居酒屋クオリティ！業務用冷食のプロが本気で選ぶ「冷凍おつまみ5選」

2023.11.9

プロの現場で使われている冷凍おつまみをそのまま自宅に

今回は「揚げなくて良いおつまみ」を厳選

過去にも、家庭用冷凍食品に比べて流通単位当たりの量が多く、パッケージや包装は簡素で比較的単価がお得な「業務用冷凍食品」を紹介してきました。

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購入可能な単位が大きな「業務用冷凍食品」ですが、素人は見た目で違いを判別することが難しく、確実においしいものをセレクトするため、施設給食中心の食品卸問屋に13年勤務し、約8000種類以上の業務用食品を試食してきた、しきさんにさまざまなカテゴリーでベスト5を選出してもらい紹介しています。

そして、今回のテーマは冷凍おつまみです。しきさんが言うには、当然店舗によって異なりますが「世の中のチェーン系居酒屋の大部分は、調理を業務用冷凍食品に頼っています。ですから業務用冷凍食品を使えば、居酒屋並みではなく居酒屋と同じメニューを楽しむことすら可能です」とのこと。特に揚げ物などはほとんどが「業務用冷凍食品をフライヤーで揚げるだけ」なので、おそらく多くの方が「これ、どこかで食べたことがあるな〜」という商品をセレクトすることができるといいます。

しかし、今回はフライヤーが常備されている店舗と違い、自宅なので「油で揚げるのは面倒なのでナシ」という、さらに厳しい条件で「揚げなくいい」業務用冷凍おつまみ5つをセレクトしてもらいました。レンチンはもちろん、自然解凍、果てはそのままでもオッケーという業務用冷凍おつまみは調理も限りなく簡単。しかも、恐ろしいことに「このおつまみ、どこかのお店で食べたことがある！　これも業務用冷凍食品だったのか！」といった5選となっていますので、ぜひご覧ください。

■しき
施設給食の食品卸問屋に13年勤務。最低週1回2社の試食会に参加し続け、これまでに食べた業務用食品は、約8000種類以上。ちなみに増えた体重は20kg以上。それでも本人は、キロ単位でものを食べる同僚たちよりは小食だと思っていました。最近では、身体を犠牲にし、ほぼ命がけで試食してきた業務用冷食の情報などをブログなどで発信。日本栄養食品楽天市場店で業務用冷凍食品のネット販売にも携わる。

5位：焼いてないのに焼けてる、味の素「袋のままスチコンで焼餃子（肉）（焼調理済）」

レンジで温めるだけで焦げ目の付いた焼き餃子が完成する「スチコンで焼餃子」。期待を裏切らないおいしい一品です

もしかすると、昨日の立食パーティやオードブル、ホテルのビュッフェで食べた焼き餃子は、実は「蒸し餃子」だったかもしれません。しきさんが紹介してくれた味の素「袋のままスチコンで焼餃子（肉）（焼調理済）」（以下、「スチコンで焼餃子」）は、10個入で実勢価格300円前後の定番商品です。

さまざまな調理方法に対応しており、凍ったまま、もしくは解凍後のフライパン調理のほか、蒸し、電子レンジ、さらには商品名称どおり袋のままの「スチコン」での調理にも対応しています。焼き調理済みなので、どの調理法でもしっかりと焼き餃子として仕上がります。

ところでみなさんは「スチコン」をご存じでしょうか？　正式名称は「スチームコンベックオーブン」です。オーブンにスチーム発生装置を取り付け、熱と蒸気をコントロールすることで1台で複数の調理方法を可能にした多機能加熱調理器です。1台で炒める、煮る、揚げる、炊く、茹でるなどが可能で、大量の調理を行う必要のあるホテルや給食施設、飲食店などで使用されています。

業務用冷凍食品としてはひと袋あたりの数量が10個とかなり少なめの「スチコンで焼餃子」。これを袋ごと大量に調理するのでしょう

「スチコンで焼餃子」は国産豚肉、鶏肉を使用した非常にベーシックな焼き餃子なのですが、ホテルの立食パーティや温泉ホテルのビュッフェなどで「この餃子、おいしいな」と思っていた、あの味がします。期待を裏切らないおいしさなのですが、ホテルの調理場で「スチコンで焼餃子」がスチコンで大量に調理されていたのだと気が付いてしまいました。

筆者の家にはスチコンなどという高価な調理器具はありませんので、もっとも手軽なレンチン500W10個で約3分で調理しましたが、ちゃんと香ばしいのも、なにか不思議な気分になります。しきさんにはホテルの朝食の焼き魚は“冷凍の蒸し調理が基本”などの裏事情は教えてもらっていたのですが、おいしいが故に「焼き餃子もだったのか……」といった動揺が隠せません。おいしくて簡単、しかも安いのですから、家飲みのおつまみとしては最高と言えるのですが……。

業務用冷凍食品としては、かなり少量のパッケージなので、家で突然餃子が食べたくなったときにもおすすめです

4位：冷凍庫から出して、そのまま食べられるヤマダイ食品「大学いも【業務用】」は超手軽

冷凍食品のおつまみに特集に、大学いも！　と思われる方も多いでしょう。しかし、思った以上に便利でおいしいのです

食べるのも、お酒も大好きというしきさんが揚げない業務用冷凍食品のおつまみとしてヤマダイ食品「大学いも【業務用】」（以下、「大学いも」）をリストアップしてきたときには、筆者は「？？」となったことは事実です。しかし、子どもから大人まで大好きで、しかも自然解凍だけで食べられるヤマダイ食品「大学いも」1kgで実勢価格1600円前後はかなり便利だといいます。

筆者は大学いもの冷凍食品は冷凍庫のなかで固まってしまい、袋から1つずつ取り出すのもひと苦労なのでは？　と思ったのですが、さすがにそんなことはありません。わが家の冷凍庫に保管してもミツが固まることはなく1kgの袋から箸などで簡単に取り出すことができます。自然解凍で食べられるので、出してしばらく待てばいいわけです。実際に筆者が解けるのを待っていると「実はそのままでもいけますよ」としきさん。冷凍されたままの「大学いも」を口のなかに。

筆者も半信半疑で試してみたのですが、凍っているので硬いですが、確かに食べられます。食感も解凍したものとは異なり、ちょっと新しい世界が広がった感じです。また、どのくらい解凍したところで食べるかによっても楽しむことができ、カチカチから完全に解凍された状態まで、ゆっくりと飲みながら楽しむこともできます。

パッケージにコストをかけないのが基本の業務用冷凍食品のなかでも、かなりシンプルな部類に入るヤマダイ食品「大学いも」。これがパッケージ表面です

冷凍状態でも簡単に取り出せ、自然解凍はもちろん、そのままで食べられるヤマダイ食品「大学いも」が業務用冷凍食品として優秀なのはわかりましたが、おつまみとしてはどうなのでしょうか？　

気になって撮影の際の試食のほかに実際に晩酌でも「大学いも」を試してみました。ビールに合うかと聞かれると微妙なのですが、ウイスキーや焼酎などのスピリッツは甘いおつまみが合うのでかなりいい感じですし、ワイン系も意外と相性は悪くない印象です。

そして1kgパッケージがかなり多いのではと思ったのですが、予想以上にパクパクと食べられるため、思ったよりも消費できることも確信。当たり前ですが、サツマイモが原料なので腹持ちもよく、おなかにたまるおつまみとしても活躍してくれます。

ちなみに我が家では晩酌にヤマダイ食品「大学いも」を食べていると、3歳になったばかりの息子も食べたがるので、晩酌にも、デザートにも使える万能選手といえるのではないでしょうか。冷凍庫にひと袋ストックしておくと便利だと思います。

3位：きっとみなさん食べたことのあるニッスイ「野菜がおいしいえびかき揚げ」は自然解凍でオッケー

ニッスイの「野菜がおいしいえびかき揚げ」。冷凍食品とは知らなかったけど、どこかで見たことがあるという方が多いのではないでしょうか

「立ち食いソバとか、スーパーのお総菜に使われているかき揚げって思っている以上に冷凍食品率が高いって知っていますか？」としきさん。冷凍食品なのも知らなかった筆者はちょっと驚いたのですが「冷凍食品なだけでなく、実は自然解凍するだけで食べられるかき揚げが人気なんですよ」と言います。

ちょっと信じられない気持ちでしたが、実際に自然解凍したニッスイの「野菜がおいしいえびかき揚げ」を食べてみると……「学食とか、立ち食いソバとか、スーパーのお総菜と同じ味がする」。「みなさんびっくりするのですがかなり高確率で、お安いかき揚げは自然解凍の業務用冷凍食品なんです」とのこと。

味については、みなさんもご存じの……と言った感じなのですが、ソバやうどんに入っていて特別おいしいと思わなくても、まずは最初につゆが染み込む前に楽しんで、残りはつゆはしっかりと染み込んだ状態で楽しんでしまうといった感じです。特別に褒めるほどでもないが、あるだけでうれしくはなるといったところでしょうか。

写真はニッスイの「野菜がおいしいえびかき揚げ」30g10枚入り（実勢価格560円前後）です。このほかに50g6枚入りといった商品ラインアップもあります

筆者は駅の立ち食いソバが好きでいろんな場所で食べていたのですが、おそらくかなりの頻度でニッスイの「野菜がおいしいえびかき揚げ」（以下、「えびかき揚げ」）に出合っていた気がします。冷凍食品だったのは、さほどショックではないのですが、揚げてもいない自然解凍だったことはちょっと裏切られたレベルのショックです。母親の手作りと信じていたカニクリームコロッケが実は冷凍食品だったくらいの感じでしょうか。普通においしいのが、さらにショックを大きくしてくれました。

しきさんは「私は、この『えびかき揚げ』を自宅では「ぬき」でおつまみにしています」と言います。自宅で晩酌は当たり前としても、それとは別に子どもにご飯を作る必要があります。そこで冷凍うどんなどをゆでて温かいつゆに入れ「野菜がおいしいえびかき揚げ」を乗せ、タマゴをトッピングすれば、天玉うどんの完成です。電子レンジを活用すれば調理時間はカップラーメン並みだと言います。

食べ盛りの中高生なら冷凍うどんを2玉、「えびかき揚げ」も50gを2つなどにすればボリュームも十分。ホウレンソウやネギ、ワカメなどを添えれば栄養のバランスも良くなるでしょう。そして、晩酌組はつゆに「えびかき揚げ」を乗せただけの、めん類ぬきの「ぬき」。そば屋などで裏メニュー的なおつまみとして楽しまれていることも多い「ぬき」でお酒を楽しむそうです。

子どもたちの晩ご飯も、自分たちのちょっと通っぽい晩酌のメニューも一気に解決してくれるニッスイの「えびかき揚げ」は自然解凍だけで揚げ物おつまみが楽しめるうれしい一品です。ぜひ一度試してみてはどうでしょうか。