Stability AI日本代表ジェリー・チーに聞く クリエイターがジェネレーティブAIと良好な関係を築くには?
ライター業でジェネレーティブAIをどう活用できるか聞いてみた
今後、ジェネレーティブAIは画像や音楽に限らず、さまざまな表現の領域に進出していくことが予想される。例えば、筆者はライター業を生業としているが、この分野でもジェネレーティブAIのユースケースは増えていくことになりそうだ。では、現時点ではどんなユースケースが考えられるのだろうか。
「どんな文章を書きたいかによって使い方は異なりますが、例えば、広告のコピーを書く際には、AIがアイデアを出すことができるため、チャットボットをアシスタントとして活用することができます。また文章の書き方もAIが変えることができるため、短く簡潔にすることや、かしこまった感じにすることができます。さらに、自動で記事の要約を作成することも可能です。情報量が多い現代において、情報の洪水をコントロールしてくれるアシスタントがいれば、助かることでしょう。あと画像生成AIに自分が書いた記事の内容に沿った画像を添えてもらうといったこともできますね」(ジェリー氏)
このように想定されるユースケースを見ていくと、ライターにとってAIは仕事の効率化や能力の拡張につながる存在と言えそうだ。しかし、最近SNSでは、ジェネレーティブAIによる「作文」で、自動的に無限にブログ記事を作成できるという話題も見かける。そういったAIによって作成された記事の需要はどこにあるのだろうか。この質問に対して、ジェリー氏は次のように語る。
「お金儲けのためにAIを使って大量の低品質のコンテンツを作成し、広告収入を得ようとすることには問題があると思いますが、当然その対策も存在します。逆にAIをクリエイティブに活用することで、絵画や俳句など文化的に意味のあるコンテンツを大量に作成したい人もいますし、それを人間やAIがキュレーションするということはできると思います。そういった意味ではAIを使うことで多くの良いコンテンツが生まれる可能性があります。
基本的にAIはツールであり、それをどういう風に使うかは扱う人次第。使いかたによっては悪用することもできるし、逆に素晴らしいものを作ることもできます」(ジェリー氏)
つまり、能力のある「人間」がAIをアシスタントとしてコンテンツを自分で仕上げたり、AIが生成したコンテンツをキュレーションしたりすることで、今よりも優れたアウトプットが効率的に生まれる可能性があるということだ。
「どんな文章を書きたいかによって使い方は異なりますが、例えば、広告のコピーを書く際には、AIがアイデアを出すことができるため、チャットボットをアシスタントとして活用することができます。また文章の書き方もAIが変えることができるため、短く簡潔にすることや、かしこまった感じにすることができます。さらに、自動で記事の要約を作成することも可能です。情報量が多い現代において、情報の洪水をコントロールしてくれるアシスタントがいれば、助かることでしょう。あと画像生成AIに自分が書いた記事の内容に沿った画像を添えてもらうといったこともできますね」(ジェリー氏)
このように想定されるユースケースを見ていくと、ライターにとってAIは仕事の効率化や能力の拡張につながる存在と言えそうだ。しかし、最近SNSでは、ジェネレーティブAIによる「作文」で、自動的に無限にブログ記事を作成できるという話題も見かける。そういったAIによって作成された記事の需要はどこにあるのだろうか。この質問に対して、ジェリー氏は次のように語る。
「お金儲けのためにAIを使って大量の低品質のコンテンツを作成し、広告収入を得ようとすることには問題があると思いますが、当然その対策も存在します。逆にAIをクリエイティブに活用することで、絵画や俳句など文化的に意味のあるコンテンツを大量に作成したい人もいますし、それを人間やAIがキュレーションするということはできると思います。そういった意味ではAIを使うことで多くの良いコンテンツが生まれる可能性があります。
基本的にAIはツールであり、それをどういう風に使うかは扱う人次第。使いかたによっては悪用することもできるし、逆に素晴らしいものを作ることもできます」(ジェリー氏)
つまり、能力のある「人間」がAIをアシスタントとしてコンテンツを自分で仕上げたり、AIが生成したコンテンツをキュレーションしたりすることで、今よりも優れたアウトプットが効率的に生まれる可能性があるということだ。
Stable Diffusionの強みはオープンソースであること
これまでのビッグテックのトレンドでは、シリコンバレー企業が最も高性能なAIを独占していたため、他の国の企業が追いつきづらい状況にあった。このような状況が続けば、AIのモデルには英語やアメリカ文化のバイアスがかかってしまい、将来的に一番重要だとされるAI技術が一部の人たちによって独占されてしまう可能性もある。
Stability AIではAIの“民主化”のために、各国の人々が自分たちに合ったAIを作れる世界の実現や、それぞれの文化や好みに適応する最強のAIを開発するというビジョンを掲げている。ジェリー氏も「Stable Diffusionは、オープンソースであることが他の多くの画像生成AIにない強みだ」としている。
よく知られている画像生成AIの多くはオープンソースではなく、自分のためにカスタマイズしたり、あるユースケースのためにモデルを理解・調整したりすることが難しい。しかし、Stable Diffusionではそうしたカスタマイズも可能だ。また一般的なPCでも追加学習ができるほか、スマートフォン用に調整すればスマートフォンのハードウェアでも利用できる。
さらに他の画像生成AIのように開発側が持つサーバーのみでしか使用できないという制限がないため、多くの人々にとって利便性が高い点も強みのひとつになっているという。
Stability AIではAIの“民主化”のために、各国の人々が自分たちに合ったAIを作れる世界の実現や、それぞれの文化や好みに適応する最強のAIを開発するというビジョンを掲げている。ジェリー氏も「Stable Diffusionは、オープンソースであることが他の多くの画像生成AIにない強みだ」としている。
よく知られている画像生成AIの多くはオープンソースではなく、自分のためにカスタマイズしたり、あるユースケースのためにモデルを理解・調整したりすることが難しい。しかし、Stable Diffusionではそうしたカスタマイズも可能だ。また一般的なPCでも追加学習ができるほか、スマートフォン用に調整すればスマートフォンのハードウェアでも利用できる。
さらに他の画像生成AIのように開発側が持つサーバーのみでしか使用できないという制限がないため、多くの人々にとって利便性が高い点も強みのひとつになっているという。
日本はジェネレーティブAIのマーケットとして魅力的
Stability AIの目指すところは、先述のとおり、人間の能力をAIで補助して拡張させることだ。そんな同社にとって、日本はゲームやアニメ、VTuberなど、優れたクリエイターやクリエイティブな企業がたくさん存在することから、「ジェネレーティブAIのマーケットとして非常に魅力的な国だ」とジェリー氏はいう。
「“日本が停滞している”という話はよく聞きますが、実際には日本のアニメや漫画などは世界中で流行し、最近では海外市場での売り上げも日本国内の売り上げを上回っているなど、まだまだ優位性があると思われます。日本のコンテンツが世界中で受け入れられることは貴重なことであり、日本のクリエイティブ産業は今後もさらなる成長が期待できます」(ジェリー氏)
しかしながら、日本は画像生成AIに関する著作権や法律、ガイドラインの面でまだ整っていない状況にあると言える。ただ、ジェリー氏は「新しい技術分野ではこのような問題を抱えることが一般的だが、法整備されるのを待ってから起業するのでは遅すぎる」と考えている。
そこで政治家や弁護士、業界コミュニティと協力しながら、合理的な法律やガイドラインを策定することが重要になるとの認識を示す。また、ブロックチェーンの分野で政策を提言している日本ブロックチェーン協会のような業界団体設立の必要性を、AIの分野でも感じているという。
今後、ジェネレーティブAIがクリエイターの間で広く普及していくためには、AI脅威論のような否定的な見解を持つクリエイターたちとの対話や悪用を防ぐための法整備やガイドラインの策定などが求められる。しかし、ジェリー氏が語るように、ジェネレーティブAIはあくまでツールであり、それをうまく使いこなすことで、使い手の能力を補助して拡張させることできるはずだ。また、これによってこれまでにないクリエイティブが生まれることで、我々の生活はより文化的に豊かなものになっていくだろう。
「“日本が停滞している”という話はよく聞きますが、実際には日本のアニメや漫画などは世界中で流行し、最近では海外市場での売り上げも日本国内の売り上げを上回っているなど、まだまだ優位性があると思われます。日本のコンテンツが世界中で受け入れられることは貴重なことであり、日本のクリエイティブ産業は今後もさらなる成長が期待できます」(ジェリー氏)
しかしながら、日本は画像生成AIに関する著作権や法律、ガイドラインの面でまだ整っていない状況にあると言える。ただ、ジェリー氏は「新しい技術分野ではこのような問題を抱えることが一般的だが、法整備されるのを待ってから起業するのでは遅すぎる」と考えている。
そこで政治家や弁護士、業界コミュニティと協力しながら、合理的な法律やガイドラインを策定することが重要になるとの認識を示す。また、ブロックチェーンの分野で政策を提言している日本ブロックチェーン協会のような業界団体設立の必要性を、AIの分野でも感じているという。
今後、ジェネレーティブAIがクリエイターの間で広く普及していくためには、AI脅威論のような否定的な見解を持つクリエイターたちとの対話や悪用を防ぐための法整備やガイドラインの策定などが求められる。しかし、ジェリー氏が語るように、ジェネレーティブAIはあくまでツールであり、それをうまく使いこなすことで、使い手の能力を補助して拡張させることできるはずだ。また、これによってこれまでにないクリエイティブが生まれることで、我々の生活はより文化的に豊かなものになっていくだろう。
一緒に日本のジェネレーティブAIコミュニティを盛り上げていきたい
最後にジェリー氏は、日本のユーザーに向けて次のようなメッセージを届けてくれた。
「ぜひStable Diffusionなどの画像生成AIやジェネレーティブAIを使って、遊んでみてください。ジェネレーティブAIをアシスタントとして使うことで自分の想像力を拡大するだけでなく、生産性も向上させていくことができます。また私たちのStable Diffusionなどのモデルやサービスについてのフィードバックもお待ちしています。一緒に日本のジェネレーティブAIコミュニティを盛り上げていきましょう!」(ジェリー氏)
「ぜひStable Diffusionなどの画像生成AIやジェネレーティブAIを使って、遊んでみてください。ジェネレーティブAIをアシスタントとして使うことで自分の想像力を拡大するだけでなく、生産性も向上させていくことができます。また私たちのStable Diffusionなどのモデルやサービスについてのフィードバックもお待ちしています。一緒に日本のジェネレーティブAIコミュニティを盛り上げていきましょう!」(ジェリー氏)
Stability AIは、2023年2月に日本語に特化したチャットボット「Stable Chat(日本語版)」の開発をTwitterの公式アカウントで発表している。発表によると世界トップクラスの技術、大規模GPUクラスター、オープンコミュニティの力など、Stability AIの強みを生かした透明性の高い最高の大規模言語モデル(LLM)を構築するとのことだ。このことについても、ジェリー氏に聞いてみたところ、次のような答えが返ってきた。
「日本語話者の皆さんにとても役立つチャットボットができあがるように一生懸命、頑張っていきます」(ジェリー氏)
Stable Chat(日本語版)をはじめ、今後Stability AIが展開していく新たなプロダクトの公開にも期待したい。
「日本語話者の皆さんにとても役立つチャットボットができあがるように一生懸命、頑張っていきます」(ジェリー氏)
Stable Chat(日本語版)をはじめ、今後Stability AIが展開していく新たなプロダクトの公開にも期待したい。
Jun Fukunaga
ライター・インタビュワー
音楽、映画を中心にフードや生活雑貨まで幅広く執筆する雑食性フリーランスライター・インタビュワー。最近はバーチャルライブ関連ネタ多め。DJと音楽制作も少々。