ネトフリ、アマプラで年末に一気見したい！非日常を満喫する映像作品6本

2025.12.24

創作世界で繰り広げられる夫婦の危険な駆け引き『先生、私の隣に座っていただけませんか？』

先生、私の隣に座っていただけませんか？

https://www.amazon.co.jp/dp/B0FCWM1K2P （Amazon Prime Video）
https://fod.fujitv.co.jp/title/e734/e734130001/ （FOD）
https://www.hulu.jp/sensei-would-you-sit-beside-me （Hulu）
https://www.video.unext.jp/title/SID0060963 （U-NEXT）

結婚5年目の漫画家夫婦、佐和子（黒木華）と俊夫（柄本佑）。妻は人気作家として成功を収める一方、夫は新作が描けずにアシスタントとして働く日々を送っていた。そんな俊夫が担当編集者の千佳と不倫関係に陥る中、佐和子は新作のテーマを「不倫」に設定。そこに描かれたのは、自分たち夫婦とよく似た登場人物の生々しい不倫模様だった。これは偶然なのか、それとも妻は全てを知っているのか？虚実が入り混じる漫画の内容に、俊夫の精神は追い詰められていく。

もう楽しくて楽しくてニヤニヤが止まらない。独特すぎて、面白すぎてたまらない不倫映画が『先生、私の隣に座っていただけませんか？』だ。なんといっても夫の浮気に気づいた妻が、不倫を題材にした漫画のネームを夫に読ませることで復讐を仕掛けるという設定が秀逸だ。

通常、フィクションを描くツールの「漫画のネーム」が、俊夫だけでなく観客を翻弄する武器にもなる。現実の描写とネームの内容が交互に描かれることで「ネームの部分もフィクションかも？」という疑念が生まれる。

佐和子の自動車教習所での様子が連載漫画のネームで語られるが、佐和子が実際に教習所に通っていること、夫の浮気という事実がすでに描かれているのが重なり、俊夫には妻の浮気も本当に見えてくる。黒木華の「表情豊かだけどポーカーフェイス。嘘か本当か一切わからない」演技のおかげか、佐和子の浮気は本当か？新谷先生は実在するのか？はたまたすべては「ただの漫画」にすぎないのか——だまし絵を見せられているようだ。

終盤、夫婦関係が持ち直すきざしが見えてからのラスト数分こそが、本作最大の見どころ。不倫で後悔したくない人も、そうでない人にもぜひ観てほしい1本だ。

運命を書き換える究極の復讐劇『私の夫と結婚して』（日本版）

私の夫と結婚して

https://www.amazon.co.jp/dp/B0F9J6J6M9

末期癌を患う美紗（小芝風花）は、親友の麗奈（白石聖）と夫の友也（横山裕）の裏切りを知り、さらに命まで奪われてしまう。死の瞬間、なぜか10年前にタイムリープした美紗。1回目の人生の記憶を持ったまま、若く健康な体と2回目の人生を手に入れたのだ。1度目の人生で起きたことは、2度目の人生でも起こる。ただし、身代わりを見つければ自分はその運命から逃げられる……。そう気づいた美紗は自分の代わりに麗奈を智也と結婚させることを決意する。そして現れたのが、前世では出会わなかった謎めいた上司・亘（佐藤健）だった。運命を変えるために奔走する美紗は複雑な人間関係に巻き込まれていく。韓国で大ヒットした原作の日本版リメイク、Amazon Original完全オリジナルストーリー。

韓国で大ヒットしたドラマの日本版リメイク『私の夫と結婚して』は、タイムリープものとしての面白さに加え、韓国ドラマらしい、しっかりとしたストーリー構成で最後まで飽きさせない。

本作の核となる設定「起こることは起こる、ただし身代わりを見つければ自分はその運命から逃げられる」が、まさに「私の夫と結婚して」というタイトルで表現されている。冒頭では遠慮がちで献身的、絵に書いたような「いい子」である美紗が、親友に最悪の夫を押し付けることで自分の運命を切り開いていこうとする変身ぶりも見ものだ。

2度目の人生を歩む美紗を、小芝風花が魅力的に演じている。もともとは明るく優しい女性でありながら、麗奈と友也への深い怒りと「今度こそ自分の人生を生きるんだ！」という強い意志が根底に流れているのを繊細に表現。その演技力の高さに引き込まれる。

しかし最も目が離せないのは白石聖演じる麗奈だ。美しい砂糖菓子のようなふんわりとした外見の中に、美紗に対する悪意と執着を巧妙に隠している麗奈。屈折した感情を抱える自分自身の苦しみの表現に加え、欲しいものはなんとしてでも手に入れる意思の強さや頭の回転の早さ、くるくる変わる豊かな表情は、本来なら憎まれ役となるはずの最悪な性格のキャラクターをたまらなく魅力的に見せている。圧巻だ。「フレネミー」といわれるような、女性同士の複雑な感情の表現も見どころの1つだ。

8人の若者を襲う不穏な事件の連鎖『シナントロープ』

シナントロープ

https://www.amazon.co.jp/dp/B0DW2LVWN6/

街の小さなバーガーショップ「シナントロープ」で働く8人の若者たち。バイト仲間の水町（山田杏奈）に密かに想いを寄せる大学生の都成（水上恒司）をはじめ、それぞれが何かを抱えながら日常を過ごしていた。しかしある日、目出し帽の怪しい男が店に現れたことをきっかけに、彼らの平穏な毎日は一変する。店への侵入事件、次々と起こる不可解な出来事、そして仲間たちに隠された秘密……。『オッドタクシー』の此元和津也が描く、現代の若者たちの青春群像ミステリー。

「シナントロープ」とは、人の生活圏で生息する野生動物のこと。本作はミステリー要素を強く織り込んだ青春群像劇だ。アイキャッチを含め、ヒロインの水町が好きな「鳥」が謎解き要素にもなっている。

冒頭のハンバーガーショップでの調理シーンから既に作品の世界観は完成している。おいしそうなハンバーガーを作る何気ない映像のはずなのに、なぜか漂う不穏な空気。この絶妙な雰囲気作りこそが本作最大の魅力だ。

演出面では「一方その頃」的なシーンの転換が効果的で、台詞も映像も次のシーンにかぶせる手法が驚くほどおしゃれ。オープニングテーマの中毒性も相まって、全体的にスタイリッシュな空気が際立つ。青春群像劇としての完成度も高く、主人公サイドだけでなく敵対する側のキャラクターにもしっかりとスポットライトが当たる構成が見事だ。意味不明に思える場面も「これは何かの伏線では？」と考察する楽しさを提供してくれる。

現在多くの伏線が回収されつつある段階だが、ミステリーとしてどう着地するかは楽しみなところ。

各キャストの演技レベルも高く、3年後には「今では考えられない豪華キャストで作られたドラマがあったんだね」と話題になりそうな予感がする。雰囲気と謎解きの両方で視聴者を魅了するレアな作品だ。