの本人確認が求められる金融や証券、保険会社のオンラインサービスなどで有効活用できるはずです。

現状、マイナンバーカードに組み込まれている署名用電子証明書は、電子署名サービスなどで使うことはできません。しかし、マイナンバーカードを使って本人確認を行い、氏名や住所、生年月日、性別といった4つの情報をもとに、新たな署名用電子証明書を発行することで、マイナンバーカードの署名用電子証明書と同等の信頼性・セキュリティレベルの高い電子署名サービスなどを提供できるようになります。

また発行した新たな署名用電子証明書を、マイナンバーカードの利用者証明用電子証明書で認証し、ID連携して利用することで、さらに信頼性の高い電子署名や認証への利用もできるでしょう。

GMOグローバルサイン　マーケティング部　坂井伸さんによれば、2021年3月下旬からは、「マイナンバーカード連携電子実印」も提供予定とのこと。これは、電子契約時に必要となる電子証明書の審査を、マイナンバーカードを用いることで自動化するサービスです。

これまで電子証明書を発行する際には、書類審査や対面審査が行われていましたが、これをマイナンバーカードを利用した本人確認により自動化。自動化電子契約や電子文書関連サービスを提供している事業者に対し、API連携を行うことで、即時に電子証明書の発行が可能になります。

すでに諸外国では、国民ID制度を活用したデジタル・ガバメントが実現され、さらに国民IDの民間サービスへの利活用も行われており、市民生活の利便性向上に寄与しています。今後、日本においてもマイナンバーカードの普及にともない、行政サービスのデジタル化のみならず、民間サービスでの利活用が進むことを期待したいところです。