「トランジスタ・ラジオ」「雨あがりの夜空に」などのヒット曲で知られるRCサクセションのフロントマンで、日本の「KING OF ROCK」とも呼ばれた忌野清志郎。そのドキュメンタリー映画『愛し合ってるかい? 忌野清志郎が教えてくれた』が、10月2日より公開中だ。
筆者はRCサクセションのヒット曲など忌野清志郎の代表曲こそ知っているものの、その活動をリアルタイムで追いかけてきた世代ではない。いわば、後追い世代なのだが、忌野清志郎の名前を意識したのは、1999年ごろのことだ。「君が代」をパンク調にカバーした作品が、レコード会社から発売中止になったという話を友人から教えてもらったことがきっかけだった。当時の筆者にとって忌野清志郎は、テレビの歌番組で何度か見かけた“奇抜なメイクと派手なスーツの歌手”という印象が強い存在だったが、歌う姿にほかのJ-POPアーティストとは明らかに違う、独特の“ロックスター”さを感じたことをいまでも覚えている。
そんな忌野清志郎と自分との接点の記憶が映画鑑賞前によみがえってはきたのだが、タイトルにも掲げられた「愛し合ってるかい?」という本作のメッセージは、後追い世代の筆者にどこまで届くのだろうか。その答えを確かめるように、約2時間の映画を観た。
筆者はRCサクセションのヒット曲など忌野清志郎の代表曲こそ知っているものの、その活動をリアルタイムで追いかけてきた世代ではない。いわば、後追い世代なのだが、忌野清志郎の名前を意識したのは、1999年ごろのことだ。「君が代」をパンク調にカバーした作品が、レコード会社から発売中止になったという話を友人から教えてもらったことがきっかけだった。当時の筆者にとって忌野清志郎は、テレビの歌番組で何度か見かけた“奇抜なメイクと派手なスーツの歌手”という印象が強い存在だったが、歌う姿にほかのJ-POPアーティストとは明らかに違う、独特の“ロックスター”さを感じたことをいまでも覚えている。
そんな忌野清志郎と自分との接点の記憶が映画鑑賞前によみがえってはきたのだが、タイトルにも掲げられた「愛し合ってるかい?」という本作のメッセージは、後追い世代の筆者にどこまで届くのだろうか。その答えを確かめるように、約2時間の映画を観た。
デビューから没後まで受け継がれる姿をたどる
本作は2025年、彼のデビュー55周年を記念して制作されたもの。劇中には、高校時代からの友人である俳優の三浦友和をはじめ、竹中直人、泉谷しげる、三宅伸治らゆかりの人物が証言者として登場する。
映画は、学生時代のエピソードに始まり、RCサクセション期からソロ活動期までを、おおむね時系列で追っていく。なかには、RCサクセションの活動休止前、1990年に行われた日本武道館公演といった貴重なライブ映像も収められている。さらに中盤から終盤にかけては、忌野清志郎の没後にも目を向け、2025年8月の音楽フェス「SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2025」でのトリビュートバンド・SWEET LOVER SOULSのステージや、長女で消しゴムハンコ作家の百世の語りを通して、そのレガシーが受け継がれていることを示す。
筆者は映画の序盤でまず、デビュー当時のRCサクセションがアコースティック編成のフォークグループとして活動していたことに驚かされた。なぜなら、筆者のような後追い世代からすると、同バンドは日本のロックバンドのレジェンド的な存在という認識がある。「忌野清志郎=ロックスター=RCサクセション」は、一本の線でつながっているイメージがあったからだ。とはいえ、編成こそフォークでも、叫ぶように歌うその姿には、すでに“ロックスター”の熱がみなぎっていた。こんなふうに、筆者が知らない忌野清志郎の姿に映像を通して触れられることも、本作の魅力のひとつといえる。
映画は、学生時代のエピソードに始まり、RCサクセション期からソロ活動期までを、おおむね時系列で追っていく。なかには、RCサクセションの活動休止前、1990年に行われた日本武道館公演といった貴重なライブ映像も収められている。さらに中盤から終盤にかけては、忌野清志郎の没後にも目を向け、2025年8月の音楽フェス「SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2025」でのトリビュートバンド・SWEET LOVER SOULSのステージや、長女で消しゴムハンコ作家の百世の語りを通して、そのレガシーが受け継がれていることを示す。
筆者は映画の序盤でまず、デビュー当時のRCサクセションがアコースティック編成のフォークグループとして活動していたことに驚かされた。なぜなら、筆者のような後追い世代からすると、同バンドは日本のロックバンドのレジェンド的な存在という認識がある。「忌野清志郎=ロックスター=RCサクセション」は、一本の線でつながっているイメージがあったからだ。とはいえ、編成こそフォークでも、叫ぶように歌うその姿には、すでに“ロックスター”の熱がみなぎっていた。こんなふうに、筆者が知らない忌野清志郎の姿に映像を通して触れられることも、本作の魅力のひとつといえる。
『愛し合ってるかい? 忌野清志郎が教えてくれた』 特別映像
via www.youtube.com
淡々とした前半から一変した、中盤から終盤にかけてのライブシーン
ただし、正直に書けば、本作は起伏が少なく淡々と進んでいく。特に前半は証言と回想が中心で、曲は断片的に挟まれている印象を受けた。大きな山場をいくつも作って引っ張るのではなく、証言を積み重ねていく構成だ。しかし、映画全体に山場がないかといわれれば、そうではない。少なくとも中盤から終盤にかけての「SWEET LOVE SHOWER 2025」でのライブシーンは、筆者にとってまさに本作の山場といえるものだった。
このライブは、映画の時間軸でいえば忌野清志郎の没後にあたるため、本人は登場しない。その代わりに、彼がいまなおコアなロックファンやミュージシャンから愛され続けていることが示される。それを証明するのが、この日限りのトリビュートバンド・SWEET LOVER SOULSの存在だ。
このバンドは、忌野清志郎デビュー55周年と音楽フェスSWEET LOVE SHOWERの30周年を記念し、忌野清志郎の楽曲を歌いつなぐべく、世代を超えて結成された。メンバーはRei、ジェットセイヤ(go!go!vanillas)、梅津和時ら。ゲストボーカルには、Jean-Ken Johnny(MAN WITH A MISSION)、アイナ・ジ・エンド、jo0jiらが名を連ねた。
ライブシーンで披露された忌野清志郎の代表曲のなかでも、筆者がとりわけ目を見張ったのは、アイナ・ジ・エンドが歌う、1976年に発売されたRCサクセションの「スローバラード」だ。その様子を忌野清志郎が乗り移ったかのよう、とまではいわない。しかしそれでも、アイナ・ジ・エンドがその曲を歌い上げる姿には引き込まれ、強く印象に残った。
もうひとつ印象に残ったのが、RCサクセション時代から忌野清志郎の音楽活動を支えてきた盟友で、本作にも証言者のひとりとして登場している梅津和時の演奏だった。彼は、劇中の過去の映像と変わらないパフォーマンスをSWEET LOVE SHOWERのステージでも見せていた。その様子を観ていると、「彼の目には、忌野清志郎の姿が見えていたのではないか」と想像してしまった。
また、カメラが映し出す客席の様子も見逃せない。そこには若者の姿もあれば、往年のファンと思われる年配の人が、涙を浮かべながらステージを見つめる様子も映っている。映画の紹介文には、忌野清志郎を「世代をこえて愛される」と表した一節があるが、異なる世代が同じ場所で忌野清志郎の音楽に耳を澄ます、この光景はまさにそのことを物語っていた。
このライブは、映画の時間軸でいえば忌野清志郎の没後にあたるため、本人は登場しない。その代わりに、彼がいまなおコアなロックファンやミュージシャンから愛され続けていることが示される。それを証明するのが、この日限りのトリビュートバンド・SWEET LOVER SOULSの存在だ。
このバンドは、忌野清志郎デビュー55周年と音楽フェスSWEET LOVE SHOWERの30周年を記念し、忌野清志郎の楽曲を歌いつなぐべく、世代を超えて結成された。メンバーはRei、ジェットセイヤ(go!go!vanillas)、梅津和時ら。ゲストボーカルには、Jean-Ken Johnny(MAN WITH A MISSION)、アイナ・ジ・エンド、jo0jiらが名を連ねた。
ライブシーンで披露された忌野清志郎の代表曲のなかでも、筆者がとりわけ目を見張ったのは、アイナ・ジ・エンドが歌う、1976年に発売されたRCサクセションの「スローバラード」だ。その様子を忌野清志郎が乗り移ったかのよう、とまではいわない。しかしそれでも、アイナ・ジ・エンドがその曲を歌い上げる姿には引き込まれ、強く印象に残った。
もうひとつ印象に残ったのが、RCサクセション時代から忌野清志郎の音楽活動を支えてきた盟友で、本作にも証言者のひとりとして登場している梅津和時の演奏だった。彼は、劇中の過去の映像と変わらないパフォーマンスをSWEET LOVE SHOWERのステージでも見せていた。その様子を観ていると、「彼の目には、忌野清志郎の姿が見えていたのではないか」と想像してしまった。
また、カメラが映し出す客席の様子も見逃せない。そこには若者の姿もあれば、往年のファンと思われる年配の人が、涙を浮かべながらステージを見つめる様子も映っている。映画の紹介文には、忌野清志郎を「世代をこえて愛される」と表した一節があるが、異なる世代が同じ場所で忌野清志郎の音楽に耳を澄ます、この光景はまさにそのことを物語っていた。

Jun Fukunaga
ライター・インタビュワー
音楽、映画を中心にフードや生活雑貨まで幅広く執筆する雑食性フリーランスライター・インタビュワー。最近はバーチャルライブ関連ネタ多め。DJと音楽制作も少々。












